第Ⅸ話『翌日のTHE STEGOでのことです』
蒲「ハーッハッハッハッハッ!!今回は宿敵、THE STEGO's ダブルクイーンにやられた矢手弓、梨田の代わりに俺達!THE STEGOレジスタンス最強精鋭部隊ライトニングゴッドホークスが前書きを…」
隆「うるさい黙れもう既に行数オーバーだ」
「ハァー……」
「どうした?お前にしては珍しく元気ねぇな。」
「あ?…小鷹か…。」
「…本当に珍しいな…。」
「どうしたんだい?雷堂。君にしては珍しい表情じゃないか。」
「おぉ…蒲生か。」
「小鷹、彼に何かあったのか?」
「知らん。こいつさっきからずっとこの調子なんだよ。」
「何があったんだ、雷堂?」
「実はな、この間…柳垣に女装させられた所を高上に見られて以来、すごーく態度が冷たいんだ…。」
「え?お前女装したの!?マジかー。見て見たかったわ。」
蒲生が面白げに茶化した。
「…そりゃ、気持ち悪がられて当然だな…。つか、それだけ?」
「それだけとはなんだ!結構大事なことだろ!?」
隆次が吼えた。
「…何でそこまで高上に拘るんだ?」
「それは…」
「それは好きだからだよ!!」
声高らかにそう叫びながらラウンジに入って来たのは、恋の話にはとことん目ざとい戸舘 美毅。
「違う。」
「嘘だ!絶対好きに決まってる!」美毅が断言した。
「何で決まってるんだよ!?」
「マジで好きなの?」
「いや、違う。」
「じゃあ何で?」
小鷹が訝しげに聞いた。
「それはだな…」
「それは、恋じゃよ。」
「違います。」
隆次が美毅のとあるボケをネタで返した。
「この塾内での数少ない後輩だからだ。」
「………本当にそれだけ?」
小鷹は呆気に取られた後、改めて聞いた。
「あと、数少ないツッコミ要員だからだぁ!」
「それは同感だぁ!」
蒲生も隆次に力強く賛同した。
「俺だってたまにはボケたいんじゃぁああああ!!」
「俺はいつもボケだがな!フーッハッハッハッハッ!!」
「うるさい!」
「「すみません…」」
美毅が一喝した。
「…他にはないのか?」
小鷹が何事もなかったように聞き直した。
「あとは…(どうしよう…小鷹に『リア充野郎め!』って言う為に『小鷹先輩だ、カッコいい~』って言ってもらってるとは言えないしな…。)」
隆次が自問自答していると、蒲生が珍しく
「戸舘さんが恋愛話にすぐ繋げたがるくらい恋愛話が好きだって事や、雷堂が恋愛感情を持って高上さんと接してる訳ではない事、雷堂は基本的に後輩に優しい事を考慮すると、少なくとも戸舘さんの主張は正しくないと俺は思うよ。俺も長く皆と一緒にいるからね…嘘くらいは見抜けるさ。」
と真面目に言った。
蒲生が真面目な時はその賢さ故にとても説得力があるのだ。
「……むぅ〜!詰まんな〜い」
そう言い捨てて女王の1人は立ち去った。
「流石、Mr.G!正直、戸舘に根も葉もない噂をばら撒かれるって半分諦めてたぜ!」
「いやー俺もそう簡単には引き下がらないと思ってたんだよな!どうだ参ったか!ハッハッハッハーッ!!」
「(…何で蒲生、あんなムキになって…)ああ…そう言えばそうだったな。」
この時、小鷹は思い出した。
隆次と蒲生の2人はTHE STEGO内でひっそりと活動していた対女王レジスタンスであったことを。
「…で、どうするんだ?」
「結局、協力してくれるんだな。小鷹も。」
「俺も協力するぞ!俺達、THE STEGOを牛耳る女王に対抗する唯一の組織!ライトニングゴッドホークスの絆にかけて!」
「変な名前つけんなよ…厨二。」
「何!?俺も含まれてんの!?」
「ライトニングゴッドホークス!略してRGH!」
「頭文字取っただけだな。」
「…勘弁してくれよ…」
蒲生が楽しそうに、隆次が冷静に、小鷹が落胆しながら高上未来の誤解を解く為の会議が始まった。
「さて、まずは何から始めようか、うーん?」
「…何って、誤解を解く事からじゃないのか?」
「雷堂に女装癖はないって?それくらいわかってると思うけどなぁ…」
小鷹は隆次の言葉を先読みして答えた。
「いや、俺は変態じゃないって」
「「…え??」」
「な、何だよ2人して俺が変態みたいに…」
「え、違うの?」
「雷堂も俺と同じじゃ…?」
「違う!!特に後者!!」
小鷹も蒲生も隆次が変態と思っていた。蒲生に至っては同類と思っていた。
「俺は、変態じゃない!」
「…それTHE STEGOの奴らは誰も信じないぞ?」
「マジかよ……」
小鷹の現実味の篭った一言を聞いて、隆次はうな垂れた。
「…何やってんだ?」
すると、入り口から涅月葉子が姿を現した。
涅月は机に突っ伏している隆次を一瞥し、1番マトモな返事が帰って来そうな小鷹に聞いた。
