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しるし(詩集)

僕は小さなまちの新聞

作者: さゆみ

僕は小さなまちの新聞

僕には悲しい事件や事故は要らない

このまちの楽しい話題が欲しいな


情報を下さい

記者が取材に向かうよ


まちで一番サッカーが得意な少年でも

長寿で元気なおばあちゃんでも

美しい花が咲いているとかでもちゃんと検討するよ


でも僕にはきれいな飾りとか脚色は一切要らないよ

みんなに伝えるのは本当だけでいい

決して主観的にならないで記者は平等に正確に原稿を書くよ

そして読み手の心をしっかりキャッチ


素敵な笑顔の写真だな

これは僕のトップに載せる記事がいいな

読者がぐっと惹かれるようなかっこいい見出しを付けてもらおう


僕の前身のゲラ(校正紙)があがってきた

赤字訂正を入れられていっぱい汚されるんだ

場所も名前も年齢も一字一句絶対間違えないようにね

加筆したり消したり 誤字脱字 この漢字は使えるか

この言葉遣いは変じゃないかチェックされるよ


活きのいい魚のように活字はバタバタ動くので

じっと見るのが大変だろうけど

いくつもの光る眼が鋭く睨み続けてる


収入源の広告もちゃんと僕に載ってるから最終校訂OKかな

輪転機を回してたくさん僕の分身が印刷される

もう刷り直しは出来ない


嘘偽りはあってはならないのが僕たち

でもね

ときどき活字たちが嘆くんだ

たまにはハメを外したいってね

踊ったりうたったりひねくれてみたいって


でも僕はこう言うんだ

君たちは紛れもない真実を正確に

永遠に綴ってゆける英雄なんだよ

僕は君たちを誇りに思ってるって


僕は小さなまちの新聞

あなたの手元に本当だけを配るのさ







※新聞の製作工程は一例です。異なる場合も多々あります。

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