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20  話を聞かない子はあぷっ!

 カーライル家から魔車を借り、ヨーフォー山へと出発した一行。


 「にやにや~」「にや~」

 「……やめて、その顔……」


 間違って女性用トイレに入り、後から入ってきたヘンリエッタと遭遇するという、『お前はどこのラブコメ主人公だ』とツッコミが入るシチュエーションを堪能したキース。

 当然ながらこの話は一瞬で屋敷を駆け巡り、ヘンリエッタがキースを好いていることも合わせ、使用人も含め全員のニヤニヤが止まらない状況なのである。

 ちなみに当のヘンリエッタは、よほどショックだったのか、部屋から一歩も出てきません。


 「あぁー……気が重い……」

 「代償だね」

 「うぅー……」


 しかしヨーフォー山の入り口に着けば、文字通り空気が変わった。

 頂上付近を飛行する黒い影、岩陰に揺らぐ赤い炎、そして人ならざる何者かの雄叫び。


 「……マジでここ登るの?」

 「マジ。さぁーストレス発散と行きますか!」

 「いやぁ……」

 「久しぶりに本気で暴れますよ!」

 「クーさんまで……」


 キースとクーはお楽しみとばかりに気合を入れ、ワタは命の危険を感じている。


 「私待ってちゃダメ?」

 「ダメ」

 「えぇー……」

 「いざとなればわたしが守りますから」

 「……うん。でもそれで怪我すると私が治癒するんだけど」

 「あはは! そのとおりですね」


 呆れ顔のワタ。

 ここからは道が狭く車は入れないので歩きである。




 戦闘もなくしばらく歩くと、石造りの小屋、坑道事務所を発見。

 一応は一番しっかりしているキースが話をつける。


 「すみませーん」

 「……はーい」


 出てきたのは、拳で岩石を粉砕できそうな筋肉ダルマのお兄さん。

 好青年っぽい雰囲気なのだが、その外見が致命傷になりワタはクーの後ろに隠れた。


 「カーライル家の依頼でこの上にいる魔獣の掃討に来ました」

 「おっ、皆さんもですか。多いに越したことはないので歓迎しますよ」

 「……というと?」

 「あれ、説明されてないんですか? 賞金が出ているので現在12人がアタック中なんですよ。なので『魔獣の巣』までは比較的安全に登れるはずです」

 「ははー、なるほど……」


 キースはヘンリエッタの狙いに気付いた。

 つまるところ、なるべく賞金を出したくないので、タダで働いてくれそうなキースたちにも声をかけたのだ。

 その内容をキースはクーに耳打ちし、クーはワタに耳打ち。


 「……シュセンドってやつだ」

 「ははは、よくご存知で」


 ワタの一言に笑う筋肉お兄さん(マッスル兄貴)

 カーライル家がという訳ではないのだが、ヨーフォーは漁業と鉱業という大きな産業を二つ抱えているために、商売っ気の強い人が多いのだ。

 そんな土地柄ゆえに、ヘンリエッタも多少なりとも影響を受けている。


 事務所で入山許可をもらい、入山者の名簿にサイン。


 「……そういえばワタちゃんの名前、初めて見た」

 「そういえばそうですね。……やはりわたしたちは読めませんね」

 「私からしたらそっちの文字が読めないから。メガネ外したらラクガキにしか見えないもん」

 「ははは。お互い様だね」


 今更ながら。

 ステージ王国で使われている文字は、丸い部分のない、定規で書かれたような直線的でカクカクとした文字である。

 ちなみに以前も話に出たが、ステージ王国の通貨であるタクスは『TX』と書くが、これでもローマ字とは異なる別の言語。単なる偶然の産物である。


 「……はい。それじゃあ帰ってきたら自分の名前に丸をつけてください。下山した証明になりますので。それから夜までには帰ってきてくださいね。山の天気は変わりやすいですし、ヨーフォー山は月の影になる山で、夜は本当に何も見えないので」