「雷堂が頭痛めて寝てるのを見てるだけだから、あんまり気にしないで。」
「それだけか。精々頭痛の痛みで反省するがいい。」
それだけを言って涅月は化学の授業を受けに行った。
「…本当お前何したんだ…?」
「柳垣に貶められ、名似何に嵌められた…。」
「大変だったな~…。」
いつもより冷徹な態度の涅月を見て思わず蒲生が同情した。
「取り敢えず、せめてツッコミを入れてもらえるくらいには仲を修復したい。」
「どれくらいだよ…」
小一時間程話し合った結果、ツッコミ要員として機能する程度仲を修繕することになった。
「何とかして変態扱いから脱却せねば…」
「難しいな…それ。」
隆次と小鷹が考え込んでいると、蒲生が
「今思ったんだけどさ…元々雷堂は変態だって言えば、それもそうかって納得してくれるんじゃないか?」
と提案した。
「…何だ?俺が変態だと認めればいいってことか?」
「醤油こt(ブベしっ!!)」
その瞬間、蒲生が何処からともなく取り出した醤油と共に、昨日と全く同じ様に壁に減り込んだ。
「俺は変態じゃない!!」
「…でもそうしないと仲直りできそうにないぞ?」
小鷹が冷静に言った。
「うぉおおお!どうすりゃいいんだぁ!!」
隆次は葛藤し始めた。
「認めれば済むだろ…ってか皆多分お前は変態だって思ってる。」
「俺はその偏見を払拭する為に頑張って生きてるのに!」
「…そんな風に生きてる様には見えねぇよ…。」
隆次と小鷹がそんなやり取りをしていると、また美毅がやって来た。
「アイスー!」
美毅が特に意味なく叫んだ。
「黙ってろ頭の中アイス星人。こっちは取り込み中なんだ。」
「は?いきなり何?別にただ独り言言っただけなんですけど。第一、取り込み中って……は!!なるほど…やっぱり2人ってそういう関係…」
「流石、脳の髄までお腐りになっていらっしゃる…。」
「……」
美毅の妄想に隆次が毒を吐き、小鷹が冷たい視線を浴びせた。
説明しよう!実はTHE STEGOを牛耳る女王2人は重度の腐女子だったのだ!…主に被害を受けるのは谷津冶だが…。
「やっぱり2人は…ムフフ…」
美毅が不気味に笑った。
「…気持ち悪いな…何とかしろ、雷堂。」
「俺に言うな。蒲生に…ってぶっ飛ばしちまったんだ…。」
2人が気味悪がっていると、隆次にとって今1番会いたくない人がやって来た。
「こんにちわー。戸舘先輩に小鷹先輩にその他の人。」
「とうとうその他扱いか!?」
「小鷹先輩はどうしてその他先輩なんかと一緒に?」
「無視かよ!あと、俺はその他って名前じゃない!」
隆次が叫んだが、高上は全て無視した。
「それはだn…」
「未来ちゃん…それはだね…。」
小鷹の言葉を遮って美毅が先に答えた。
「2人は付き合って…」
「「ねーーよ!!」」
隆次と小鷹が同時に叫んだ。
それから日が暮れ、ラウンジには隆次と小鷹と壁に減り込んだ蒲生だけになった。
「はぁ…結局何も解決しなかった。」
「……まぁ頑張れ。」
「こいつ、最後の最後に見捨てやがった!!」
「見捨てたんじゃねぇよ……諦めたんだ。」
「匙投げやがったか…。」
隆次が絶望的な顔をしていると、また高上が現れた。
「そういや言い忘れてました。雷堂先輩、心配せずとも私は根に持たない性格ですのでツッコミの件に関して気に病まないでくださいね。」
それだけ言って高上は帰って行った。
「………」
「………」
隆次と小鷹はこの時思った。
「「(俺達は何の為に今日集まってたんだ?)」」
「帰ろうぜ。」
暫くして、隆次が小鷹を帰りに誘った。途中で涅月とも合流した。
「で、お前ら何やってたんだ?」
「…やっぱばれてたか?」
「お前の仮病などすぐ分かる。」
「実はな…かくかくしかじか」
「なんだ…それだけか?」
「それだけとは(以下省略)」
「まぁ結局丸く収まったんだからいいじゃん。」
小鷹が気楽に言った。それから3人は雑談を始めた。
「あ、矢手弓だ。」
「…柳垣さんもいるな。」
小鷹と涅月が見た先に真夕と名似何がいた。
「…ん?何か…忘れてる様な……気のせいか…。」
隆次も4人の元へ走って行った。
ーその頃THE STEGOにてー
「誰かー…引っ張り出してくれー。おーい…誰かー…」
壁に減り込んで動けなくなった男の声がラウンジに響いた…。
どうも伊崎です。
もう既に本文読んだ方は分かると思いますが、前書きにて小鷹だけいなくなってます。誰かさんのせいで…
今回は病院送りになった谷津冶が、隆次の呪いで大爆発した次の次の日の話です。今回執筆したのは私ですが、次回は江生氏が執筆します。次回をお楽しみに。
でばではごきげんよろしゅう。