1.爺さんとの出会い
激しい雨の中、その老人は俺の隠れていた洞窟の前に佇んでいた。
「小僧・・・なぜここにいる?」
ザーっという激しい雨音で、外の雨がより強くなった事がわかる。
遠くの方でゴロゴロと雷がなっていた。
「・・・・逃げてきた」
俺は力なく応答した。
なにせ気が付いたら今いる洞窟から少し離れた所にあった村のような場所にいて、身体は小さくなっているし、腹が減ってどうしようもないから、助けを求めたら、悪魔だの、魔族だのと大人達に追い掛け回され、逃げるのに必死だった。
「爺さんは、なんで?」
「魔族の討伐を依頼されての・・・」
老人の答えを聞いて、俺はあきらめてしまった。
抜いてはいないものの、腰には立派な剣を提げていて、口調も落ち着いている。
老いて見えても、現代日本では武道などかけらもやったことのない俺が、逃げる隙などないように思えたからだ。
「じゃあ、俺死ぬのか」
「・・・なにをいっておる?」
老人が理解していないようで、少し苛ついてしまう。
「なにって・・・向こうにいたやつらは、俺を魔族だと言っていたぞ!」
「・・・ほぅ・・・小僧は魔族なのか?」
「・・・わからない・・・が、そういって追いかけられた。」
「・・・そうか・・・目を見せてみろ。」
急にそう言われ、かぶっていたフードを脱いで老人を見た。
老人はフードを被っていて、目は見えないが、頬はこけ、白くなった髭を少し生やしていた。
「・・・ほぅ・・・魔眼持ちか・・・なるほど」
「魔眼?」
老人は特に答えなかった。だが納得した様子だ。
「小僧、お前に生きる術を教えてやる。ついてくるか?」
突然の勧誘に困惑しながら答えた。
「はぁ?・・・俺を殺さなくていいのかよ?」
「あぁ、突然すぎたの・・・すまんすまん」
そういいながら、老人は自分のフードを脱いで、目が見えた。
すると、黒っぽかった瞳が、徐々に青味を帯びてくる。
少し経つと、目から青白い湯気のようなものが立ち上り、綺麗に光っていた。
「わしも魔眼持ちでの・・・お仲間じゃ」
すると、爺さんは少し笑顔になっていた。
それが、俺と爺さんの出会いだった。