 「ねー、夜どんくらい見えないの?」

 「こんな例えがあります。キスした相手が見えなかった」

 「おー分かりやすい」


 この例えが実話であり、しかも鉱夫同士であることはワタには内緒だぞ。第三者視点との約束だ。




 さて『魔獣の巣』までは比較的ながらも安全だと言われた三人だが、メインの坑道入り口を過ぎると早速魔獣が襲ってきた。

 しかし相手はゴブリン種なので、特記することもなくクーが一撃で倒した。


 「焦ったって! 安全じゃないじゃん!」

 「比較的、だからね」

 「そういうことです」

 「ぶーぶー!」


 キースの目線が、ふとワタの胸にあるネックレスへと向いた。


 「ワタちゃんさ、そのネックレス退魔の術がかかってるんだよね?」

 「うん。占ってくれたおばあさんがそう言ってた」

 「……なんでゴブリンが出てきたんだろうね?」


 表情は変えず、あえてぼかした表現をしたキース。

 だがキースの考えなどワタに効くはずもなく、「しらなーい」の一言で終わり。


 一方クーは、改めてワタのネックレスをよく観察。

 じーっと凝視されているので、ワタもくすぐったくなりネックレスを外しクーに渡した。


 「そんな見たいならどうぞー」

 「あはは、すみません」


 より近くでよぉーく観察。するとクーはとある点に気付いて、それをキースに耳打ち。

 キースは飛び跳ねるほど驚いたが、ワタと目が合ったので知らない顔。

 もう遅い。


 「なーにー? 言わないと自白させるぞー」

 「……仕方がないですね。ワタ、このネックレスは恐らく盗品です」

 「あのおばあさんが盗んだってこと?」

 「か、どうかは断言できません。けれどこれはそう容易く手に入る代物ではありません」

 「激レアってこと……?」


 これでも半分程度しか話していないクー。

 しかしワタは納得。


 「だったらそれクーさんが持ってて。それ聞くと逆になくしちゃいそう」

 「ふふっ、分かりました」


 笑顔で頷くクーだが、ワタに見られなところで苦い表情。

 ワタのネックレスには、それほどまでの大きな秘密が隠されていた。




 さらにしばらく歩くと、山の上で大きな衝突音。小石も転がってきた。

 何かがあったのだと急ぐキースとクー。一方ワタは所詮は普通の女子中学生なので、もうバテバテ。


 「う゛ぇ~ま゛っで~……って行っちゃったし……」


 近くに丁度腰掛けられそうな石があったので、ワタはここで休憩することに。

 上空を見上げると、あの黒い影が丁度ワタの頭上を旋回。

 能天気女子中学生はその黒い影に手を振っています。


 一方の戦力組。


 「……見えました」

 「よし、ワタちゃんは救護お願いね……って居ねぇ!」

 「ど、どうしましょ?」

 「いいや。放置。どうせワタちゃんなら勝手にどうにかするでしょ」

 「あーぁあー後で怒られるんだー」

 「真似しなくていいですから」


 なんだかんだで余裕のある二人。


 『魔獣の巣』に到着。

 そこいら中に魔獣の死骸が転がっており、怪我をした人もいる。


 「援軍です」

 「正しくは商売敵だけど」


 ワタがいなくてもツッコミ役のキース。

 倒れたタウロス種に座っている若い剣士が笑いつつ二人に話しかけた。


 「ははは、余裕があるんですね。こっちはかなり厳しいです。特にあの……あれ? ワイバーンどこ行ったか分かりますか?」

 「下から見た時はいたけど……見えませんね」

 「……ともかく、あのワイバーンがいいタイミングで邪魔してくるせいで陣形が崩されています」

 「んじゃお留守な今がチャンスか。あ、もう一人治癒能力を持つ女の子が来るはずなんで、それまで我慢してください」

 「助かります。お気をつけて」


 話し終わる前に走るクー。追ってキースも戦場へ。

 本番の戦場は、まるでここで戦えとでも言っているように開けた平地。


 「これなら狙いやすい」

 「と思っているのは相手も同じですよ。キースは後方支援!」

 「は、はいっ!」


 頼れる剣士キャラに変身したクーは戦場の中心へ突撃、キースは言い付けを守って支援に徹する。




 現在戦場にいるのは7人。魔獣は多種多様。

 クーは初手でスキルを使い大暴れ中。

 キースはその合間を縫って、他の人のため文字通り援護射撃。


 「いやー相変わらず姉さんつえぇーなー」


 クーの乱舞に感心しつつ、自分も的確な援護射撃で魔獣の攻撃を潰しまくっているキース。

 しかしここでまた大きな衝突音。すると山のさらに上から巨大な岩が降ってきた!

