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 そうこうしているうちにあっという間に出発の日が来てしまった。愛馬のシンディに鞍をつけ、学園は制服なので少しの普段着と生活用品を詰めたトランクを1つ結び付ける。

 田舎過ぎて流行りの服等があるわけも無く、流行りもわからないので、王都に行ってから自分で買いなさいとその分のお金も少々貰った。

 学園と言ってもお見合いの意味合いが強い場所なので、何かあるごとにパーティーがあり、そのドレスは伯爵家へ請求と言う形にして貰うことが出来ればそうすることになった。

 まぁ平民もいるのであまり華美すぎるドレスはNGと言うことなので、手持ちのお金でも何とかなるんじゃないかな?等とディアナは簡単に考えていた。


 専用のケージにウサギのキャシーを入れてディアナが乗れば完了だ。大きな馬なのでディアナの後ろにトランクとケージをくくりつけてもまだまだ余裕である。

 付き添いは無く、ディアナ1人で行くことになった。元々伯爵家と言っても田舎過ぎて町長のような感じで、家も小さく、使用人も夫婦と息子と娘の4人家族がいるだけだ。

 昔から代々仕えてくれていて、料理に掃除に洗濯に、馬の世話、庭の手入れ等何でもしてくれる。

 もちろん人手も足りないし勉強になるので、ディアナや母親も一緒に料理をしたり洗濯したりしている。


 高等学園は全寮制で、王族であっても1人で生活しなくてはいけない。とは言え、洗濯は指定の場所に出せば洗って部屋まで届けられ、食事も朝晩は寮の食堂で食べ、昼は学園の食堂で食べられる。

 実際家にいるよりもやることは少ないので、ディアナに不安は無かった。

 これらは全て学費に含まれ、平民は高等学園の試験に受かり入学できれば全て無料となる。

 1人では寂しかろうとペットを連れて行くことが許されているが、世話は自分でしなくてはいけない。

 ディアナにとって、ペットの世話など当たり前なのでそれも問題無い。


 そうは言っても伯爵令嬢だ。普通なら護衛も一緒じゃないかと思われるだろうが、なんせ田舎の領……護衛騎士など存在しない。その代わり伯爵を始め領民達も皆、弓も剣も一通り扱うことが出来る。

 騎士のようにちゃんとした型など無く、完全に狩猟のための独学なのだが、この領にいる限りそれでなんの問題も無かった。

 ディアナも幼い頃から一通り弓と剣を習い、自分の身は自分で守れる。

 だからと言って1人で行くのは無謀なのだが……基本的に領から出ない伯爵始め領民にとっては1人で行くのが当たり前の光景過ぎて、誰も疑問を抱かなかった。

 しかも王都までは出来るだけ森の中を通って野宿と狩りをしながら行くそうだ……その方が新鮮な肉をタダで食べられるからと……

 さすがに祖母は、人の多い整備された街道を通って宿に泊まりながら行きなさいと口を酸っぱくして言い含めたのだが、ディアナ本人はわかってると言いつつ宿に泊まる気はさらさら無かった……

 いつも通りズボンを穿いて腰には剣を下げ、背中に弓を背負う。だが、念のためと言われ、いつもと違い髪と顔を隠すように布を巻いた。

 何処からどう見ても……賊の少年である。


「ディアナ、気を付けて行ってくるんだぞ」


「いいお婿さんがいたらかっさらって来るのよ」


「いいですか、学園では淑女らしく振る舞うのですよ!上位貴族の方も大勢いらっしゃるのだから、無礼が無いように気を付けなさいね!」


 父、母、祖母の順番である……誰も道中を心配していないとは……そこじゃなくて!と、よその領の者が見たら驚きの光景であるが、誰からも疑問が出ないのは、狭い世界で生きているので仕方無い……

 本人も何も気にすること無く出発してしまった。

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― 新着の感想 ―
お母さん、どこの蛮族よw
[一言] お祖母さん常識人かと思ったら、ちゃんとズレてた笑
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