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初めての上世界

どのくらい気を失っていたのだろう。

何分か、何時間か、あるいは、何日か。

目を開けると、飛び込んできたのはオレンジ色に広がる空だった。

やけにふわふわしたものも一緒に浮かんでいる。

身体を起こそうとするが、力が入らない。

僕は、このまま死んでしまうのだろうか。

『強者』に襲われずに死ねるのなら、それでも良いかもしれない。

そのまま僕は目を閉じた。


目が覚めると、僕は先ほどいた砂の上ではなく、網の上にぶら下がっていた。ハンモックだろうか。

「あ、目が覚めた? 気分はどう?」

ハンモックの下には女の子がいた。ウロ子だろうか。

「ウロ子?」

「ん? ウロコ? きっと、夢を見ていたんだね」

彼女はそう言って僕を覗き込むように見てきた。ウロ子ではなさそうだ。

「大丈夫? 立てる?」

そう言うと彼女は僕に手を差し出してきた。手を取ると、彼女はグイと引っ張る。

「ここは、どこ・・・?」

「私の家。ごめんね、汚れてて」

そうは言うものの、何も汚れていない。

「あ、あの、ありがとうございます。ええっと」

名前を言おうとしたが、名前が分からなくて戸惑う。

「私、リーニャ。リーニャ・スラーシュ。君の名前は?」

「僕は・・・」

言いかけた直後、外から轟音がした。

「ああ、また噴火してる。今日は一段とすごいな」

リーニャと名乗るその女は窓を見てそう呟いている。

「それにしても、この大噴火のときに海にいるなんて、君も命知らずだね」

呆れた顔をして僕にそう言う。

「噴火って、どういうこと?」

「えっ? 知らないで海にいたの!? 窓を見てごらんよ」

彼女はそう言うので、窓を覗くと、水平線の手前に煙が上がっている。

水平線・・・・・? 何故、僕は水平線を見ているのだ?

僕のいた世界に水平線なんて存在しないはず。と言うことは、ここは。

「ここ、もしかして上世界!?」

「上世界? 何のことか分からないけど、ここは私の家だよ。私以外誰もいないから安心して」

「そう言うことじゃない! ここは上世界なのかって聞いてるんだ!」

少し強めに言ってしまう。言ってから、僕は、僕のことを一切知らないのに助けてくれた女の子にこんなことをしているのかと我に返る。

「ごめん、その、僕・・・」

「待って、君の言っている上世界って言うのは何のことなの? もう少し詳しく教えてよ」

彼女は意外にも食いついてきた。

「僕の住んでいた場所、海にあるんだ」

「えっ?」

「正確には、海の底にある」

「ちょ、ちょっと待って、海の底に人間が住んでいるの? つまり君は・・・えーっと、人魚?」

リーニャが必死に頭を抱えて質問をしてくる。人魚とは何のことなのだろうか。

「人魚って言い方、あまりしっくりこないな。でも、君たちから見ると僕は人魚なのかもしれないけど」

「そうだ! 村長なら何か分かるかもしれない! 村長のところに行こう!」

リーニャはそう言って僕の返事を聞かないで村長の元へと連れて行ってくれた。



つづく

書いていて凪のあすからと本当ダブってきたと心から思います。

設定から言うと、リーニャの住んでいる上世界(地上)は日本ではなく南国のどこかと言うことにしてあります。

主人公の名前を出す予定は今のところないです。

ウロ子については今後どこかで出てくると思います。

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