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勢い良くドアが開けられ、メイドさん達にタオルをはぎ取られて手際よく下着、コルセット、パニエと着せられ王妃様の前に立たされると、横にドレスが3着用意されていた。
王妃様が指示を出してディアナに次々当てられ、最終的にウィルの髪のような濃いブルーのドレスに決定したようで、あっと言う間に着せられていた。
有無を言わさず椅子に座らせられ、髪を丁寧に結い上げられた。肌が綺麗だから化粧の必要は無いと言われ、リップだけ塗られ、最後の仕上げにと恐ろしく高価そうなイヤリングとネックレスをつけられて終了した。
「あ、あの……これはいったい……」
「まあまあまあまあ、やっぱりドレス姿は凄く可愛いわ!さあさあ、晩餐に行きましょう!」
バンッ!勢い良く扉が開けられ、ウィルが飛び込んできた!
「ディアナ、大丈夫か!?は、母上!何をしているんですか!?」
「何って、可愛い子に綺麗なドレスを着せて遊んでただけよ?どう?ウィルの髪の色のドレスにしてみたのよ?うふふ、可愛いでしょう?」
「か、可愛いです!可愛いですけど、私達はこれから寮に戻る予定でして……」
「だーめ!ふふふ、もう料理長にも晩餐の準備をお願いしちゃったわ。今日はお城に泊まって明日帰るってさっき学園へも使いを出したわよ?
さあさあウィル、エスコートしてあげて!晩餐の後は身内だけのダンスパーティーなんてどうかしら?うふふ
ああ、安心して。ルーカス王子は公爵家の晩餐会に呼ばれていないから。うふふ」
え?えええええー?私、今日は帰れないの?お城に泊まるって……いやいやいやいや、聞いてないし!
「あ、あの王妃様、大変嬉しいのですがペットが餓死してしまいますので……」
「あら、大丈夫よ!キャシーちゃんならさっき来て先にお肉食べてるわよ?初めて見たウサギちゃんだけど、とっても賢くて可愛いのね!
私も欲しいわ……アトウッド伯爵にお願いしようかしら?」
王妃様の言う通り、食事室でキャシーは美味しそうに生肉を食べていた……裏切り者め!
私の殺気を感じたようで、キャシーはお肉をたいらげたあと、ずっと王妃様の足元にいた。
「も~、本当キャシーちゃん可愛いわ!毛並みもとっても綺麗で……毎日丁寧にお世話してるのね」
「そうですね……でもお風呂もトイレも自分で出来ますし、自分の魔力でちゃちゃっと毛も乾かしちゃうんでそんなにお世話することも無いんですよね……どちらかと言うと友人みたいな感じですね」
「まあ、賢い上に魔法まで使えちゃうの?もう、やっぱりアトウッド伯爵にお願いして私のペットになってくれる子を探してもらわなくちゃ!うふふ」
「え?いや、魔法を使えるって……え?」
「兄上……契約したら会話も出来るそうです……」
「な!それは……は?そんな生き物初めて聞いたのだが……」
「まあまあまあまあ、動物とおしゃべりできるなんて!楽しみだわ!」