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もうすでにぐったりなディアナだったが、今日の最大の目的のドレスがまだだった……
3人はウキウキした足取りでドレスショップへ案内してくれた。うん、さっきよりさらにフリフリ多目できらびやか~。もう無理……
ディアナがぐったりしているのをよそに、3人は嬉々としてディアナのドレスを選び始めた。そのどれもがフリフリキラキラで……
「お願い、初めてのパーティーだから目立ちたくないの。もっと落ち着いた色でシンプルな物がいいわ……今日の持ち合わせもそんなに無いし……」
「お嬢さん、それならこれはどうですか?私の自信作なんですよ。お嬢さんの瞳の色とも合ってて、よく似合うと思います」
それはシンプルで上品な濃紺のドレスだった。裾に行くにつれて増えるビジューは、まるで夜空に浮かぶ星のように美しかった。
ディアナは一目で気に入り、試着することになった。少し胸がキツかったが、特に補正する必要は無さそうで胸を撫で下ろした。
ダンスシューズは黒い生地にビジューが付いた物が、他のドレスとでも合わせやすそうだったので購入し、今日の目的は全て達成した。
「また来てね!あなたを見てるとインスピレーションが湧いてくるわ!私のミューズ!」
何だかよく分からないが、年齢不詳の美人店主に大興奮で見送られて店を出た。
素敵なドレスが思ったよりも低予算で購入出来たので、わざわざ高いオーダーを頼むよりもいいかもしれない。1人でも来れるように、しっかり場所を覚えとかなくては。
「ねえ、補正しなくていいなら急がないし、あそこでランチして帰らない?」
「「「い~ね~!」」」
サブリナの素敵な提案により、疲れが一気に吹っ飛んだ。そこはテラス席もある可愛らしいカフェだった。
中に入ると女性ばかりで、メニューも女性向けで、スイーツが充実しているようだ……でもディアナにとっては物足りなかった。
量も薄味で野菜多目なのも、盛り付けも可愛いと思う……思うんだけど、ディアナはもっとこってりガッツリ系が食べたかった。
寮の食事もそうだ。女子寮だからかヘルシー系で、正直物足りなくて仕方がない……学園で好きに選べるランチにかけるしかない!そして、休日はガッツリ食べられる食堂探しをしようと密かに心に誓った。
「ねえドリー、この辺でもっとガッツリ食べられる食堂を知らないかしら?」
「え?ガッツリ……?あるにはあるけど、男性客ばかりなのであまりおすすめは出来ないかな……あ、誰か男性と行くの?」
「え?1人だよ?こっちに男の人の知り合いなんていないし」
「「「え……?」」」
何か不味かったんだろうか?よくわからないけど、3人に驚かれてしまった……
1人で行くのは絶対ダメだと言われて、結局教えて貰えなかった。仕方無いので今度ドレス屋さんにでも聞いてみよう。