第二話 『非リア充と権力者にご注意です』
隆「女王、恐るべし…」
名「DQNの方が恐ろしいよ。ある意味…」
谷「いや……柳垣さんだろ…。(しみじみ)」
「で、梨田君、これは一体どういう事ですか?」
「いや、自分も何が何だか。まさにてんてこ舞いって奴っすね」
「そんな事はどうだっていい!まずはこの裏切り者に裁きを下そう!」
「隆次、物騒な事は言ってはいけないよ。……私のシャーペンを使え」
「お前の方がよっぽど物騒だよ!」
柳垣真夕による告白?騒動の後、問題の人物『梨田谷津冶』に対して現場のTHE SUTEGOラウンジにて小康、名似何、現最高責任者、そして谷津冶・名似何と三年間つるんできた三人の内の一人『雷堂 隆次』を含めた計四人が取り調べを行っている
しかし当の本人である谷津冶は話をたぐらかし全く話そうとしない
そこで頑なな谷津冶の口を割らせるために仕方なく名似何が警察で定番のカツ丼改めてお茶を谷津冶に差し出した
「谷津冶、そろそろ白状した方がいいんじゃないか?故郷のお袋さんも泣いてるぞ(笑)」
「俺をまるで犯罪者のように言うのは止めや!それにウチのおかんはピンピンしとるわ!」
「そんな事はどうだっていい!このリア充野郎!早く事情を説明しろ!このままじゃあ勉強できない!」 「いやしろよ!お前受験生だろ!」
いつもの三馬鹿劇場が始まってしまい小康や現最高責任者が呆れ果てる中THE SUTEGOの準備室の扉が開かれた
「おぉ~騒がしいねぇ~おっちゃん、怒るお~」 「……出たよ、DQN野郎」
「早く土に帰ればいいんじゃないかな」
現れた男性はTHE SUTEGOの事務員『ドゥーン・クオント・ナッスル』
生粋の変態だ
在日イギリス人で超マッチョ
でも変態だ
彼の行動は奇怪すぎそれゆえに一部の例外を除き塾生の殆どから嫌われている そんな彼は隆次や名似何に罵倒されながらもドゥーンはそれを華麗にスルーし谷津冶の前にたどり着いた 「ドゥーンさん、柳垣さんの様子はどうでしたか?」
現最高責任者の問い掛けにドゥーンはあっけらかんに答える
「無問題だお~本人も平静さを取り戻してるむしろ何か問題あった方が納得できるんだお~」
残念そうに答えるドゥーンに先程まで責められていた谷津冶が詰め寄る
「柳垣さんは今どこにいるんすか?」
「ヤッツー」
「何すか?」
身構える谷津冶の肩を巨大な手でドゥーンは掴む
「帰るんだお」
「はぁ?」
その機に乗じたと言わんばかりに名似何と隆次も谷津冶を担ぎ上げTHE SUTEGOの出口へと運んでいき
「そうだそうだ!早く帰りやがれ!」
「あとの事は私達に任せて先に行け」
階段へ向けて放り投げた 「ちょっ!?待てってまだ話が終わってぬおお~!」
こうして彼は、星となった
小康は恐る恐る階段を覗くがそこにはもう何もなかった
「さすがの谷津冶もこれはヤバいんじゃないか?」 「え?……ああ、うんそうだね~」
すでに興味が失せた名似何はラウンジに戻り席に着く
「どや!」
隆次も何やらすっきりした顔で名似何の後に続いた
全員が席につき何もなかったかのように話を始めた矢先、勢いよくTHE STEGOの扉が開かれた
「皆して集まって、何かあったんですか?」
全員が振り向いた先にはTHE SUTEGOの女王様がいらっしゃった
補足をしておくと
このTHE SUTEGOの生徒の中でもカースト制度のような物が存在する
その中でも最も高い権力を有するのは二人の高三女子であり現在隆次達の前に現れた女子はその片割れである
逆らえばTHE SUTEGOでの地位が危ぶまれるという事で名似何・隆次・谷津冶の三人は最も恐れている
そういった事情もあってかドゥーンも今は縮み上がっている
女王は隆次達の方に歩み寄りテーブルに腰掛けた
「先程問題が少し起きたのよ」
「へぇ~何か起きたんですか?」
