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篭の鳥  作者: 瑪瑙の指輪
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苛酷

晴れた日には空を見上げて、屋上でボケーっとしているのが俺の趣味だ。特に、教師に服装がどうのこうの言われたり、勉強のことでどうのこうの言われたりして疲れているときによくすることだ。まったく、目をつけられてんのか、くだらないことでぐだぐだと…

正直今学校に行くのが凄く怠い。俺が通っている高校は一応進学校で、勉強に関しては口うるさいのだ。次の五時間目の授業にある英文法のテストも自信がないから、こうして屋上にたたずんでサボるのが適策だ。テストに落ちればペナルティーもあるからな…そうして屋上の床に寝転がると、俺の頭上に影がかかる。そして声がかかる。

「おい何してる。もう昼休みは終わるぞ」そこに茶色い渕眼鏡をかけた髪の長い男子がいた。幼なじみの桐谷翼だ。こいつは俺と比べ成績が良く、それに加え、何事も要領よくこなす本当の意味で頭のいいやつだ。…俺の様に勢いに任せて行動することもない、まさに冷静沈着なやつだ。

「…遊、また授業サボるのか?」

「だって次英文法のテストだろ?俺絶対落ちるからここで寝てることにする」と俺は目をつぶって寝ようとする。

「お前はただでさえ森に目をつけられているんだぞ?…まぁ、目をつけている教師は森だけではないがな」

「これでテストに落ちたら、なお印象悪いだろ?」と俺は鼻を鳴らして答える。

「何いってんだ。サボる方が印象悪いに決まってるだろう。だいたい、落ちたとしてもペナルティーをやれば成績がマイナスにはされない、それくらい知ってるだろ」

「知ってるけどさ、俺ぁ、それが1番面倒で嫌いなんだ。だいたい、罰でそんなのやったところで何になる?」

「ったく…また羽場に放課後呼び出されるぞ」羽場というのは、俺達のクラスの担任で、体育の教師だ。

「羽場なんて、はなっから相手にする気ないよ」俺はあくびをしながら答える。やがて翼は呆れたようにため息をつくと、踵を返して屋上をあとにする。俺は…やはり眠ることにした。



――放課後、

「佐伯、あとで職員室に来なさい」と言う羽場を無視し、俺はいつものゲーセンメンバーでいつも通り近くのゲーセンに寄っていた。しっかしほんとに学校の教師は。いちいち口うるさいんだよ、こっちだって色々と疲れてるんだ、放課後くらい遊ばせろってんだ。

「う〜わ、学タイかよ…」「あぁ、椿は嫌いだったな」

「予選一回戦からこりゃないだろー」

「俺は学問得意だぞ?少なくとも芸能やスポーツよりはな」

「高梨は成績がいいからだろ。遊んでばっかいるくせに」

「馬鹿、それは関係ないぞ佐伯。数こなすことで大分変わるもんだ」

「おい、二人共始まるぞ」椿の声と同時に画面に問題が出た。「なになに…試験管内で行われること?なんだそりゃ?」

「高梨わかるか?どれ…インビトロ?何だよそれ?」

「おい覗くなよ佐伯。自分で考えろ」

「よし正解だな。次は…栃木県の華厳滝が繋かる川?知らね…」

「高梨…見せろ…大谷川?」

「お前ら…大丈夫か?この先」

「予選くらいは通りたいけどな、次は…1937年に爆発炎上したドイツの大型飛行船?なんだろ…ツェッペリンかな」

「椿、年代からそれ違うぞ…」

「じゃあなんだよ?」

「ヒンデンブルク?なんだそれ」

「あと二問だ…えっと、ヒトの染色体の数?」「椿、さすがにこれはわかるよな?」「馬鹿にすんなよ佐伯、47っと」

「まぁ問題ないわな」

「最終問題だ、ん…太平天国の乱を鎮圧した…湘勇を指導した人物…なんだっけか、これ」

「りこうしょうじゃなかったっけ?」

「それは淮勇だろ確か」

「もう片方だろ…おい高梨」

「…もう少しで出てきそうなんだが…」

「解ったっ!そうこくはんだろ?」

「よくやった椿!」

「太平天国は盲点だったな…って何で椿が一位なんだよ!84.3って、俺より10も高いじゃん」

「まぁ、実力だろうな」「うそこけ、俺の見てたくせに」

「佐伯は俺のを見てただろうが!」

「うーわ、二回戦スポランかよ…最悪」

「サイクロ落ちしちまうって、こんなとこで負けたら」



数分後、そのアーケードゲームをやり終え、

「ははっ、椿、一回戦で一位だったのに二回戦で最下位とか、どんだけだよお前!」

「うっせぇなぁ、よくあるこった、放っとけ」

「つか、ドラゴンって上がりやすく落ちやすいと思うのは俺だけかな?」

「…それはあながち気のせいでもないと思うぞ」

そのときだった。誰かに肩を叩かれた。

「んあ?」振り向くと、そこにはうちの高校の生徒指導の教師の稲葉、堀内 おまけに担任の羽場までいた。

「……………」

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