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寮に戻り、ドリー達に今日の出来事を話した。話ながらまた怒りと悲しみが込み上げてきて、泣いてしまった。
「何それ!貴族って陰険ね!ジークフリード様が可哀想だわ!」
「ごめんねディアナ……実は私も実の親子間で子作りなんてってちょっと思ってしまってたの……でもだからってダンスするのも嫌なんて酷過ぎるわ!
ジークフリード様は何も悪くないし、そんな時代だったのだから仕方無いのに……みんなで陰口を言うなんて……」
「きっとジークフリード様は人を信じることが出来なくなってしまったのね……ディアナ、ジークフリード様の心の氷を溶かすのは大変よ?
アラン様だったらそんな努力必要無いし、性格的にもディアナと合ってると思うわ。もしくはウィリアム殿下はどう?ジークフリード様の陰口を止めてくれたし、謝ってくれたんでしょう?
話したことは無いけれど、良い方なんだと思うわ……ジークフリード様だけに拘らずに、もう少しまわりを見てみたらどうかしら?
もちろん、ジークフリード様を諦めなさいと言ってるんじゃないわよ?ただ、他の人も見てみるのも良いんじゃないかなって。
とりあえず、ジークフリード様とも踊る約束をしたことだし、次の休みはドレスを見に行きましょう!」
「「「い~ね~」」」
と言うことで、次の休みはドレスを見に行く事が決定した。
ドリーの言うように、もう少し他の人にも目を向けた方がいいんだろうか……?
今は心がぐしゃぐしゃで答えが見つからなかった……
次の日から、ジークフリードは図書室に現れなかった。
そして待ちに待った休日、4人は先日のドレスショップへ向かった。ドリー達は参加はするけど着飾る必要は無いかな~と言い、ドレスを買うのはディアナだけだった。
でも、ドレスや服屋さん以外にも色々おすすめのお店があるらしく、王都を案内してくれるらしい。
楽しくおしゃべりしている間に、あっという間にドレスショップへ到着した。店内に入るなり、あの美人店主が大喜びでディアナに駆け寄ってきた。
「きゃーお嬢さんお久しぶりね!また来てくれると思って、貴女にぴったりのドレスを作ったのよ!こっちに来て!ちょっとまっててね」
そう言って、店の奥から1着のドレスを持って来た。それは、とても綺麗な空色のドレスだった……裾に行くにつれて色が濃くなっていて、シックで落ち着いた雰囲気だった。
まるでジークフリードの髪に合わせたような色のドレスで、少し恥ずかしかったが、とても綺麗で気に入ったので購入することにした。
試着した結果、前回のように胸が苦しくなく、さらにサイズぴったりになっていて驚いた。
店主さんがディアナに合わせたサイズで作ってくれたらしい。
「また来てね、ミューズ!」
と今回も盛大に見送られ、店を後にした。次の目的地は、最近話題のスイーツショップらしい。カフェスペースがあって、店内で食べることも出来るようだ。
さっそく店内に入って各々注文した。