現最高責任者が女王に詳しく説明しようとした所で隆次が間に入った
「余計な面倒を増やすのは止めよーぜ」
「雷堂君には聞いてません。ちょっと黙ってて下さい」
「……はい」
「障らぬ神には祟りなしだと、私は思うよ」
睨みを効かされ何も言えなくなってしまった隆次に名似何は呆れ果てながらフォローを入れるのを他所に女王は現最高責任者から話を伺っていた
「え~!?梨田君に告白するなんてその子、正気なんですか~?信じられないです」
確かに谷津冶を良く思わない人間は塾内にはいるがそこまで言う事はないのではないかと皆が思う中、女王は周りをキョロキョロと見渡し始めた
「ラピュタでも探してるのかい?」
「違いますぅ~くわしく柳垣さんから話を聞こうかなと思ったんですぅ」
同学年の名似何の質問に対してのこの答え方、さすが女王だ
そんな中ドゥーンがにやにや笑いながら手を挙げた 「マユマユなら帰したお」
「何で帰したんですか!ほんっと、空気が読めない人ですね!」
「まっ待つんだお!これには訳が」
「訳も何も帰してしまっては面白くないじゃないですか!」
女王はドゥーンへのお小言を始めてしまい周りはそのまま解散となった
帰りの方向が同じ名似何と隆次は駅のホームで電車を待っている
「それにしても、谷津冶の奴一体どこであんな子と会ってたんだろうな?」
「さあね。まあ私にはあらかた見当が付いてるけどね」
「ふ~ん、そっか。そういや名似何は今度のアレ、参加すんのか?」
「アレとは何だアレとは」
名似何のツッコミをスルーした隆次は話を続ける
「ほら、来週THE STEGOで何かあったじゃん」
「………ああ、確かにあったなそんなの」
THE STEGOでは、年に数回塾生参加形式のイベント(英語によって景品を取り合う戦いやどこぞの誰かさんのお誕生日をお祝いするなどetc.)が開催される。高三になった彼らは本来参加するべきではないが、受験勉強の息抜きとして時折参加している
「確か二人一組のイベントだったからさ。名似何が出るなら組もうと思ったんだが」
「まあ恐らく出る事になるだろうと思うが、念のためにもう少し考えてさせてくれ」
「分かった、決まったらメールしてくれ」
そんなこんな話している内に電車がやってきたので二人が乗ろうとしたら
「待ってくれ!」
一人の柄の悪そうな男に呼び止められた
男は息を切らしながらも名似何の肩を掴み、名似何も少しだけ身構えた
「ヤンキーさんが私達に一体何の用かな?」
名似何が肩から男の手を払いながら尋ねると男は突然思い出したかのように震え出し床に座り込んだ
「ダチを助けてくれ!や、やややべぇんだよぉあいつら!」
「あいつら?あいつらとは一体誰の事だ?」
「結構可愛い女かと思ったら男みてーにツエーし途中から現れた男もチャラチャラした色黒ヤローかと思ってナメてたら全然つえーしよ。」
「チャラチャラした」
「色黒ヤロー」
互いの顔を見合わせた二人が苦笑いを交わしていると隆次が足元の男を指差した
「どうする、名似何?もう気付いてると思うが、女は皆目見当が付かんがこいつの言ってる『チャラチャラした色黒ヤロー』ってのは間違いなく谷津冶の事だぞ」
「行かない訳には行かないさ。それに隆次、君は分かってるだろう?」
「ああ、ここで行かなきゃ」
「俺の出番が減る!」
「私の暇つぶしが減ってしまう!」
それぞれの思惑を抱きながらも隆次・名似何の二人は勢いよくホームの人混みを走り抜けていった
あ、言い忘れてました。
このシリーズは江生まのか氏や夢色ロマン氏の所でも読む事ができます。
前書きと後書きとサブタイトルで差別化を図ってますので、見比べてみても…いいと思ひます。
因みに投稿は、出来上がった作品が手元に届いた瞬間にします。速達です!
引き続き第三話もどうぞ!
原題 第二話ヒトと人との乱争無変