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第1話 『みんなみんなキチガイです』

隆「出番ナッスィング!」

谷「おまっ、落ち着け!まだ最初だ!」

名「うん。取り敢えずその持ち上げたちゃぶ台を降ろそうか。」

「ここは、THE STEGO。可哀想なお友達が大勢いるんだ」

矢手弓(ヤテユミ) 名似何(ナニカ)は暇だったのでポツリと呟いた。

「…矢手弓」

「んー?」

名似何は声のする方を向いた。

名似何の目の前には1人の少年がいた。

彼は名似何と同じ学年の小康(オヤス) 深宮(ミグウ)だ。

「…俺は今、ひっじょーに、悩んでるんだ」

「…はぁ。とは?」

名似何は自分のアドバイスの役立たなさには相対の自信がある。

「…俺は今、すっごく眠いんだ…!」

「はい、」

「だがしかし!!俺は高3だ!こんなとこで寝てていいのか?勉強をするべきではないのか?」

「メリハリつくなら別に宜し」

「だが俺は寝るぞ!気合いを込めて寝る!何があろうとも寝る!眠いんだから寝る!眠い時には眠いってつか寝るこれはこの世界で一番素敵なことさぁ!」

「うん取り敢えずパクリやめよーか」

「つーわけで俺は寝る!お休み矢手弓」

深宮はそう言うと近くのテーブルに突っ伏した。

「お休みパトラッシュ」

名似何は深宮に声をかけた。

ここで少し、ここTHE STEGOについて説明しておこう。

THE STEGOは簡単に言えば塾なのだが、普通のものとは随分と違ってくる。

高3の授業こそ学年故に相当受験のことを考えて授業が組まれているが、それ以外の学年には珍しい授業を行っている。

例えば高1の英語では、塾生達が提案した本(英訳されていれば日本の物でも可)の英文和訳を行うと思いきや、そこである塾生が

「なんか原作と違う!」

と言えば、翻訳物と現物における違いの話にシフトチェンジしていくという、相当自由な授業となっている。

但し、どこに使っているのかと気にしてしまう程授業料が馬鹿高い。普通の塾の2倍程はあるだろうか。

そのこともあってか塾生の数は少ない。1授業で滅多に2桁は揃わない。

まぁその点はプラスとも言えるかもしれない。人が少ないので話し合いながら授業を進められること等があって、塾生達はすぐに仲良くなる。

後THE STEGOと言ったら、ラウンジの存在だろう。

そこはTHE STEGOで唯一、飲食が許されていることが明言されている所(何故か塾内の通路での歩きながら食事を見た職員が、教室に着く前にそれを食べ終わるよう言っていたので、実は通路での飲食はありなのかもしれない)だ。

授業の合間にここに来てどーでもいい話をしたりする生徒も多い。

このラウンジは、塾にしてはなかなか豪華なものとなっている。

置いてあるお茶は飲み放題(但し乱入者は使用禁止)で、丁寧なことに紙コップまで置いてある(但し乱入者が使用可能かは不明)。

また使用可能なパソコンが4台(通信が遅すぎて実質使用不可能な時がしばしばある4台を含む。また、内1台は基本的に使用の許可が降りていない)、大学のことから宗教のことまで何を基準に集めているのか分からない本2、30冊、解かれている気配が無い知恵の輪1つ、その他諸々の物が置かれている。

そんな空間だからか知らないが、みんな自分の奇怪性を割と隠すことなくさらけ出している。

それを端的に表しているある人の台詞をここに掲載しよう。

「みんなみんなキチガイだー!!」

さて話を戻す。

「おぅ…、矢手弓ぃ…」

「やぁ人間の皆さん」

名似何の同学年で3年間一緒に頭のおかしいことをやっている、梨田(ナシタ) 谷津冶(ヤツヤ)がぐでぇっとした様子でフラフラとラウンジに歩いてきた。

「矢手弓ぃ、俺、どうしたらぃい?」

「諦める」

「いやさぁ、俺、千種から来るやん?その途中でホンマもんの、『女性がチンピラ共に絡まれる』ってのを見ちゃったんだって…」

「君みたいな?」

「だから俺は全然チンピラじゃないって!…でさぁ俺、『これは見て見ぬ振りするしかないな…。目に留まって俺も絡まれませんように…』なんて思いながらこそこそと通り過ぎようとしたんやて」

