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無刀の剣聖  作者: ところてん
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7.そしてロゥトへ

魔物の大集団との戦闘後、魔物を倒した印となる耳など体一部を念のため回収し、手早く移動の準備を進めた。


「クリストフ、助けられた村人は何人だ?」

「3人だ」


魔物の集団による襲撃を受けてしまった、ココット村。

その生き残りは、現在3名。

クリストフのお気に入りの娘、ミフィーと子供が一人、珍しいが太った中年のおじさんが一人。


「あ・・・あの、ありがとうございました!」


ミフィーがロイに礼をしていた。

・・・クリストフ、なんでお前は悔しそうなんだ?


「今は、礼はいい・・・それよりもなるべく早くここから逃げないと。」

「・・・わかりました。」


今回の戦闘では、最低限のゴブリンとその指揮官をしていたオーガを倒しただけた。

討ち漏らしたゴブリンは相当な数になる。


おそらく近くの森に今は潜んでいるが、魔物が集まれば魔素が集まる。

魔素が集まれば魔物の行動が活性化されるので、なるべく早くここから逃げてしまった方が賢明といえた。


「・・・っち・・・」

「どうしたであるな?」

「オーガにぶっ刺した俺の剣なんだが・・・」


オーガに投擲して突き刺していた自分の方の剣を死体から引き抜いたところ、骨がそうとう固かったのか身体に入っていた部分が砕けてしまっていた。

そこそこの業物だったので、大丈夫だと思っていたのだが、戦闘中に刃がかけてしまっていたし、しかたないとも思える。


「・・・よく刺さっていたであるな・・・」

「触った感じだとギリギリだったみたいだ。軽く触れたら倒れたから・・・。」

「どうした?」


ガッツと話していると、後ろからロイに声を掛けられた。


「いや、俺の剣なんだが・・・もう駄目だな。」

「・・・そうか・・・まいったな、クリストフも弓を壊したと言うし・・・」

「そりゃ、あんだけ弓で殴打すれば壊れるだろ・・・」

「武器が命を助けてくれたであるな。」

「・・・ジェフ、それは使えないのか?」


ロイが指さしたのは、オーガが持っていた大剣だった。刃は欠けがひどく、刀身はボロボロだった。

もともと大剣は、斬るよりも叩き潰す事を目的とした武器である為、形が剣になっている鉄の塊と考えれば使えない事もないだろう。


「しかたない・・・俺はこれを使おう。だが・・・」

「あぁ、俺の剣はそのままジェフが使ってくれ、こいつが振れない場所では必要だろ。」

「ロイは大丈夫か?」

「俺は盾もあるし、槍もまだいける。」

「わかった。・・・また、どこかで調達しないとな。」

「ジェフもいっそ、大型武器にするといいのである。」

「重い武器をずっと振れるような筋力はない・・・」

「筋肉は使えば増えるのである」

「・・・」


脳筋が!・・・


しかし間違った選択ともいえない。大型の武器は斬る事ができなくなっても使えるので、その分手入れが楽だったりする。

だが場所によってはうまく振れなかったり、筋力が足りていないとあまり意味をなさなかったりする。


「クリストフは、ダガーだけで大丈夫なのか?」


ミフィー相手にデレデレしていたクリストフだが、まじめな話なのでこっちに寄ってきた。


「・・・できれば剣が欲しいな。弓は、折れちまって殴るにも短い。」

「だよなぁ・・・ロイ。」

「そうすると・・・俺の剣をクリストフに渡して、ジェフは大剣だけだな。」

「・・・しかたないか。」

「村人達を守る必要もあるのである。ここは全員戦闘できた方がいいのである。」

「なら、村人の分の食料は・・・」

「クリストフが持つのである。」

「ミフィーちゃんの分でしょ?もつもつーーー」


荷物が増えて喜ぶとは・・・こいつはもう駄目かもしれない。


ある程度、体制を整えてからなるべく早く村から離れる為、俺達は一番近くの町を目指し進んでいく。

山の麓に位置するココット村から、川づたいに降りていくと、一番近い町ロゥトがある。

平野の地域なので、周囲は草原と大きな川が近くを通るその町は、以前にロイと一緒に剣を買った武器屋もある。


「大体2日ってところか。」

「俺達だけじゃないんだ。おそらく3日はかかる。」

「食料は、問題ないにしても今の装備だときついな。」

「とにかく、急ごう・・・魔物がもう一度くる可能性もあるんだ。」


ロイが先頭で歩きだし、ガッツがそのすぐ後ろ。

ミフィーとクリストフが何やら話しながら続き、子供とおじさんがそれについていく。

一番最後に俺が後方を警戒しつつ歩く。


「ロイさんってどんな方なんですか?」

「ロイ?俺達のかーちゃん的な?」

「お母様?ですか?・・・お父様ではなく?」

「んー飯とか作るのうまいし、いろいろと気が回るというか。」

「そうなんですね・・・」


聞くとポッっと頬を染めるミフィーを見て、クリストフが嫉妬の炎を燃やしている。

キレて魔物の集団に先制攻撃したのは、クリストフではあるが、ミフィーからするとそうでもない。


冒険者のチームはリーダーが逃げるか戦うかを判断する事が一般的であり、俺達もロイが決めたら戦う。

つまり、ミフィーからすると自分達を助ける選択をしたのは、あくまでもロイである。


クリストフ・・・残念だな・・・・なんでこいつは仲間を睨めるんだ・・・。


村の生き残り3人を連れた道中は、魔物もあまり出ずちょうどいい道しるべ替わりの川もある。

特に迷うこともなく、ロイが予想した通り3日で目的の町、ロゥトへたどり着いた。

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