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『Second Earth Synchronize Online』  作者: 夢・風魔
第4エリア『真実』
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4-10:探し物はなんですか?

 俺とフェンリルは、暫く北と南の境界線とも言える崖沿いを歩いた。どこかに南側へと降りれるような場所が無いか探す為だ。

 見つけたところで降りる気は無い。どちらかというと、降りれる場所が『無い』事を確かめたかっただけだ。

 日が暮れる直前まで崖沿いを東に向って歩いてみたが、延々と続く崖があるだけで降りれそうな場所はどこにも無かった。

 崖の高さも一〇〇メートル以上はあるし、モンスターが登ってくる様子も無い。


「飛行系のモンスターだって居るのに。何であいつらは上がってこれないんだろう?」


 崖沿いを歩いていると、蠢く塊の中にたまに飛んでる奴等も見えた。飛行系なら飛んで来そうなものなのに、一匹もこっちには近寄ってこなかったのだ。


「そもそもこの崖がいろいろと不自然なのだよ。もしかすると、この崖そのものが名も無き女神が造ったもので、結界みたいなのがあるのかもな」

「あー、その可能性はあるか」


 フェンリルの言葉に納得し、暗くなり始めた境界線から引き上げる事にした。

 彼女の『帰還』魔法で、情報収集も兼ねて王都ファルドナに戻る。

 もう日も暮れているので、情報収集は明日にして宿へと向った。

 二部屋取って荷物を置いて食堂へと向かい、そこで名も無き女神について考えてみた。


「そもそも、神様って実在するんだろうか?」

「するんでしょ? だってファンタジーだし」

「いや……そういう意味じゃなくって――うーん、なんていうのかな。目に見える存在なのかなっていう意味でだ」

「あー、なるほど。魂だけの存在で、目には見えないとかそういう類か」


 そう。俺の知ってるファンタジー小説なんかでは大抵そんな感じだ。

 祈れば奇跡の力=神聖魔法が使えるが、姿を実際に見ることは出来ない。高位の司祭なんかの体に降臨してくる事もあるが、神様は直接何かをしたりってのは出来ない――みたいな。


「そうなると、探しても無駄って事ね……」

「あぁ、そう思う。でも逆に言えば、どこにでも居るっていう事にもなるだろ?」

「呼べば出てくる、と?」

「まぁ流石にそれは無理だろうけど。試しにフェンリルの体に降臨させてみるとか?」


 俺は笑って答えたが、答えた後ではっとなった。

 俺が知ってる限り、神様降臨なんてさせたら、肉体の持ち主の魂が消滅するとかって設定なんだよな。


「や、やっぱ今の無し」

「無しも何も、女神降臨なんてやり方知らないし」

「知っててもダメだ。お前が消えて無くなってしまう」

「ほぉ、それなりに心配はしてくれるわけだ」


 にやにやと笑みを浮かべて運ばれてきた料理を口に運ぶ彼女。

 だから、俺は心配して追いかけてきたんだってのに……ったく。調子狂うなぁ。


「じゃー女神の捜索は一旦止めるとして。どうするの?」

「うーん……フィンたちが英雄の話を司祭から聞いてた、と過程して、そっちを当たってみるか?」


 宿の食堂には、俺たち以外にも商人風なのや旅人風の客が何人も居た。中には武器を携えている人も居る。

 つまり、プレイヤーであり冒険者な俺たち以外にも、モンスターと戦う人は確実に居るって訳だ。

 にも関わらず、女神は異世界から人を召喚して、モンスターを一掃させようとしている。

 それは何故か?


「それに関しては、この世界の住民と神との確執にあると思う。神への信仰が奇跡の力を生むなんて、よくある設定でしょ?」

「人々が神を信仰しなくなったから、魔法とかの力が弱くなって、神は人を信用しないから……モンスターの数が増した、とか?」


 たぶん――とフェンリルは答える。

 だが地球人はその影響下には無い。ゲームのシステムとして戦う力を持っているから。


「なんかすっげー迷惑な話だな。その、地球人からすれば」

「ゲームみたく、死んでもセーブポイントに復活する――だと、別にいいんだろうけどね」

「試すなよっ」

「流石に試す気にはならないから、安心しなさい」


 一瞬脳裏に過ぎる、マンドラゴラヒヒに囲まれてデスペナを食らった彼女の姿を。

 あの時は『ゲーム』だったから、経験値が減って装備がぼろぼろになっただけで済んだが。この『セカンド・アース』だとどうなるか……。

 俺が知っている限り、この世界で死んだ人はセーブポイントで復活なんかしない。するようだったら、俺は地球に行ってなかったはずだから。

 あの二人に助けられる事もなかっただろう。


 そういえば……


「村が襲撃されて、唯一生き残った俺を助けてくれたあの二人……。俺を地球に転移させた魔法を使ってたんだ……」


 最後のサラダを口に運びながらぽつりと洩らす。

 ぽかんと口を開けたフェンリルも、何かを悟った様子だった。


「そうかっ。帰還魔法や転移魔法の応用なのだろう。その二人に会えれば一番いいのだろうが……」

「いや、たぶん無理だと思う」


 生きてはいない。

 俺を転移魔法で送った時のあの場所は、たぶん南側の大地だったんだと思う。

 無数のモンスターに囲まれて、生きていられるとは思わない。

 察してくれたのか、フェンリルはその事には一切追求せず、異世界への転移魔法についての記述が無いか調べようという事になった。


「帰還魔法なんかは神聖魔法の系統だ。となれば、やっぱり探すのは教会か……」

「昼間の教会にもう一度行って見るか?」

「そうね。司祭に話を聞くのもいいかもしれない。ヘタすると大陸中央って所じゃないとダメかもしれないけど」

「中央かー。そもそもここって、大陸全体でどの位置なんだろうか?」


 俺たちが買った地図は全体が描かれていない。店主の話だと、大陸の比較的西側だけだって話だった。

 それも含めて、明日しっかり調べる事にしよう。

タイトルのネタが……もう、無いんです。

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