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姉と弟  作者: 深江 碧
十章 あなたの本当の気持ちを教えて下さい
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あなたの本当の気持ちを教えて下さい13

 地下の酒場で隣に座る黒蛇は、白蛇の話を聞いていた。

「別に良いんじゃないか? 白犬に彼女の無事を伝えるだけならば」

 同じくカウンターに座る白蛇は、酒場の主人の出してくれたカクテルでのどを潤す。

 グラスを乱暴に置く。

「それだけならね。でも白犬はあろうことか、彼女に会いに行くと言ったのよ。それで彼女の居場所を教えろと言って来たのよ」

「ほう」

 黒蛇はちびちびとアルコール度数の高い酒を飲んでいる。

 怒鳴る白蛇の話に相槌を打っている。

「だからあたしは彼女の居場所は教えられないと言ったら、白犬は自分で探しに出かけたわ。馬鹿な白犬。今行っても彼女に会えるはずはないのに。あいつったら、主人に対しての忠誠心が厚すぎるのよ。だから今回だってこんなことに……」

 白蛇はグラスのもう半分のカクテルを飲み干し、カウンターの向こうにいる主人へと返す。

「今度はブラッド・アンド・ブラックをちょうだい。今日はとことん飲むわ」

 そう不機嫌に言い放つ。

 その話を聞いた黒蛇はグラスを傾け、光を透かす。

 グラスの中の酒と氷を通して、テーブルに光が反射している。

「それは果たして、彼女に対する忠誠心からだけなのかな?」

 黒蛇は小さな声で考え込むようにつぶやく。

 隣の白蛇にはその声は聞こえていなかった。


 *


 姉はベッドの中で目を覚ました。

 目が見えない姉は、今が夜なのか昼なのかはわからなかったが、辺りが暗くなっていることはかろうじて感じ取れた。

 窓の外は吹雪のようで、強い風が窓ガラスを揺らしていく音が聞こえる。

 ベッドの中で姉はかすかに身じろぎする。自分の額に手を当てる。

 頭が割れるように痛い。体が熱い。

 体調は良くならず、いまだに高熱が続いている。

 三男の屋敷から次男に連れ出されものの、姉は車の中でそのまま意識を失った。

 屋敷に連れて来られてから一昼夜経つが、姉はずっとベッドから起き上がれない。

 体調は良くなっていない。

 次男の屋敷の使用人たちの手厚い看護で、少しずつ姉の体調は良くなっているものの、まだ床から起き上がることも出来ない。

 その時、窓の外で物音がしたような気がした。

 本当にかすかな物音で、ただの気のせいかもしれない。

 窓の外で屋根から雪が落ちた音かもしれない。

 しかし姉は妙にその物音が気になった。


 物音を聞いた姉は、

 ①ベッドから起き上がり、辺りの様子に耳を澄ませる→→→バッドエンド3へ

 ②気のせいだと思い直し、再び寝入る→→→姉と弟 十一章へ

 ③部屋の様子を見ようとベッドから降りる→→→その拍子にベッドから落っこちて、首の骨を折る


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