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翌朝はウィルと一緒に朝食を取ることになった。昨日の今日で、ディアナの心臓はばくばくで今にも飛び出そうだった。
「お、おはようウィル……」
「おはよう……よく眠れたか?」
「え?あ、うーん……」
「ぷっ、目真っ赤。あんま眠れなかったんだろう?……俺もだ」
え?ウィルを見ると、ディアナと同じく目が真っ赤だった。
「ふ、ふふふ。ウィルも目が真っ赤ね。ふふ、私だけじゃなかったのね」
「当たり前だろう?好きな女に告白した夜に、グースカ眠れるほど神経図太く無いっつーの。
……ごめんな、困らせるとわかってたんだが、今言わなきゃ俺のこと考えてくれなかっただろう?
それに、一昨日のジークフリード殿とのダンスを見て、ちょっとあせったんだ。本当かっこわりーよな」
「そんな事ないよ。あんなこと言われたの初めてで……凄くドキドキした。
これからちゃんとウィルのこと考えるね」
「あ、ああ……そ、そろそろ食べようぜ」
その日の朝食は、なんだかむず痒い気分だった。
朝食後、さっそく勉強に取りかかった。昨日同様ウィルが質問してディアナが教えてと言う感じだったが、昨日より少しだけ距離が近くなっていた。
途中で休憩がてら音楽は無いけど踊ろうぜと言われ、昨夜試したステップを完成させたり、新たに難しいステップをいきなり吹っ掛けられて足を踏んでしまったりと、楽しい時間を過ごした。
昼食は絶対王妃様の突撃があるんだと思っていたが、ウィルが阻止してくれたらしく、2人で食べることができた。
メニューはなんと、ガッツリこってり庶民風の物が出てきて驚いた!
「前に食堂でそんな感じの食ってただろう?本当はそう言うのが好きなのかと思って用意して貰ったんだが……違ったか?」
「ううん、違ってないよ!大好きなの!王都の食堂を探そうかと思ってたんだけど、友人達に危ないからって止められて……学園の食堂でも1度食べた時にみんなに凄く見られちゃったからそれ以来食べれなくて……だから凄く嬉しい!ウィル、ありがとう!」
「よかった、じゃぁ今度から勉強会の日はこう言うランチを用意してもらう事にしよう。
期末試験が終わったら、王都のおすすめの食堂にも連れてってやるよ。とりあえず期末試験までは勉強だな……次は絶対2位以内に入ってみせるからな!打倒平民組!」
「おー!ふ、ふふふふふ、あ~楽しい!誰かと一緒に勉強するのって楽しいのね!ランチも楽しみだし、勉強会頑張ろうね!」
楽しいランチタイムを終え、そろそろ帰ろうかと帰りの馬車に向かうと、先にユリア様がキャシーを抱いて乗っていた。
キャシー……昨日のゴタゴタで忘れてたわ……ごめん!え?王妃様に撫でくりまわされている所をユリア様に助けて貰って、そのままユリア様のベッドで一緒に寝たの?へ、へ~、よかったね……
「早く、早く入って出発しましょう!」
「え?え?姉上どうしたんですか?」
「ルーカス殿下から逃げてるのよ!もう、何なのあの王子……ディアナさんも気を付けるのよ!2人になったら肩とか腰とか触ってきて、本当気持ち悪いから!早く寮に戻りましょう!」
ひ~!まさに変態王子だ……絶対2人にならないように気を付けなきゃ……