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第二十九話『資料館ではお静かになのです』

飛鳥(アスカ)「ナァシィタァアアア!!!」

梨「な、何でぇええええええ!!?」

柳「頑張ってぇ!!」

ドゥ「…なんだか自分がマトモに見えて来たお…」




 「時に、質問なんですけど」

 沖縄平和記念資料館の中を歩く一行に新たに同行する事になった三人姉弟の内最も話が通じる次男『鳥柄』が隣を歩いている名似何へ顔を向けた

 「何かな?」

 「あれ、なんですけど」

 名似何が尋ねると、鳥柄は離れた二人、谷津冶と柳垣を指差す

 「梨田君梨田君!これ触ってみてよ!」

 「………待て柳垣。それはもしかしてクレイモアかいや、もしかしなくてもクレイモアだよな!?」

 仲良く(?)歩いている心温まる光景だ

 「あの人達はいわゆる恋人、という間柄なんですか?」

 「さあ、どうだろうね。本人達に確認を取らなければ分からないな」

 名似何の曖昧な回答に周りにいた隆次、シャドー、蒲生が口火を切る

 「そういや、あいつらどうなんだろうな?付き合ってんのか?」

 「ふむ、端から見てもイチャイチャしているカップルにしか見えないが」

 「でも以前私が聞いた時はピアーは付き合ってないと答えましたわよ」

 「「マジで!?」」

 三人の話が盛り上がり始めたのを余所に名似何は鳥柄の質問に改めて答える

 「と言う事だが、何か気になる点でもあったのかい?」

 「いえ、特には」

 そう言って歩き出そうとすると

 「ねえねえ鳥柄君。付き合うって、どういうこと?」

 しばらく周りをキョロキョロしていた花代が鳥柄に尋ねる

 「親しい男女の間柄になる事ですよ」

 「へぇ~楠男君知ってた?」

 納得した花代がおにぎりを口にしていた楠男を覗き込むが

 モグモグ

 「……おにぎりおいしい……」

 モグモグ

 「全く、平和なものだな」

 声の上がった方向を見るとスーツ姿で手首に手錠をかけられたアスカがドゥーンを連れ添って谷津冶達に後ろから話しかけていた

 その光景を眺める鳥柄は目を丸くしながら上を見上げる

 「あの、矢手弓さん」

 「何だ鳥柄君」

 「何故あの人は手錠をつけてるんですか?もしかして馬鹿、なんですか?」

 「いや違うんだ。確かに馬鹿の部類には入るのだがあくまで戦闘に対する馬鹿であって変態的な意味での馬鹿ではない」

 「ならなぜ手錠を?」

 「見てれば分かるよ」

 言われるがままに鳥柄は見守る事にする



 「貴様が柳垣か、話はマイハズバンドからよく伺っているぞ。何でもそのヤンキー小僧に惚れているとか言ってるらしいが、どうなんだ?」

 柳垣に話しかけるアスカの前に間を挟むように谷津冶が立つ

 「あの、アスカさん。前々から言ってるんすけど、俺は別にヤンキーでは」

 ギロリ

 「はい、黙ります。すいませーん」

 これぞまさに『無言の圧力』!

 すぐさま谷津冶がどくとアスカは再び柳垣に迫る

 「で、どうなんだ?」

 「ア、アスカ。ここは資料館だお。あまり揉め事は避けた方が」

 「少し黙っててくれ」

 「……………」

 自分の妻からの真剣な眼差しに心打たれたのかあるいは単にビビったのか、ドゥーンは谷津冶と同じようにスッと身を引いた

 邪魔者がいなくなった事を確認したアスカは一息ついてから柳垣と向き合う

 「すまないな。邪魔が入った。気晴らしに改めて挨拶でもしようか。私はアスカ・ナッスル、そこにいる筋肉馬鹿の妻だ。『はじめまして』見知らぬお嬢さん」

 差し出された手を掴み笑顔で柳垣も答える

 「そうですね。この場ではそう言うべきでしょう。『はじめまして』アスカさん。そこにいる柄の悪いチキンさんに夢中な柳垣真夕18歳です」

 「おい柳垣。もしかしてチキンって俺の事か」

 「もう!ほかに誰がいるんですか?」

 「いや待てぃ!?そもそもおま、人前であんな事言うなんて」

 「え~?あんな事って何の事?」

 「んな!?」

 赤らめた頬を腕で隠そうとする谷津冶と嬉しそうに覗き込む柳垣が再びいちゃつき始める前にアスカが口を挟む

 「つまらん」

 「え?」

 一瞬にして間合いを詰めたアスカが柳垣に向かって拳を放つ



 パァン!



 直撃したかと思われたが

 「痛ってぇ」

 最初に声を上げたのは拳を掌で受け止めた谷津冶だった

 「どういうつもりだ、梨田?」

 「いやいやそれはこっちの台詞なんすけどってかチョーいてぇ」

 アスカの拳を放した谷津冶は睨みつけられながらも苦笑いで真っ赤に腫れた自分の掌に息を吹き掛ける

 「諦めろ梨田。その様子では右手は折れてるぞ」

 「えっ!?マジで!こりゃ傷害保険下りるかな?」

 「う~ん難しいんじゃないかな」

 危機的な状況にも係わらず平然とする二人にアスカはイライラを募らせる

 「いい加減にしろよ梨田。私はただそいつの力量を見たいだけなんだよ」

 「ちょっとちょっと、第一力量なんて見る必要ないっしょ。早く砕いた手錠をかけ直して見学しまひょ見学を」

 床に転がった手錠の破片ってか手錠を砕くってシンジラレナーイ

 床に転がった破片を谷津冶が拾い集めようとするが


 ブゥン!