名似何には事情がよく分からないが、谷津冶はたまに関西系統の方言らしきものが混じる。

「で、見られたと?」

「そうなんだよぉ…」

「で、梨田が恐くて逃げ出したと?」

「俺そんなに怖いか?」

谷津冶は目を少し見開いて自分を指差した。

「私からしてみりゃ怖くはないけどね?私の見解では、私みたいな素人には分からない何かを発しているとしか思えない」

名似何から見れば、梨田はただの情けないチャラ男なのだが、これでなかなか常時喧嘩売り状態の謎スキルを持っているらしい。

「…いやぁそれでさぁ、その男達がこっちを見るなり『何見てんだこらぁ!』とか言って、絡んできたんよ」

「はいはい」

「だから俺も仕方無く、『こんなとこで喧嘩は止めようじゃないか』と、『穏便に済ませましょう』と、言ったんよ。そしたらチンピラ共、何かこっち見てヒソヒソと話し始めたと思ったら、いきなりどっか逃げ出すんだもんな」

「うん賢明だ」

「そしたらさ、なんかカカカカって走る音がするわけ。俺嫌な予感がしてパッと見たらチンピラに絡まれてた女の人も全速力で走り去って行くんよ」

「へぇー」

そんなこんなで話をしていたら、谷津冶がトイレに行くそうで、名似何はその間にお茶を補充した。

小康も自習室の方が寝やすいと言ってラウンジを出た。ついでに、THE STEGO生は絶対数が少ないので、自習室はかなり空いている。

「こんにちはー」

THE STEGOの入り口から、少女の声がした。

名似何は意味も無くそちらを見た。

名似何の知らない少女だが、同学年じゃない人についての知識は尋常ではない程乏しい名似何にとってそれは普通のことだ。

「あ、柳垣さん」

職員のスペースを歩いていた、ここの現最高権力者が、柳垣とやらに近寄っていった。

「あぁそうだそうだ、紹介しないとね」

現最高権力者はラウンジと受付の間辺りに立った。

「この人が新しく入った高3の、柳垣(ヤナガキ) 真夕(マユウ)さんです」

現最高権力者は、今ラウンジにいる唯一の高3生である、名似何に向けて言った。

その後現最高権力者は真夕に何やら言った。大方真夕に名似何という名を教えているのだろう。

「あ、あの…宜しく、お願いします」

「あーこんにちは」

名似何は適当に返した。

トイレから帰ってきた谷津冶だろうか、扉の開く音がした。

「あっ!」

真夕は扉から姿を見せた谷津冶を見るや否や、驚きの表情を表に出した。

谷津冶も相当驚いているようだ。

「あら、知り合い?」

現最高権力者は2人を交互に見た。

「…こ、ここっ、」

真夕は棒立ちになりながら鶏よろしく発声した。

「あ、えっと、まぁ、こんにちは」

谷津冶も相当気まずそうにそそくさとラウンジの椅子に座った。

真夕はそこで深呼吸をした。

「お、落ち着いて。…こういう時は、」

真夕は独り言を言っているようだが、残念ながら声が大きい。名似何の8割位だ。

「ひ、人という字を書いて…」

真夕はばたばたと自分の荷物を漁り、中から1組の上履きを取り出した。小学生用だろうか。

真夕はその上履き2つで人という字を書いた。

「飲むっ!」

真夕はそれらを飲み込んだ。

少しの間の苦戦の後、

「…」

真夕は完全に上履き2つを飲み込んだ、

沈黙。

「…わっひゃーい!」

真夕がいきなりバンザイし始めた。

その後真夕は谷津冶に近寄っていった。

「やっほー、マイ名前イズ柳垣 真夕。あの時は有り難うトゥー助けるミー。あの時のあなたのバックをルックして、一瞬で私大好きあなたになたよ」

「えっ!俺、告白されてんの!?」

「流石酔っ払い。なんか一貫性が無いからつまんないなぁ…」

名似何はつまらなさそうに真夕を見た。

「何イズユア名前?」

「えぇっ!?と…梨田 谷津冶、です」

これが、2人の初めての出会いだった。

とうとう書き始めてしまいました…。


先に言っておきます。捨て子ではありません。孤児院ではありません。

個人的にはSTEP&GO(もしくはSTEDY GO!!)みたいな感じです。


こちら…処女作になりますが、江生まのか氏と夢色ロマン氏とのリレー小説なっております。江→夢→俺→江って感じで進んでます。


取り敢えず、まったりやって行きます。よろしくどうぞ。







原題 第1話何かまるで新しい出会いのようなこと

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