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「ああ、それでしたらいい子がいますよ。私が王都に来る少し前に生まれた子なんですけど、真っ白で可愛い子でした。あの子ならまだ誰とも契約していないんじゃないかな?
キャシーわかる?……そう、よかったわ!じゃぁブライアンに伝えてお父様にお願いしてもらって。
……ええ、そう、ビックリでしょうね……そう、わかったわ。ありがとう。
王妃様、迎えに来てくれるなら大丈夫だそうです。契約のやり方は私が教えられますので、とりあえず誰かに迎えに行かせてください」
「え?今、伯爵と話したのか?」
今まで黙っていた陛下に、急に聞かれて驚いた。ちょっと目が怖いです……
「は、はい……その直接では無いのですが、ラッキーラビット同士でしたら離れていても念話が出来ますので、キャシーとお父様のペットのブライアンを挟んで会話したんです……こちらの動物は話さないのですか?」
何故かみんながあんぐり口を開けてこちらを見ていた……王妃様だけはキャシーをモフり倒していた。ぶれないな。
「あらあら、携帯みたいで便利ね!キャシーちゃん凄いわ~!これからもディアナちゃんが来るときは一緒に来てね。新鮮なお肉を用意して待ってるから!」
さすが……キャシーのツボをわかってらっしゃる……
「あ、そうだわ!ディアナちゃん夏休み帰らないんでしょう?だったらキャシーちゃんとシンディちゃんと一緒にお城に来たらいいじゃない!ウィルとも勉強会が出来るし、いい考えでしょう?うふふ」
ええ!いや、それはさすがに……断っていいんだろうか?でも王妃様だし……
「お母様、あまりディアナ様を困らせないでください。それに聞きましたわよ……学園の図書室の外国語コーナーに「きゃー!誰に聞いたの?まさか読める子がいるなんて思わなくて!お城に置いてたら怒られちゃうからつい……」」
「な!ではそれらの本は母上の愛読書なのですか!?」
「お母様、教育に良くないのですぐに引き取ってください!ルーカス殿下も入学するんですよ?読めたら大変じゃないですか!」
「きゃ~!ごめんなさい。明日取りに行かせるから許して!」
さすがユリア様……助けてくれてありがとうございます!チラリと視線を送れば、ウインクしてくれた。くっ……可愛い!
王妃様は陛下にどんな本なのか問い詰められていた。夏休みの話は流れたんだよね?大丈夫だよね?
そんなこんなで晩餐も終わり、王妃様の計画通りダンスパーティーが始まった。と言っても本当に身内だけで、小さなホールで国王夫妻と王太子夫妻、ユリア様、そしてウィルとディアナの7人だけだった。
ダンス姿が見たいと言われ、強制的にウィルと踊ることになってしまったが、踊り始めるとやっぱり相性がいいようでとても楽しかった。
曲が終わったので満足して戻ろうとするも離して貰えず、さらに抱き込まれてしまった。
「身内だけのパーティーだから、マナーなんて関係無い。それとも、ジークフリード殿とは楽しそうに踊っていたのに、俺とは楽しくなかった?」
「え?いえ、ウィルと踊るのはとても踊りやすくて好きだけど……」
「じゃぁ今日は疲れるまで踊るぞ」
満面の笑みで言われてしまい……いや、既にもう今日はくたくたなんだけど……等とてもじゃないが言えず、結局5曲も続けて踊ってしまった。
途中からはお城で国王夫妻の前だと言うことも忘れ、色々なステップを2人で試したりして夢のように楽しかった。
だがもうさすがのディアナも足がふらふらで、みんなに挨拶をしてウィルにエスコートされて今日泊まる部屋まで送って貰った。