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第31話『またまた騒動の予感です…』

隆「……はぁ、もう嫌だ…」

谷「どうしたんだ…?暗い顔して。」

名「きっと河童に尻子玉を取られたんだよ」

谷「ツッコミ所満載なボケをありがとう…」




「…少し気になるんだけどさ、」

陸が名似何に顔を寄せて小声で言った。

「あの人達誰?なんでバスに乗ってるんだ?」

陸が一瞬だけ視線を向けた先には、

 「さっき誰かが言ってた『旅は道連れ世は情け』ってどういうこと?」

 「…」

 「ねぇ烏柄君、どういうこと?」

 「…」

 「ねぇ烏柄君、どういうことっていうのはどういうことなのかっていうことなんだよ?どういうことなのかって言われたらどういうことなのか言わなくちゃいけないんだよ?」

 「…」

 「烏柄君、言うっていうのは、声で喋るってことだよ?聞いてる?聞くっていうのは耳に声を入れるってことだよ?」

 「おにぎりおいしい」

 「ほら烏柄君、今楠男君がしたことが、言うってことだよ?それで、楠男君が言ったことを私の耳に入れることを、聞くっていうんだよ?」

 烏柄達3人がいた。

「彼らは数合わせに同行してくれた3人。旅行は人が多い方が賑やかでいいとか彼らの親の許可が出たとかで今日一杯こっちに同行することになった」

「あっちの予定は大丈夫なのか?」

「気にするな。人類とて必死だ」

「…大丈夫かよ?いやマジで」

「真面目に言うなら、両親は自由散策をしたかったらしいからこれでいいらしい」

「これでいいのだ」

隆次が割り込んできた。

「これだけ言いたかったらしい」

名似何は隆次を指差しながら言った。

「はぁ…そうか」

そして新たなメンバーを加えた一行はシャードゥー宅に着いた。

「…さて、リュージ君に何をやってもらおうカ」

「草抜きか皿洗い辺りなんかどうです?」

「おいちょ待て」

隆次は慌てたように言った。

 「どしたノ?」

「なんですの?」

2人は振り返って隆次を見た。

「だから、俺は飼われるつもりはありません!」

その大声に、辺りは一斉に隆次を見た。

「…飼われる?」

陸はかなり怪訝そうな顔をした。

「あいつ今、飼われるって言ったよな?変われるとかじゃないよな…?アクセント的に」

「うきょきー、ペットられてるってってっててー」

「…矢手弓?」

「っと…あらららら」

矢手弓は呟いた。

「…矢手弓?」

「こ、こいつ、飼われてんの…?」

後にキモいとでも付きそうな風に美毅は言った。

「そうだヨ。500円分だけだけどネー」

「…もっと別の人にした方がいいですよ。雷堂とかどう考えてもマイナスにしかならない…」

「マイナス!?ということは、永久にこきつかえるってことジャン!」

「くへへ、そっすねー」

隆次はニヤニヤしながら言った。

「今ならまだギリギリで冗談に出来るけど…」

名似何は隆次をじっと見つめた。

「くははー!今から面白いこと言いまーす!」

隆次がそう言って手を挙げると、隆次の頭が少し揺らいだ。

「…」

辺りは沈黙に包まれた。

「雷堂、その面白いこととやらを早く見せてくれ。ほら、」

彦九郎は手を振って隆次を急かした。

「ちっ、違う!これは…その、」

隆次は視線を泳がせた。

「あれのせいなんだよ!あれ!」

「あぁ成る程やっぱりあれか」

彦九郎は納得したように頷いた。

「そうなんだよ!」

「だが結局お前の口から出た言葉であることは変わりない。突き進め」

「おい!」

「ふーん、あれじゃ何だか分かりませんわねぇ…」

シルヴィーはにやついている。どうやら、答えには辿り着いているようだ。

「…あ、あれとは一体、なんですか?」

未来は救いを求めるように葉子を見た。

「さぁ、私には分からない」

「じゃあ、私も分かんなくていいですね?」

「どうとも言えない」

