人物紹介という名の作者のメモ書き(ネタバレあり)
姉【オリガ・ユスポヴァ】……財閥の元総帥の令嬢。交通事故のために現在目が見えない。弟の好意には気付いていないが、唯一の家族である弟を誰よりも大切に思っている。夜会で出会った次男になぜか気に入られるが、本人は恋愛ごとにはまったくの鈍感。彼女が財閥の令嬢らしくないのは、両親と暮らした貧しい下町での生活を知っているため。長い黒髪に青い瞳で、社交界では「白百合」と称されている。一人称は、わたし。
弟【デニス・ユスポフ】……銀髪に赤みを帯びた金色の瞳の財閥の元総帥の養子。姉とは血の繋がらない姉弟で、姉に好意を抱いている。姉には知られていないが、財閥の総帥家族を守るために送り込まれた護衛。組織の人間からは、依頼主に対する忠実さと銀色の髪から白犬、と呼ばれている。本人は隠しているが、本当はとても情の深い性格。元々要領が良く身の回りのことは何でも自分でこなす。趣味は料理。銀髪に赤みを帯びた金色の瞳をしている。一人称は、僕。
叔父【ビクトル】……財閥の現総帥。実の兄である姉弟の父親から財閥総帥の座を奪う。交通事故に見せかけて姉弟の両親を殺そうとするが、実際に手を下したのは彼の長男。優秀な兄と違って、本人は小心者のいたって平凡な人物のため、引き継いだ財閥や息子達を上手くまとめられていない模様。若い頃は美男子で、女性にもてたらしい。弟をかつて愛した女性との間に出来た自分の実の息子だと信じている。一人称は、私。
伯母【ヘレナ】……姉弟の母親の姉。夫に早くに先立たれ、隣国の巨大組織の首領の座を継ぐことになる。それ以来、表向き厳格で非常な態度を取っている。弟の主人で、彼を護衛として妹夫婦の元に送り込んだ。先立たれた夫との間に子どもがいないため、妹である母親やその娘である姉を溺愛している。一人称は、あたし。
父親……財閥の元総帥。若きピアニストである母親と出会い、財閥の跡取りの座を捨てて駆け落ちした。元々温厚な性格で、財閥の裏取引のことを知り、一人で苦しんでいる部分もあった。一人娘である姉は、貧しい生活の間に生まれた子ども。後に連れ戻され、財閥総帥の座に就く。
母親……隣国出身の元ピアニスト。穏やかで繊細な性格のため、社交界での陰口に耐えられず、一時は精神を病んでしまった。今は愛情深い母親として姉の相談に乗ったりもしている。ピアノの他に料理や家事全般が得意。弟に料理を教えたのも母親。
長男【セルゲイ】……叔父の政略結婚の一人目の妻の息子。姉弟の両親の命を直接奪った人物。冷徹な性格で、いっさいの無駄を嫌う合理主義者。生まれながらの天才で、財閥内で叔父に次ぐ権力を握っている。前総帥の娘である姉を邪魔者として排除しようとする。工業技術関連の会社運営を任されており、次期総帥の最有力候補。黒髪、オールバック、眼鏡がいいと、希望あり。灰色の瞳をしている。一人称は、私。
次男【アレクセイ】……叔父の二人目の妻の息子。表向き女好きの軽い性格に見えるが、その実は真面目で常識派。長男、四男とは表立って波風を立てないようにしているが、冷戦状態にある。母親が平民出身。上下関係なく部下とも気さくに話しができる。大学では服飾デザインを勉強し、財閥内でも服飾やデザイン関連の会社管理を任されている。金髪に深緑の瞳。一人称は、おれ。
三男【フェリックス】……叔父の二人目の妻の息子。生まれつき体が弱く、いつも車椅子で生活している。のんびり屋で心配性だが、地道な努力家。小さい頃は実の兄である次男と仲が良かったが、現在は微妙な関係。医療機器の会社の運営に携わっている。銀髪に青い瞳。一人称は、ぼく。
四男【グレゴリー】……叔父の三人目の妻の息子。世渡り上手で、博打打のような思い切った投資も得意。無邪気で人懐っこい性格の裏に、人を人と思わない残虐な行為を楽しむ趣味を持っている。表向き長男と仲が良い。焦茶の髪に灰色の瞳。一人称は、ボク。
婚約者……姉の元婚約者。彼の評判と地位は、金をばらまいて手に入れたもので、姉と婚約し財閥の次期総帥の座を狙っていた。姉弟を捕えることに失敗し、財閥内で辺境の東方支部に左遷される。その一族も没落している。
ワタリガラス……組織での弟の知り合い。伯母の部下として弟と共に護衛の任に就いていたが、しばらく前から連絡が取れなくなる。ワタリガラスと言う名前は、情報収集能力と移動力の高さを見込まれてつけられた。黒髪に黒目。一人称は、俺。
部下の男【イーゴリ】……次男の部下の中年の男性。次男が小さい頃からそばにいる。灰色の髪に同じ色の瞳。
若いメイド【マリア】……次男の屋敷で働くメイド。姉の身の回りの世話を任されている。
赤狐……弟の組織で伯母の右腕となって働いている青年。赤狐の名前は見事な赤髪と、狐のような細い目つきから。銃火器や爆発物の扱いが得意。
白豹……弟の実の母親。見事な銀色の長い髪と金色の瞳、美しい容姿からそう呼ばれる。一時期叔父の護衛に就いていたこともある。叔父の強い願いから、一晩を共にする。叔父の言によると、弟はその時に身ごもった子どもらしい。彼女はその後叔父の前から姿を消し、二度と会わなかった。
赤猫……赤狐の年の離れた姉。白豹の相棒として、長年組んでいた。豪快で面倒見の良い美女。一人称は、あたし。
黒蛇……致死毒の扱いを得意とする黒髪に金色の瞳の妖艶な美女。
白蛇……神経毒の扱いを得意とする金髪に青い瞳のスレンダーな美女。黒蛇を姉のように慕う。過去の体験から男嫌いだが、白犬に対しては信頼を寄せている。
黒鷲……三男に情報を流している男。