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姉と弟  作者: 深江 碧
十二章 過去そして現在
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過去そして現在10

 弟は男の後を一定の距離を開けて歩いていた。

 その音をほとんど立てない歩き方からも、体重を感じさせない身のこなしからも、その男が一般人とは明らかに違うことがわかる。

 弟と同業者か、軍人か、それともそれ以外の者か。

 男の身なりから身分を判断する物は見られない。

 どこにでもある黒いコートに黒い靴、黒い帽子を目深にかぶっている。

 表情も年齢も分からない以上、警戒するべき相手であることは確かだった。

 男はずっと人通りの多い大通りを歩いていた。

 弟はその後をついて歩いている。

 男は振り返りも、足を止めることもしなかった。

 弟に気付いているのか気付いていないのか、それさえもわからない。

 人ごみに同化している。

 早々にまかれると思っていた弟は、少し拍子抜けしてしまう。

 姉の手がかりになるかと思ってここまでつけているのだが、あまりにも自然すぎて、男について行っても何の手がかりも無いのかもしれない、と思ってしまう。

 不意に男が細い路地に曲がった。

 弟は警戒しながらもその路地の角を曲がる。

 薄暗い路地へと足を踏み入れる。

 その時だった。

 弟は背後から腕を捕まれる。

 無理矢理にそちらを振り向かされる。

「お前、何してる」

 声を掛けられるのと、弟が拳銃を取り出すのはほぼ同時だった。

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