 岩はクーに直撃コース。それどころか周囲の剣士も全滅必至だ!


 「姉さん!」「くそっ……」


 スキル発動後で、対応できる姿勢でもないクー。

 命の覚悟をした。


 「………………ん? あれっ??」


 閉じた目を開け上空を見ると、岩なんてなかった。

 クーだけではなく、周囲の剣士も、そして同じく潰される運命だった魔獣たちも、上空を見上げて一様に頭上に大きなハテナマーク。


 「……あっ、ワタ?」


 クーはキースへと視線を移すと、キースがぎょっとしており、自分の横の人物から思わず体を反らしている。

 その人物――隠す必要も無いが、ワタがぜえぜえと息を切らし膝に手を当てつつ、ドヤ顔で親指を立てた。


 ワタは遅れはしたがしっかり登ってきて、手前にいる人たちの治癒を始めようとしていた。

 この落盤はその直後に起こり、ワタは戦場の確認のために、無い体力を振り絞り走り、確認すると急ぎ岩を消したのだ。


 「わ、ワタちゃん大丈夫?」

 「……らぁめぇ……」

 「あらら」


 体力切れで座り込んでしまったワタ。

 キースはせめてものご褒美に頭をポンポンして慰労。

 するとワタは「んしょ」と声を漏らしつつ立ち上がり、「治癒してくる」と言い残し戻っていった。


 「……俺、体力回復能力あんのかな?」


 朴念仁。




 その後はワタが回復させた人たちも再度参戦し、怪我をすればやはりワタがあっさり治癒するので、たった一人の物量で押し切っていく。


 「……終わった?」

 「っぽいっすね」


 数時間かかったが、ようやく魔獣の殲滅が終わった。

 すると遠く安全地帯にいるワタが「おっけー! なんもいなーい!」と改めて殲滅宣言。


 「んあぁ……つかれた……」

 「オレもっす……もう動けない……」

 「ヴェアァァ……」


 バタバタと倒れるようにその場に座り込む剣士たち。

 するとその上を旋回する巨大な黒い影。


 「……マジかよぉっ!」

 「ムリムリぃ! 死ぬって!」


 安堵が一転、阿鼻叫喚の現場。

 しかし黒い影は攻撃などする様子はなく、山の裏へと消えた。


 クーはあれだけ大暴れしていたが、それでもまだ体力が残っている様子で、ワタたちと合流。


 「追撃しますか?」

 「いやぁ……矢の残りが心もとないし、姉さんもだいぶ疲れてるでしょ? あれがなんであれ、今は撤退するべきだと思いますよ」

 「……そうですね」


 「ねー、あれなんだったの?」


 帰る気の二人に対して、ワタはバテていたことも忘れ、すっかり興味津々で行く気満々である。

 二人は顔を見合わせ、同時に深いため息をついた。


 「ワタちゃん、俺らもう帰りたいんだけど……」

 「わたしも疲れてヘトヘトなんですよ。万全でも危険なのに、今あれとやり合えば確実に死にますから」

 「んじゃ見るだけ。見たら帰ろ?」

 「そう言って死ぬ人一杯いるよ?」

 「んじゃ私が守るから。だいじょーぶだいじょーぶ」


