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第三十五話『ヤバいヤバい言ってる人は案外ヤバくないのです。』

隆「イケメンになる為には朝はこんな風に過ごせば良いのか…。」

谷「成る程…勉強になるぜ。」

陸「お前らな……。」




 THE STEGOのイケメン要素である小鷹陸


 そんな彼の朝は早い


 まず起床は毎朝6時


 それからストレッチやランニングなどを行う


 まさにスポーツも出来るイケメンとしか言いようがないような体内時計、それが彼が目覚めるためのスイッチだ


 「よし!目が覚めた!」

 そう宣言した彼はいつものように日課であるストレッチを

 「いやっほぉーーい!」

 ストレッチを

 「ヘイヘイヘイヘイヘイ!」

 始めようとすると何故か奇妙な声が聞こえてくる

 「何だ?不審者か?」

 当然紳士である小鷹君は廊下に出て声の主を確認しようとする



 しかしその行為は、まあ何というか………無意味というか無謀というか、とにかくそんなものでかくいう本人は全く知る由もなく



 「ったく、聞き間違いかよ」

 部屋に戻ろうとすると

 ドドドドド!

 「ん?」

 ドドドドドドド!

 「な、何だ!?」

 ドドドドドドドドドド!

 「何だ何だ!?」

 そして次の瞬間小鷹が後ろを見ると

 「邪魔だ邪魔だ~~!」

 ドドドドドドドドドドドドドドド!

 「うわっ!」

 物凄いスピードで近づく『何か』から身を翻し小鷹が部屋に飛び込むと

 「ハハハハハハ!スマンなぁぁぁぁ!」

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!

 騒々しさだけを残し声の主はどこかに走り抜けて行った



 「一体、何なんだよ…」

 そう言いつつも小鷹はいつも通りに日課のランニングに出かけるのであった




 場所が移ってシャードゥー家別荘から少し離れたここでは朝っぱらから馬鹿共が暴れ回っていた

 「フハハハハハ!」

 「っ!!」

 アスカの上空からの降ろし蹴りを寸での所で涅月がギリギリで交わす

 「やはり愉しきかな!本気の相手との闘いはやはり極上の悦に匹敵する!」

 「……残念な嗜好をお持ちですね。」

 「そんなに褒めても手加減はしないがな!」

 「別に褒めてませんから」

 饒舌に語るアスカの拳を手の甲で受け流しつつも涅月は反撃の機会を伺う



 そんなストリートファイター顔負けのバトルを繰り広げる女性陣とは対称的に男性陣の方では

 「ドゥーンさん、茶飲みますか?」

 「お!ヤッツー気が利くお~」

 「谷津冶~俺の分も~」





 呑気に三人で観戦してた 「つーか、オッサンはもういいのかよ。気が済んだのか?」

 湯呑み片手に隆次が尋ねると

 「ま~おっちゃん五十回蹴っちゃったし、この後アスカの罰ゲームが待ってるみたいだからいいお!ペンダントの件もヤッツーが何とかしてくれるみたいだし」

 話を振られた谷津冶はというとユックリとお茶を啜り上げてから

 「壊したのは俺らっすからね~一応責任は取りますよ」

 「それならいいんだお~」

 「なんて単純!さすがDQNだぜ!」

 嬉しそうに背伸びするドゥーンの傍らで隆次も谷津冶も自分の頭を摩る

 「それにしてもめちゃくちゃ痛ぇーな」

 「同感だ。全く、加減というものを知らないとこうなるんだな」

 二人がぼやいていると

 「何を呑気な事を言ってるんですか!葉子先輩がこんなピンチの時に!何とかしてくださいよ!」

 必死な様子の高上が向こう側(涅月とアスカ)を指差し呑気に茶を飲むダメンズ三人衆に激をかけるが

 「まあ何とかなるんじゃね?」

 隆次が他の二人に確認を取ると二人共

 「「ハァーー!いい湯だ…」」

 と言って和むばかりである

 「だいたい、いつもはあなたが狙われてたのに何で今日は葉子先輩が標的になってるんですか!」

 「だって強いもの。それが評価基準だわな」

 「おっおっお!」

 「……何なんですかそれ」

 別の意味で諦め始めていた高上だが、向こう側から何かが飛んでくるのに気付く

 「あれ、何だろ?」

 同じように気づいた谷津冶も立ち上がりベロで舐めてから人差し指を突き立てたままドゥーンを見て

 「ドゥーンさん、ちょっと右にズレて」

 「ここだお?」

 「あーもうちっと1、いや5㎝くらいかな」

 「もー!こんな時に一体何をしてるんですか!座る位置なんてどこでもいいじゃないですか!馬鹿なんですか!?馬鹿なんですよね、そうなんですよね!」

 まったく取り合わずに座る位置を話す二人に高上が怒り狂っていると

 「上、上」

 「え?」

 そう言われて見上げた途端上空から近づいていた何かが形を明確にしつつもこちら側により近づく

 それに気づいた高上は何が落ちてくるのか気づいたようで

 「あれって」

 ヒュウウ!

