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ご主人様は星掬う人 ~碧眼の双子は星を求めて夜空を駆ける~  作者: 綾箏 黎


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魔法の訓練

ディアレイが不意に出した青い炎を呆然と見つめた俺たちは、とりあえず真似をして人差し指を天に突き出した。魔法って杖や呪文を使って出すイメージだったけど、そんなものはいらなかったようだ。

「まずは、炎出ろっ! って念じながら指に力を込めてみて」

念じて力を込める……が、そう簡単にいくはずもない。

ルーシャも眉間に皺を寄せて、指先とにらめっこを続けている。

「最初はできなくて当たり前だから、ゆっくり練習するといいよ」

ディアレイは指先から炎を消すと、続いて手のひらから少量の水を湧かせた。

「いろいろできるようになったら、応用の魔法も使えるよー」

手のひらにあった水たまりはそのまま空中にふわっと浮かび、パッとはじけてキラキラしながら芝生の上に降り注いだ。それで終わりかと思ったら、今度は水が落ちたところからポコッと小さな芽が顔を出す。

「すごい……!!」

ルーシャはディアレイの魔法を夢中で見つめていた。

「魔法って、どういう仕組みでできるんですか?」

俺もディアレイみたいにすごい魔法が使えるようになりたい。でも、自分が魔法を使いこなしているイメージはあまり湧いてこないのだ。

ディアレイは少し考えて言った。

「生き物の身体は細胞がたくさん集まってできているでしょう? そして細胞には、大事な核がある。魔法を使えるかどうかは、その核に魔力がこもっているかで決まるんだ。多分人間の身体には細胞が三十七兆個くらいあるはずだから、その核たちにこめられた魔力をどれだけ力として放出できるかが、魔法を使ううえで肝心になる」

……ちょっと何を言っているのかよくわからなかった。

「さっきの小規模な魔法だったらせいぜい手の細胞を意識するくらいでできるけど、派手などっかーん! てかんじの魔法だったら全身の細胞の核に意識を向けなきゃいけないから、結構大変なんだよね」

身体の細胞を意識する、か……

もう一度自分の指先を見つめる。自分の中に魔力があると信じる。少し指先に力を込める。

「あっ……!」

今一瞬、赤くて小さな炎が指先に現れたような……?

「え、すごいよユリウス! 普通はできるようになるまで一か月以上かかるのに!」

ディアレイが目を丸くしている。ルーシャも唖然としているようだ。

「わ、私もすぐにできるようになるからっ……ユリウスより上手になってみせる!」

ルーシャは手を出して構えた。数秒待っていると、手のひらに小さな水滴が二つ現れる。

「汗……ではないよな?」

俺が少しからかうと、ルーシャは頬を膨らませた。

「違うよ! ちゃんと魔法だもんっ」

ディアレイはというと、口をあんぐりと開けたまま固まっていた。

おーい、と顔の前で手を振ってみると、ハッとしたように俺たちを見る。

「炎よりも水は難しいのに……ルーシャは天才だね、魔法の才能があるよ。十五歳とはいえ、こんなに速く魔法を習得するなんて……君たちの一体何者?」

「俺たちが何者かなんて、俺たちが一番知りたいよ。物心つく前から孤児院育ちなんだから」

しばらく三人で笑い合ったあと、俺たちはケルトスに呼ばれて談話室に戻った。

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