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「お、いたいた。俺とも踊ってくれよ」
そう言って手を差し出したのは、アランだった。
「え?アラン踊れるの?」
思わず素で聞いてしまった。
「あのな~、俺も一応貴族の端くれなんだよ。まぁあんま得意じゃね~けどな」
「そうなんだ……そう言えば私の方がさらに貴族の端くれだけど、一通り教育されたんだった。ふふふ
アランは王都に住んでるから、きっとこれからも夜会等で踊る機会も多いんでしょうね。私よりよっぽど叩き込まれてるわよねきっと。楽しみだわ」
「お、おい……あんまハードル上げんなよ!剣は得意だがダンスはあんま得意じゃね~って言ってんだろ?お、始まったぞ」
アランのリードは豪快だった。得意じゃないと言ってたが、ダイナミックでとても上手だとディアナは思った。ただ、おそらく相手に合わせることが苦手で、並大抵のパートナーじゃ着いてこれないんだろうな。
「こんなに踊りやすかったのは初めてだ。もう1曲踊らね~か?」
「私も楽しかったけど遠慮するわ。約束があるのよ。また今度踊りましょう。それと、鍛練もいいけどちゃんと勉強もしなさいよ?中間テスト何位だったの?」
「ぐはっ……!じゃ、じゃあまたな」
何だか逃げられた気がするが……まぁいいか。さて、今度こそジークフリードを探さなくては。
ジークフリードは今日も窓にもたれ掛かり、外を見ていた。ぐはっ!正装……かっこよすぎ!
「ジークフリード様、み~つけた!ふふふ、約束通り踊ってください」
「うわっ!ディアナ嬢!……お断りしたはずですが……」
「え?そうなんですか?あれ?気付きませんでした……」
ジークフリードはチラリとまわりを見て、小さくため息をついた。
「ここで断るとディアナ嬢に恥をかかせてしまうようですね……では、1曲お相手お願いします」
そう言って王子様のような綺麗なお辞儀をして手を差し出してくれた。2人でダンスホールの中央へ向かうと、自然と道があけられた……
空色の髪に黒い正装のジークフリードと、黒い髪に空色のドレスのディアナは、まわりのペアと比べ物にならないくらい優雅で美しかったのだ。
実際、ジークフリードのリードはとても踊りやすく、相手が踊りやすいようにと言う思いやりに溢れる優しい物だった。
ディアナも、まるで羽が生えた様に身軽に動け、今までで1番上手に踊れた気がした。
「わーお、君達のダンス最高だったよ!是非とも今日の2人を絵に描かせてくれ!学園祭の目玉にするよ!
ああ、インスピレーションがどんどんわいてくるー!」
そう言って銀髪の美男子アンソニーは、会場から走り去ってしまった……
「あの、ジークフリード様……パーティーを途中で抜け出して大丈夫なんでしょうか?」
「いえ、一応学園行事の1つですから成績に響くのではないかと……まぁ彼は芸術家ですから多目に見られるのでは無いでしょうか?」
「そうなんですね……では、あのついて行ったご令嬢方は……?」
「……」