 「もしかして」

 ヒュウウウウ!

 「は」

 ドーーーーーン!

 「こ先輩?」

 そう!高上の目の前でドゥーンの上に着地したのは確かに涅月葉子本人であった

 「………質が悪いな」

 左手を庇うように立ち上がる涅月は既に満身創痍なのだが

 「……早く、どいてほしいお…」

 それよりも下敷きになったせいで満身創痍になった変態がいたのは、まあ忘れとこう

 「葉子先輩!」

 慌てて高上が駆け寄る

 「あちゃー、こりゃ大惨事だな」

 「ジャンヌさん目茶苦茶怒るんじゃね」

 離れた所から惨状を見守る隆次と谷津冶はあたかも他人事であるかのように語り合う

 「フルッフー!ここはワシの実験する場所じゃから平気じゃ」

 「エボ爺の私有地なら私には知ったことではないからダイジョーブダヨ~」

 「「いつの間に!?」」

 二人の後ろでは優雅に紅茶のティーカップを片手に持つエボンとジャンヌがどこから用意したのか全く持って不明なテーブルと椅子に腰掛けていた


 「良いぞ良いぞ!その反応!銀鏡反応が成功した時に匹敵するほどのスピードの速さじゃ!」

 「驚かす側としてもやり甲斐があるネ~」

 「いい大人が二人も揃って何を言ってるんだか…」

 「全くだぜ!」

 二人で冷笑的に皮肉を口に出してもエボンには通じなかったようで本人は自分のあごひげを撫で下ろす

 「いい大人だからこそ言うのだよ、少年!おぬしもまだまだ子供よのぉ~」

 「年がら年中少年みたいに爆弾作りに勤しむあんたに言われとうないわ!」

 「まあまあいいじゃなイ。それよりも、今は君達の今後の事なんだけド…」


 ゴクリ……………!


 ジャンヌの真剣な眼差しに息を呑む

 「ウン!手立てがないネ!救えないな!アッハッハッハッハ!」

 「アッハッハッハッハ!じゃないでしょう!?助けて下さいよ!」

 「無理ポ」

 「そういうのじゃない!?」

 「じゃあオワコン?」

 「言い方を変えろって訳じゃないんですよ!とにかく、助けて下さいよ!」

 「世界の中心で」

 「愛は叫びません!!」

 「おいおい隆次。ちっとは落ち着けよ。こんな事態なんて俺達にとってはいつもの事だろ?」

 「まあ、そうだけどよ……」


 スグに落ち着きを取り戻す二人を眺めたエボンとジャンヌは

 「随分と壮絶な人生を歩んでるんだネ」

 「是非とも我が実験台、いや協力者にしたいものだがな!」

 哀れみ+好奇心の目で眺める


 「だかよ谷津冶、お前に何か考えはあんのかよ?」

 「ナッシング!」

 どやぁ…………

 「言っとくが今のはどや顔出来る所じゃねーよ!?」

 「分かっとる分かっとる。冗談がな……とりあえず三つあるが、後々面倒になるか今ここで痛い思いをするか今後に支障をきたすが痛みも糞もないのまずどれがいい?」

 「嫌な予感がするが、じゃあ最後のを」

 「二手に別れて逃げる。」

 「定番だなおい!じゃあ二番目は」

 「一か八かに賭けて特攻をしかける」

 「おお!意外とまともだな!」

 特攻をしかけるってまともか?

 「そして一番目のは………と言いたい所だが、聞かない方がいいから二つから選んでくれ」

 「なんで一番目は言わないんだ?」

 「我ながらろくな案じゃないと思ったからだ」

 「ふ~ん、もしかして奇跡が起こるのを待つとかか?」

 「ギクッ!?」

 予感的中!

