光の先に見えるもの(200文字小説)
「小明、暗いわ」
朝食の席、母の突然の言葉に憤る。
「根暗で悪かったわね!! そんな事いちいち言われなくても解っているわよ!」
「はぁっ?」
私が逆上した事に驚いたのか、母は数秒ほど戸惑った表情をみせた。しかし、直ぐに苦笑いを浮かべ……。
「勘違いよ。小明が日差しを遮っているから暗くてお化粧が出来ないの」
「えっ?」
母の言葉に振り返ってみると、太陽の光が窓越しに射し込んでいた。
――今の私には少し眩し過ぎるかも。
彼女が太陽の光に何を見たのかは想像するしかありません。
ちなみに、最初は「貴女が影でお化粧が出来ないのよ!」で終わらせてコメディにしようかと思っていたのですが、もう一捻りしてみました。
200文字小説とは奥が深いものですね。