「ともかく、早く早く見せてくれ」

彦九郎の心はウキウキしているようだ。

「早く見せなさい。みんな待ちわびてますわ」

「いや、私は待ちわびてないから」

美毅は重めに言った。

「それより早く家に入りましょうよ」

「だな」

瑠美子と陸も興味はさほど無いようだ。

「そうだネ。確かに客人を無理に待たすのはよくないヨ。ってなわけで、皆さんはお好きに家に入って下さいナ」

そう言ってジャンヌは瑠美子に鍵を渡した。

「あ、はい。じゃあ、お先に失礼します」

瑠美子は軽く礼をすると家の中に向かった。複数人がそれに着いていく。

「…ときにリュージ君」

「俺は客人じゃないんですか?」

隆次は手を挙げた。

「だったヨ。だけど今の君は清く正しいペットかどうか面接を受けているんだから、客人とはちょっと違うんじゃないかナ?」

「んな面接受ける気ねぇですよ!」

「君に拒否権は無いヨ?あぁ、あと念の為言っとくけど、面接だけじゃ給料出ないからネー」

「えぇぇ!?これ含めないんすか!?」

「当然だヨ」

「…ともかく、何か面白いことを言いなさい。言わなかったり面白くなかったら、保証しませんわよ?」

「んなこと言ったって、面白いのなんてそんなすぐ思いつかねぇよ」

「んー、確かにそれにも一利あるな…」

彦九郎はそこで思案げな顔つきになったが、少しして何か閃いたようだ。

「あっ、1曲フルで歌って踊るってのはどうだ?」

「えっ…」

雷堂は自分の耳を疑っているような顔つきだ。

「まぁ、面白いっちゃあ面白いですわね」

「いや…、だって、曲とか…」

「曲なんて俺のiPodにいくらでもあるぞ?」

「それだけは嫌だ!」

「なんなら振り付けも教えようか?」

「嫌だよ!やんねぇよ!お前1人でやってろよ!」

「…そうですわね、」

シルヴィーはそこで何か思ったようだ。

「リュージはやるとしてGがお手本を見せてあげたらどうですの?」

「ぅぅむ、まぁ確かに、そっちの方が雷堂の完成度が高くなるか…」

「よし、G、やっちゃえよ」

隆次が囃し立てた。

「…ならば約束して欲しい」

彦九郎は隆次を正面から見た。

「絶対に、踊ると」

「え…」

隆次はそこで色々と計算をしたようだ。

「…分かった。絶対に踊る」

「…よし、じゃあ、どんなのがいいか。やっぱりメジャーなやつの方が分かりやすいかな?」

「私の理解力ならご心配なく」

シルヴィーは胸を張って言った。

「私の理解力なら何にせよ0なのでご心配なく」

 名似何も胸を張って言った。

「私もよく分からないからご心配なク」

ジャンヌも続いた。

「んー、じゃあ…『音出ろクラリネット』にでもするか?」

「シェイアマなら銅奈の最初のが秀逸ですわ」

「…あぁ、そういえばあれも振り付けあったな」

「…俺、そのアニメそんなに知らない」

「まぁ安心なさい。『跳躍ドーナツ』の振り付けは簡単ですわ。イタイけど」

「よし、じゃあまず先に俺が手本を見せよう」

そう言うと彦九郎は名似何達から数歩離れた。



「ここの持ち主の方は、お金持ちなのですか?」

烏柄が屋敷を見回しながら言った。

「あれ?君のお姉さん達は?」

「あぁ、適当に逃げてきました」

「逃げてきた?」

「なんとか目を瞑って10秒その場にいさせることが出来ましたから」

「で、その間に逃げた、と」

「はい」

「梨田君頭下げて!」

「すいませんでした!」

谷津冶が後ろの声に従って謝罪すると、

キュポッ

烏柄の額に吸盤が刺さり烏柄は尻餅をついた。

「…」

烏柄は立ち上がって吸盤を外した。

 その間に後ろから足音がした。谷津冶が振り向くとそこには真夕がいた。

「梨田君!その人危ないよ!」

「お前が言うな!」



「…といった感じだ」

彦九郎は息を切らしながらも、達成感に満ちた晴れ晴れとした表情で隆次を見た。

「…そうか」

隆次は立ち上がった。

「…まぁ、やれるだけはやってみるよ」