 どうしても行きたいワタと、どうしても行きたくない二人の攻防。

 仕方がないのでキースとクーとで作戦会議。


 「……わたしが背負って無理矢理帰っちゃいますか?」

 「能力使われそうなんですけど」

 「ならば放置……はさすがにできませんよね?」

 「それも能力使われそうなんですけど」

 「というか、わたしたちがどう足掻いてもワタには勝てないのでは?」

 「気付いちゃいけないことに気付いちゃいましたね。はぁ……」

 「……ワタに頼りますか?」

 「もう本末転倒ですね」


 日が傾いてきてはいるが、それも含めワタにどうにかしてもらうことに。

 ワタはといえば、この無理難題を二つ返事で了承。

 この子、ただあの黒い影を見たいだけなんです。




 共闘していた人は下山、ワタたちは魔獣の作った獣道を進む。

 日はかなり傾いてきており、山影が遠くの平地まで伸びている。


 「ワタちゃん、そろそろ引き返さないとマジで遭難するよ」

 「そうなんですかー」

 「姉さん……」

 「あはは、冗談ですってば」


 唐突に降ってきたクーのダジャレに白い目のキース。


 「あ、ねえあれ!」

 「……あった」

 「あっちゃいましたね……」


 大型トラックでも入れそうなほどの、大きな横穴を発見。


 「はいはい見つけたから帰るよ」

 「中見ないと!」「ってワタ!」


 先ほどまでの疲れはどこへやら、スタスタと駆け足。

 洞窟を覗き、二人が追いついたと思ったらそのまま洞窟に突入してしまった。

 まるで暴走した子供。

 というかワタはまだ14歳なので子供である。


 「ワタちゃん! ……って、こりゃ……」

 「ヤバいですよ、これ……」

 「おー! これドラゴン?」


 こんなところで能天気女子中学生の本領発揮。

 目の前にはワタを一口で飲み込めそうなほどの大きさの影。それに怖がりもせず、ただ興奮するワタ。

 キースもクーも武器を構えることすらも忘れ、絶句したまま固まっている。


 少しずつ傾いてきた日が洞窟の中を照らし、その影の正体を映し出す。


 「……黒のワイバーン……」

 「ドラゴンじゃないの?」


 「姉さん!」「はいっ!」

 「ん? なに?」


 揃って武器を構え、命懸けの一戦が始まる。

 そんな死を覚悟した二人とは正反対のワタ。

 すると眠っていた黒いワイバーンが騒動に気付き目を開け、顔を三人の側へと向けた。


 「やべぇ、手ぇ震える……こえぇ……」

 「わたしもです……こんなこと初めて……」


 そんな二人を尻目にワタは何故か動じず。

 ワイバーンはまばたきをして様子を見ているだけ。

 しかしワタがワイバーンに振り返ると、その巨体を持ち上げ、ワタへと迫る!


 キースが先制攻撃! しかし震える弓は狙いを外し、ワイバーンのウロコにはじかれた。


 「ワタどいて! そいつに攻撃できません!」

 「あ、そうだね……って? おあっ!」


 ワタの能天気がついに致命傷となり、ワイバーンの口がワタへと襲い掛かる!




