あなたの本当の気持ちを教えて下さい13
地下の酒場で隣に座る黒蛇は、白蛇の話を聞いていた。
「別に良いんじゃないか? 白犬に彼女の無事を伝えるだけならば」
同じくカウンターに座る白蛇は、酒場の主人の出してくれたカクテルでのどを潤す。
グラスを乱暴に置く。
「それだけならね。でも白犬はあろうことか、彼女に会いに行くと言ったのよ。それで彼女の居場所を教えろと言って来たのよ」
「ほう」
黒蛇はちびちびとアルコール度数の高い酒を飲んでいる。
怒鳴る白蛇の話に相槌を打っている。
「だからあたしは彼女の居場所は教えられないと言ったら、白犬は自分で探しに出かけたわ。馬鹿な白犬。今行っても彼女に会えるはずはないのに。あいつったら、主人に対しての忠誠心が厚すぎるのよ。だから今回だってこんなことに……」
白蛇はグラスのもう半分のカクテルを飲み干し、カウンターの向こうにいる主人へと返す。
「今度はブラッド・アンド・ブラックをちょうだい。今日はとことん飲むわ」
そう不機嫌に言い放つ。
その話を聞いた黒蛇はグラスを傾け、光を透かす。
グラスの中の酒と氷を通して、テーブルに光が反射している。
「それは果たして、彼女に対する忠誠心からだけなのかな?」
黒蛇は小さな声で考え込むようにつぶやく。
隣の白蛇にはその声は聞こえていなかった。
*
姉はベッドの中で目を覚ました。
目が見えない姉は、今が夜なのか昼なのかはわからなかったが、辺りが暗くなっていることはかろうじて感じ取れた。
窓の外は吹雪のようで、強い風が窓ガラスを揺らしていく音が聞こえる。
ベッドの中で姉はかすかに身じろぎする。自分の額に手を当てる。
頭が割れるように痛い。体が熱い。
体調は良くならず、いまだに高熱が続いている。
三男の屋敷から次男に連れ出されものの、姉は車の中でそのまま意識を失った。
屋敷に連れて来られてから一昼夜経つが、姉はずっとベッドから起き上がれない。
体調は良くなっていない。
次男の屋敷の使用人たちの手厚い看護で、少しずつ姉の体調は良くなっているものの、まだ床から起き上がることも出来ない。
その時、窓の外で物音がしたような気がした。
本当にかすかな物音で、ただの気のせいかもしれない。
窓の外で屋根から雪が落ちた音かもしれない。
しかし姉は妙にその物音が気になった。
物音を聞いた姉は、
①ベッドから起き上がり、辺りの様子に耳を澄ませる→→→バッドエンド3へ
②気のせいだと思い直し、再び寝入る→→→姉と弟 十一章へ
③部屋の様子を見ようとベッドから降りる→→→その拍子にベッドから落っこちて、首の骨を折る