隆次は名似何達から1歩離れた所に立った。

「今だっ!」

隆次は踵を返して駆け出した。

「あだっ!」

そして、派手にすっ転んだ。

「…やっぱ尋常じゃないな」

名似何は呟いた。

「ホントダ。シルヴィーの言う通りだったヨ」

「素晴らしいですわお母様!」

どうやらジャンヌは隆次の足にビニール紐を括りつけていたようだ。

「…それで、Gとの約束をまた破る気ですの?」

シルヴィーは1歩隆次に歩み寄った。

「え?そ、そうなのか雷堂?」

「態々このやり取りを通して自分を追い込むとはなかなかだねー」

「いや、えっと、これはその…」

「違約金は1万ですわ」

「1万んんん!?」

「冗談ですわ」

「冗談かよ…」

「まぁどっちにしろ、それなりに罰は受けてもらうけどネー」

「マジすか…」

隆次はがっくりと膝をついた。



 しゃしゃわしゃしゃ…

「…」

正孝は夕食前の空腹をまぎらわす為に、無言でカードを床に置いてかき混ぜていた。

「…楠男君、私、足が疲れちゃった。ちょっとだけ座ろ?」

「おにぎりおいしい」

左から声がするので正孝がそちらを見ると、新しくバスに乗り込んだ3人の内2人が正孝の近くに腰かけた。

「…あっ、楠男君、誰かいるよ」

「おにぎりおいしい」

2人と目が合った。

「こんにちは」

少女が頭を下げた。

「おにぎりおいしい」

楠男と呼ばれた少年もそれに続く。

「…」

正孝も頭を下げたが、顔を上げるとその目は楠男の持つおにぎりに吸い寄せられた。

 目の前に食べ物が映り、空腹感が余計に増す。

 正孝はお腹をさすりながらおにぎりを見ていた。

楠男は正孝とおにぎりを交互に見ていた。

「おにぎりおいしい」

楠男は自分のおにぎりを少しだけ分けると、正孝に差し出した。

「…!」

正孝は目を見開くとゆっくりと手を伸ばした。

「おにぎりおいしい」

楠男はその手におにぎりを落とした。ちゃんと海苔の部分を下にしている。

「…」

正孝はそれを大事に引き寄せると、ゆっくりと頭を下げた。

「おにぎりおいしい」

楠男も頭を下げた。



「梨田君!逃げて!」

「逃げていいなら今すぐ逃げる!」

「やっぱここにいて!」

「ぇえ!?」

「…ここでそんなもの使うと、壁に傷がつくと思いますが」

真夕は弓矢を烏柄に向けていた。

「当てればノープロ!」

「この屋敷を血で汚す気ですか」

「謝ればノープロ!」

「ノープロじゃねぇ!」

谷津冶は真夕の後ろで叫ぶが誰にも届かない。

「あの、何して…えっ!?弓矢!?」

烏柄の後ろからの声に一瞬真夕の注意が逸れた。

 その瞬間、烏柄が前を向いたまま後退した。

「くっ!」

真夕は慌てたように矢を放った。

タッ

 「わっ!」

矢は烏柄に当たらず壁に刺さった。その間にも烏柄は一目散に走っている。

 「ちょっ!こっちです!刺さって…!」

「やっぱり弓矢は当たりにくいか。ならテーザー銃で!」

「それ日本だと違法じゃなかったか!?」

谷津冶は慌てて、駆け出す真夕を追った。

 「ちょっ!助けて下さいよっ!」

 谷津冶は背後の声を気にする余裕が無かった。



「行っちゃった…」

未来は今の状況を変えられなかった。

「んー!」

未来は右手で左の袖に刺さっている矢を抜こうとしたが、やはり抜けない。

「誰かー!助けて下さーい!」

未来は叫ぶも、誰も現れる気配は無かった。



どうも伊崎です。

最近忙し忙しな日々が続いております。



…凄いですね。御二方とも…私は投稿する時間が取れないのに…orz



とまぁ、そろそろ後書きも省略する事が本当にあります…。…尤もこんな後書き有っても無くてもどうでも良いかもしれませんけどね…(^_^;)



それでは皆さん、ご機嫌よろしゅう…

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