 「っ…………って?」


 さすがにワタも食われるかと身構えたのだが、何故かワタの足元に顔を下ろし、ワタを見つめるだけのワイバーン。

 ワタが首をかしげると、ワイバーンも同じように首をかしげる。

 ワタがまばたきをすれば、ワイバーンも真似して同じ数だけまばたき。


 「……んあぁ~」

 「フアァ~」


 ワタが口をあけてみると、ワイバーンもワタを一撃で食い殺せるほどの口をあけた。


 「ワタちゃん! ……ってなんか懐いてる?」

 「いや、でも黒いワイバーンですよ? 赤ならばともかく、黒ですよ?」

 「……ですよねー?」

 「でも……懐いていますよね?」

 「……なんだろう、今ならワタちゃんがアルトール様だって言われても信じちゃうかも」

 「信じ……ちゃうかも。わたしも」


 困惑して、どうすればいいのか分からなくなっている二人。

 一方ワタはワイバーンとあっち向いてホイ。ワタの連敗記録がヨーフォー山のように積みあがっております。


 「んもー! なんかわかんないけどこの子すごく強いんですけど!」

 「まあ……黒いワイバーンだから強いんだけど……」

 「って、外もう暗いね。帰ろっか」

 「ワタから言い出すとは思いませんでした。……しかしこれだけ暗くなると、道中で足止めですよ。明日まで動けません」

 「えー」

 「フェー」


 何故かワイバーンもワタと同じリアクション。


 「……あ、スマホをライトにすればいいんだ。んじゃ私たち帰るね。バイバーイ」


 相変わらず変わり身の早い能天気女子中学生。


 「フキューン……」


 しかし帰ろうとしたワタたちに対し、なんとも切ない声で鳴いたワイバーン。

 三人とも思わず足が止まってしまう。


 「ってかワタちゃん能力使った?」

 「ううん。あの子が勝手に懐いてきた」

 「黒のワイバーンから自らワタに懐いたと。……キース、諦めましょう」

 「姉さんまで? あぁー……大変だこれ……」


 ため息をひとつして、ワイバーンと意思疎通を図ることにしたキース。


 「えーっと……まず、俺の言葉は分かる?」

 「…………フンッ!」

 「おいっ!」


 まるでキースとは取り合わないと言いたげに顔を背けたワイバーン。

 次にクーもチャレンジしたのだが、こちらも同じように顔を背けられてしまった。


 「これはもう、ワタちゃんの話しか聞く気がないんだね。ワタちゃん頼める?」

 「うん」


 「ねー、言葉分かるひとー? ひとじゃないけどー」


 ワタが左手を上げると、ワイバーンも左翼を軽く上げた。

 鏡写しではなく、左手に対し左翼を上げたということで、このワイバーンは確かに人の言葉が分かっているのだと全員が納得。

 何を聞くのかはキースからワタに耳打ち。


 「……うん。ねえ、私たち食べる気?」


 軽く首をかしげた後、左右に振った。

 それをあっさり信用していいものかは疑問なのだが、今それは置いておくことに。


 「だったらさ、下まで送ってくれない?」「ワタちゃん!?」「ワタ!?」


 これはワタのアドリブ。

 するとワイバーンは体を持ち上げ、やる気。


 「あ、あのー、俺たちもいいのかな?」

 「……フンッ」

 「ですよねー」

 「ダメだよー。私たちは三人ひとセットだもん。話を聞かない子はあぷっ!」


 何故か飼い主気取りのワタ。

 頬を膨らませて叱ると、ワイバーンも叱られちゃったという雰囲気で仕方なしに頷いた。




 「ふおおお!! こわーいさむーいすごーい!!」

 「お……俺……高い所苦手なの自覚した……」

 「ワイバーンの背中ってほんのり温かいんですね」


 三人を背中に乗せ飛び立ったワイバーン。

 ワタは興奮しきり、キースは青い顔、クーはワイバーン自体に興味が行っている。


 「ワタ……ちゃん……車……」

 「分かってる。ねえ、事務所分かる? そこまででいいよ」

 「フンッ」


 鼻息で返事をしたワイバーン。

 すると次の瞬間急降下!

 三人とも絶叫し、キースに至っては泣いている。


 そのまま事務所に突っ込む勢いで降下するが、手前で姿勢を戻し、少し開けた場所に着地。


 「うぅぁ~……目が回るぅ~……」

 「もう……もうやだ……高いの怖い……」

 「さすがにこれは……わたしでもダメージ大きいです……」


 一瞬で瀕死の三人。ワイバーンも悪いことしたなぁーという顔。


 とにかく、その後三人は事務所で下山報告と、あのワイバーンの説明。


 「ワイバーンが勝手に懐いた!?」

 「信じられないでしょうけど……というか当事者の俺たちも信じられないんですけど、事実です」

 「……分かりました……けど……何が起こっても責任持ちませんよ」

 「すみません」


 こうして三人は無事、カーライル家へと帰ることが出来た。

 まるで懐いた野良猫にストーキングされるような事態になっているとは、気付かずに。



後にこのワイバーンはメイドに変身できる能力を得ます(嘘)

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