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「え?いえ、私の血は穢れていますし、もっと他にいい人が沢山いるんじゃないですか?」
「穢れですか?シンディがなついていると言うことは、穢れていないはずですよ?
他の貴族は皆さん成績がちょっと……領地経営をしていただきたいので、出来れば優秀な方がいいんですよね」
「なるほど、だから私なんですね。ですがディアナ嬢が優秀なので、相手はそこまで優秀じゃなくてもいいんじゃないですか?
例えばほら、窓の外の赤い髪の彼は子爵家次男ですよ。成績はあまり良くありませんが、剣の腕がピカイチで将来は騎士を目指しているそうです。
あとあちらの銀髪の彼は伯爵家3男で絵の才能が素晴らしいですよ。ああ、あの紺色の髪の彼は第2王子で、文武両道じゃないですか」
「あの男だけは絶対に嫌です!私に魔獣と言って切りかかってきたんですよ!シンディやキャリーも嫌っているので無理ですね。
と言うか私はジークフリード様に言っているんです!でも、そうですね……いきなりだし、まだお互い何も知らないのでとりあえず友人になって頂けませんか?」
「友人でしたら断る理由がありませんね……」
「嬉しいです!あ、私の事はディアナとお呼びください!」
「それはさすがにちょっと……とりあえず、これからよろしくお願いします」
そう言って握手を……交わしては貰えず、その日は別れた。なんだか上手いこと色々断られたような気もするが、気のせいだろう。
仲良くなったことだし、何としてもジークフリードを落としてみせると気合いを入れたディアナであった……
さっそく夕食の席でドリー達に報告したが、他の人を探した方が早そうだと言われてしまった……解せぬ!
一緒にジークフリードを落とそう大作戦を考えて欲しいのに、何故か結局ジークフリードにおすすめされた他の2人のことも調べてみようと言うことで話がまとまってしまった。
悶々としていたので、翌日のランチはやけ食いして発散させることにした。
大食いの男子生徒達が食べるのと同じランチを頼み、ドリー達の待つテーブルへ運ぶ間、みんなに2度見された気がするが気のせいだろう。
女子の上品なランチと違い味が濃いめで量も多く、久しぶりの食事らしい食事に感動し、すごい勢いで食べてしまった。
とは言え、祖母に徹底的に叩き込まれたテーブルマナーによって、まわりにはガッツリ男子食がコース料理に見えてしまうと言う不思議……
気付けばおしゃれランチを食べていたドリー達よりも先に食べ終わってしまっていた。
「あ~美味しかった!久しぶりにちゃんと食べた気分だわ。デザートは何がいいかしら……?」
“ええ!?まだ食べるのか?あの細い体の何処に入るんだ?”
「ふんふふんふふ~ん、ごちそう様でした。とても美味しかったです。これから毎日これにしようかしら?ふふふ
えっと、デザートは……ケーキも美味しそうだし、こっちのタルトも素敵ね……両方ください」
ケーキとタルトもご機嫌でたいらげたディアナであった。ディアナが美味しそうに食べる姿を見て、その日のケーキとタルトは即完売したのだった。