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姉と弟  作者: 深江 碧
十四章 悪夢
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悪夢4

 吹雪の中、納屋の炎はまったく衰えを見せなかった。

 現場で指揮をしていた中年の部下もその段階になって、ようやくこれが罠だと気付き始めた。

 必死に消火に当たる部下たちを眺めながら、別のことに考えを巡らす。

(もしもこれが敵の誘導であるならば、現時点で手薄になった屋敷を襲うはず。それこそが敵の真の目的かもしれない)

 中年の部下は現在のこの屋敷の警備状況を確認する。

(若のそばに部下を数人残してある。もし何かあれば報告が来るはずだが、部屋にいるオリガ様の元には誰もついていない。もしも敵の目的がオリガ様の命なら、これほど好都合なことは無いだろう)

 考えるが早いか、中年の部下はきびすを返す。

「後は任せた」

 部下たちにそう言い置いて、自分は屋敷へと足を向ける。除雪された小道を歩いていく。

 歩いているうちに自然に足が速くなる。

 最悪の状況が頭をよぎる。

 それは外から屋敷を眺めた時に確信に変わる。

 二階にある姉の寝室のベランダの窓ガラスが割られ、開け放たれている。風で白いカーテンが幽霊のように揺れている。

「私としたことが」

 中年の部下は走り出す。

 胸元の拳銃を引き抜き、安全装置を外す。

 すぐに撃てるように準備をし、吹雪の中を白い息を吐き出して小走りに駆け抜けた。

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