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姉と弟  作者: 深江 碧
七章 姉に事情を話し、二人で逃げる
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姉に事情を話し、二人で逃げる5

 次男は革張りの椅子にゆったりと座っていた。

 目を閉じ、天井を見上げ、足を組んでいる。

 しばらくして部屋の扉をノックする音がする。

「開いてるよ」

 次男は目を閉じたまま答える。

「失礼いたします」

 扉を開けて一礼し、大きな箱を持った黒服の男が入ってくる。

 男は次男のそばで立ち止まり、箱を開ける。

「頼まれた品をお持ちいたしました」

「うん」

 次男は目を開け、椅子から起き上がる。

 黒服の男が持ってきた箱の中身を見下す。

 それを手に取る。

「結構重いね。これは撃った時の反動が大きそうだね。銃の扱いに慣れていない者には辛いんじゃないかな?」

 黒服の男はうやうやしく答える。

「反動を最小限に抑えるように設計されています。何と言っても、女子供にも撃てる拳銃だと銘打っている品物ですから」

「これは可憐な女性には似合わない品物だよ? 特に彼女には、とても扱えないと思うのだけれど」

 次男は拳銃を握りしめ、笑う。

 それを新調したホルスターにしまう。

 拳銃ごとホルスターを机の上に置き、すっくと立ち上がる。

「さてと、可憐なお姫様を兄貴の手から助けるために、準備をしないとね」

 手をひらひらと振り、隣の部屋へと向かう。

「やっぱりここは少し悪いイメージで、黒のスーツがいいかな? 久しぶりに彼女に会うんだから、ここは男らしく頼りがいがあるところを見せなきゃね」

 隣の部屋は次男の服が置いてある部屋だった。

 部屋一つ分がすべてクローゼットとなっている。

 次男はうきうきとした軽い足取りで向かう。

「そうすれば、きっと彼女もおれに惚れ直すだろう。そのためにも、ばっちり服を決めて、彼女と会う準備を万端にしておかないとね」

 そう言って、部屋へ入っていく。

 拳銃の箱を持つ部下は、ぽつりとつぶやく。

「あの方は、今は目が見えないのですから、服装も何も気にされないような気がいたしますが」

 部下は呆れつつ、部屋の中で小さな溜息を吐いた。

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