 「お前馬鹿だろ!」

 「しゃーないやろが!えーやろ別に、他の案だけ言ったんやから!」

 なぜか逆ギレをする谷津冶に隆次は少しだけ怯んでいると

 「貴様ら、別れの挨拶は済んだか?」

 つい先程までは1km離れていたのにも係わらず前方20メートル地点に満面の笑みを浮かべたアスカ・ナッスルが手首を回しながら接近している

 「もう来ちまったか!随分とせっかちさんやな」

 「冗談言っている場合か!?」

 「全くもって同意だな。プランBでもAでも良いから早く行動に移せ。貴様ら標的が不様に逃げ回っている間に私はメインディッシュを頂くからな。」

 涅月を見つめ続けるアスカは舌なめずりをし愉しそうに笑う

 一方メインディッシュと呼ばれた涅月本人は高上に支えられてやっと立ち上がれる状態で、まともに歩ける訳がない

 勝敗は既に判っている、そんな事はそこの標的扱いされた二人のおバカも理解しているようだ

 「なあ隆次」

 「分かってる。いつものプランEだろ?」

 「さすが」

 互いに言いたい事の分かるかのように一呼吸で問答を交わした二人は頷き合う

 「そうか、ならいいんだ。アスカさん!」

 「何だ?今更命ごいをしたところで私は容赦などしないぞ」

 アスカは歩みを止めずに近づく

 「1840年に起きたのは?」

 ピクッ!

 谷津冶の質問に一瞬止まったアスカはスグに落ち着きを取り戻し答える

 「簡単だ、アヘン戦争だろ」

 「1854年に結ばれたのは?」

 「日英和親条約」

 「第一次世界大戦に日本が参加した際の理由は?」

 「日英同盟」

 「満州事変のきっかけとなった柳条湖事件の調査を国際連盟から依頼され乗り出した調査団の団長の名前と国籍は?」

 「リットン、イギリス人だ。」

 「この質問の目的は?」

 「時間稼ぎ、だろ!」

 「正解だよ!」

 アスカが近づく中隆次は手元にある何かを取りだし地面にたたき付ける

 バーーーーン!

 それはあっという間の事だった

 隆次が投げつけた『それ』は地面に接触した途端に轟音と共に煙を発てはじめ、煙は瞬く間に周囲1km一帯を包む程に広がった

 「糞っ!?スモークか!」

 アスカは周りを見回すが、既に人の気配は無く谷津冶達が逃げたのは分かりきった事であった

 「そういえば、これが奴らの常套手段だったな。だがいい、狩りはこれぐらい手間がかかる方が楽だからな」

 悔しさを紛らわすために言い訳をしていると

 ドドドドド!

 「何だ?」

 ドドドドドドド!

 「何か、来る!」

 何かの足跡のように聞こえる轟音はアスカを臨戦態勢に切り替えさせる

 ドドドドドドド…………………

 いきなり消えた轟音に気を引かれながらも歩を進めようとすると

 「ハハハハハハ!」

 「何!?」

 「…………貴様、何者だ」

 突如背後に現れた人物は不敵に笑う

 「俺か?名乗る程ではないが強いて言うなら正義の味方、とでも名乗っておこう!ん?」

 ポーズを決めようとした瞬間に助走をつけたアスカの回し蹴りが顔に決まる




 「駄目駄目駄目駄目!」

 「何だと!」

 顔面すれすれの所でアスカの蹴りは掴まれていた

 足を離した自称正義の味方は指を三本立ててアスカに突き付ける

 「三分だけ相手をしてやる」

 馬鹿にされたアスカは頭に血が上り

 「上等だ、三下!」

 人外に近い闘いを繰り広げる





 一方、逃げ出した彼等というと

 「リュージ!逃がしませんわ!」

 「止めろシルヴィー!?危ないだろ!」

 「平和だネ~」

 「そうじゃの~」

 隆次は新たな追っ手となったシルヴィーに追いかけ回され、それをエボン、ジャンヌ、葉子、未来が呆れながら眺めている

 そして谷津冶は

 「おい柳垣!一体どこに連れていくんだよ!」

 「えへへ、内緒!」

 「頼むからこれほどいてくれ!」

 「ヤダー!」

 「畜生!」

 縄で縛られどこかにさらわれ





 そして人知れず置いていかれたあの人は

 「熊だお~~~~~~!?」

 「ぐぅわおおおおおおおおお!」

 ただ死に物狂いに逃げていた



どうも伊崎です。

次くらいから後書きが暫く消えるかもです。


…隆次君が今回使ったスモークグレネードですが、シルヴィーの武器庫から勝手に持ち出した改造スモークグレネードです。普段から持ち歩いている訳ではありませんのでご安心ください。



ではでは皆様ご機嫌よろしゅう…。


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