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間話2-3

 とうとう土曜日だ!

 ばーちゃんのカレーを食べながら九時になるのを今か今かと待っている。


「ばーちゃん、カレー甘すぎるよ」

「そうかい? いつもと同じだと思うんだけどねー」

「うん。いつも甘すぎるんだよ」

「あらぁ。でもこれ、おじーちゃんが好きな味だしねぇ」


 いつまでに死んだじーちゃんの好みで味付けか。なんつーか、死に別れてもラブラブなんだな。


「あぁほら蒼真。お月様の裏側にある宇宙基地特集だよ。わたしゃこれ見るとわくわくしてねー」

「ばーちゃん、あんまり興奮するとぽっくりいっちゃうから、ほどほどにな」

「まぁ、心配してくれんのかい?」


 そりゃまー、唯一の身内ですし?

 ってか、月面の宇宙基地か。確か――


 十六年前に、新しい光速宇宙航行の実験に失敗して、なんかすげー事になったとか?

 小学生の時にじーちゃんから聞いたけど、もう覚えてないな。


「なぁばーちゃん。十六年前に失敗した実験で、どうなったんだっけ?」

「え? 十六年前――」

「そう、十六年前だよ。月面でなんかあったんだろ? じーちゃん言ってたぜ」


 ん? なんか変な事聞いたかな、俺。

 ばーちゃん、なんか怯えてるみたいだぞ。まさか、宇宙人が来てばーちゃん攫われてたとか!?


 そんな訳は無い。


「あ、あぁ月面基地での事だね。そうさねぇ、テレビでちょっとだけ騒がれた後、直ぐに話題が消えちゃってねー。たぶん、わたしが思うに、政府の陰謀だよ。うん、陰謀さね」

「いや、陰謀説はいいけど、それで基地はどうなったのさ」

「それだねー、ばーちゃん良く解らないんだけどさぁ。お月様の裏側にぽっかりと穴が空いたとか。あー、お月様にじゃないんだよ。お空の方さね」


 ……月面の裏側、それも宇宙空間の方に、穴?

 なんのこっちゃ。


 気になってテレビを見てみた。

 これ、月面特集じゃなくって、超常現象特集じゃん。

 まさに十六年前の事件が流れていた。


 日本だけじゃなく、外国の宇宙局なんかが中心になって当時の事件を無かったことにした。――みたいな内容だな。

 その事件ってのが、宇宙航行実験の失敗で膨大なエネルギーが宇宙空間に放出され、それが原因で時空に亀裂が――。


「SFか」

「ん? えすえふ?」

「あー、ばーちゃん。スコシフシギの略だよ」

「そーかい。それで蒼真、今日は寝ないでゲームするのかい?」

「うん。そのつもり。どうせ四月からまた学生生活始まるんだ。今の内に遊びまくるんだ」

「まぁ大学受かったんだから文句は言わないけど。体には気をつけるんだよ?」

「解ってるって。朝になったらしっかり寝るから」


 激甘カレーを食べながら、俺はテレビに映るSF的内容の陰謀説を見ていた。


 結局、陰謀なんてなかった。

 莫大な予算をかけて行った実験が大失敗に終わったんだ。それを突かれたくなくってマスコミを操作して、事件の公表を禁じただてっていうオチ。

 宇宙空間に開いた穴――次元の亀裂も妄想家によるデマだとう事だ。一部のオタクは今でも穴は存在するとか言ってるらしい。

 まぁそんなのあったら、別の世界に繋がってて、そこから誰か転送されてきてたり、逆に転送できたりするかもな。


「ばーちゃんご馳走様。次はせめて中辛混ぜてくれよ」

「考えとくよ」


 考えるような事なのか?

 食べ終わった食器を片付けて、もちろん洗い、急いで風呂を終わらせてから部屋に戻った。


「さて、ログインの準備じゅんびっと」


 準備といっても何もないんだけどな。ベッドの横には常にヘッドギアを置いてるし。

 パソコンを立ち上げブラウザを開くと、さっきやってた特集にもあった月面基地のニュースがあった。


『時空の亀裂は存在するのか』


 そんな見出しだったけど、そこからロボットでも出てくるなら少しは興味惹かれるけどな。

 まぁ俺はロボットよりも剣と魔法のほうが好きだけどね。

 そしてもうすぐ、そのファンタジーなゲーム世界で合宿だ!


 こっちの一時間が、ゲーム内での二十四時間。

 十時間連続接続可能になってるから、ログアウトさへしなきゃ十日間の合宿になる。

 さぁて、何しようかなー。

これにて2章分の間話は終わりです。


間話といいつつ伏線ネタバレがある件……

一部だけ見るとSFっぽいですね。


さて、明日からは3章に突入です。

前半はゲームらしく、後半からちょっとシリアスムードに。

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