 「うごほっ!?」

 アスカの蹴りが谷津冶の腹にめり込む

 「邪魔だ」

 吐き捨てるように足を引き抜くと谷津冶は腹を抱え込む

 「そろそろいい加減にしないと帰った後の貴様の飯を梅干しだけにしてやるぞ!」

 バァーーン!

 「えぇ!?それだけは勘弁を!」

 時代劇を彷彿とさせる光景である………

 「ちょっと待って梨田君!今のやり取りってまるで一緒に住んでるみたいに聞こえるけど」

 「あれマユマユは知らなかったお?」

 驚く柳垣にドゥーンが解説する

 「何をですか?」

 「今ヤッツーの家族が旅行に出かけてるからその間だけにうちに泊めてるんだお」

 「嘘!そんなの聞いてないよ!教えてくれたら私泊まり込みに行ったのに」

 「来なくていいからな」

 「絶対行くから!」

 「ダメだ」

 「行く!」

 「ダメだ」

 「行く」

 「ダメ」

 「行く」

 「ダメ」

 「馬鹿」

 「何度言ってもダメだってうぅえぇ!?」

 やり取りを重ねている内に柳垣はどこから出したのか、大きな大剣で谷津冶に切り掛かる

 「危ないやろが!」

 人間離れした動きで間一髪の所で谷津冶は避けつづける

 「大丈夫だよ。斬れないようになってるから」

 「それでも痛いの変わらへんやろ!?」

 「面白くなった!今こそ我が三十六の殺人奥義を見せる時!」

 「見せなくていいから!」

 「ヤッツー、ガンバだお~」

 「なら助けて!?」

 アスカからも追いかけられる谷津冶を遠くからハンカチを振りながらドゥーンは見守る



 そんな状況を離れた所から見ていた名似何達は騒然としていた

 「完全に……修羅場ですね」

 戸惑いながらも鳥柄が口に出すが、その傍らで全く驚ろかずむしろ飽きたような様子の名似何は携帯を取り出しいじりだす

 「修羅場と示すには程遠いがね。彼らにとってはあれが日常だから」

 「あれが日常ですか。余程暇人の集まりみたいですね」

 (暇ならどれ程良かった事か)

 鳥柄からの一言に名似何が心の中で呟く一方でまた向こう側で事態は進行する

 ガシャーーン!


 「アスカさん、どうか落ち着きましょうや!」

 慌てて逃げながらも説得を試みる谷津冶を背後から

 「まあそう言うな!久々に本気を出せる滅多にない機会だ、愉しむ他なかろう!」

 完全に闘志をガンガンに燃やし闘う気満々のアスカが負う一方で

 「梨田く~ん!頑張って~」

 先程まで大剣を振り回していた柳垣はいつの間にか名似何達の横で何食わぬ顔で楽しそうで観戦している

 「お前、ちょっとは助けようとは思わんのか!?」

 「え~だって危ないじゃない、だって女の子だもの」

 「み○をの真似してる場合かってうぇあ!」

 後ろを見ないままパンチからギリギリの所で身をかわす

 「それにいつもはやられ役でチキンでヤンキーみたいな谷津冶君が今回はカッコつけまくっちゃったんだからそろそろ落ちないとね」

 「俺の遺志は無視かぁぁぁ!」



 「それでは鳥柄君、私達は先に進むとしようか」

 終わりそうもない人外の戦いを華麗にスルーした名似何が姉弟達を連れていこうとしたが、鳥柄一人はその場を離れようとせず立ち尽くすだけだ

 「すみません。少しあのお姉さんと話したい事があるので先に行ってもらってもいいですか?」

 「分かった。なら私達は先に進むとしようか」

 名似何が花代と楠男に呼び掛けると花代が

 「先に行くとはどういう意味ですか?」

 「もっと新しい物を見に行くという事だよ」

 「新しい物を見に行くとはどういう意味ですか?」

 「えっと………」

 花代からの質問攻めに名似何が困り果てていると

 「姉さん、皆さんにご迷惑をおかけしてはいけないよ」

 「ご迷惑をおかけするとはどういう意味ですか?」

 「悲しい顔をさせる事です」

 そう告げて鳥柄は花代を納得させ名似何達に同行させた


 「あの」

 「ん?何、ボウヤ?」

 宣言通り鳥柄は柳垣に近づき、柳垣は目線を合わせるためにしゃがみ込む

 「あなたの名前は本当に柳垣真夕さんなんですか?」

 「…どういう、意味かな?」

 戸惑いながらも笑ってごまかそうとする柳垣に鳥柄が追い撃ちをかける

 「あなたには本当のお名前があるのでは?」

 「根拠は?」

 「質問に質問を返さないで下さい」

 激しい言い合いをした挙げ句、柳垣は鳥柄に背を向けて

 「私には君が何を言っているのか、サッパリ分からないね~」

 そう言い残してその場を後にする








 「あなたは嘘つきだ。自分にも、周りにも嘘をついている。哀しい人だ」

 聞こえるか聞こえないかの声量で呟いた鳥柄は急いで名似何達を追いかけていった




 一方一人残った柳垣は

 「大きなお世話だよ」

 そう告げて、先程からずっと逃げ回っている少年の背中を見つめる

 「私にはあそこが居場所なんだから、今も……昔も」

 少年の笑顔に微笑みかながら少女は首を傾げていた





 8月某日

 その日の沖縄の天気は、





 嫌気が差すほど






 暑かった





どうも伊崎です。



……シリアス系ですね。頑張って修正します。この作品当初は元々ギャグばっかりの筈だったんですがね…



ではでは皆様ご機嫌よろしゅう…

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