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今から25年ほど前まで、この世界は魔王の脅威にさらされていた。封印された魔王が復活し、魔獣が世界に溢れたのだ。
そこでランドル王国の国王が神に助けを求め、聖女召喚を行った。神は願いを叶え、異世界から聖女を連れて来た。
そしてランドル王国の王太子を含む5人のパーティーで魔王城へ行き、無事魔王を倒し、世界に平和が戻った。
魔王の消滅と共に魔獣達は減り、今では幻の存在とまでなったのだった。
無事魔王を倒した王太子と聖女は結婚し、今では聖女は王妃となり、異世界の知識を生かし様々な改革を行っている。その1つが学校である。
今までは貴族のみ家庭教師に教わっていたが、平民達の学校を作り、6~10歳の子供達は皆、基本的なことを学ぶ初等学校に通うのが義務となった。
おかげで貧しくともなれる職業の幅が広がり、貧富の差が減り、優秀な人材の発掘にも繋がった。
10歳の年が終わり、優秀な人材はその上の中等学校にも通え、さらに上の高等学園にも行けるようになった。
一方の貴族は、今まで通り家庭教師に習い中等学校卒業までの事は家で学び、14歳になれば男女共に王都にある高等学園に通う事が義務となった。
こうすることで、王都から遠く離れた領地の貴族も管理しやすくなるのだとか……
まぁそれは建前で、優秀な人材の発掘と集団お見合いの様なものだ。
魔王が復活した時期、平民貴族に問わず多くの国民が亡くなった……その為、貴族間の結びつきも希薄な物となり、多くの下級貴族はとにかく跡取りをと平民を娶る事となった。
上位貴族は貴族の血を平民の血で薄めるわけには……と上位下位関係無く、とにかく貴族の女性を求めたため、下位貴族に回ってくる貴族女性がいなかったのだ……
中には息子を亡くし、若い貴族女性に子を生ませた中高年貴族も少なく無いそうだ。
酷い所では下位貴族を娶る位ならと、兄弟姉妹間や親子間で子を作った所もあるのだとか……
平和になった今となっては、その辺は触れてはいけない公認の事実となってしまった。
まぁ、それぞれの家庭で子供を作るに当たり色々あったので、つつけばつつき返されるので誰も触れないようになっている。
人口が減ったのも原因だが、貴族間の繋がりが希薄になったことにも原因があるのではないかと王妃は考え、この学園が出来たと言うわけだ。
学園が出来たことと平和になった事で、今現在この国では幼い頃からの婚約と言うものは無くなり、学園で相手を探すのが主流となった。
それは王家も同じで、王太子殿下も学園で出会った伯爵令嬢と卒業後結婚した。
そして、今現在王女殿下が学園に通われていて、この春第2王子が入学する。