城での暇潰し
ケルトスの持ってきた豪華な朝食を、ディアレイとルーシャと一緒に三人で平らげると、俺たちはこれからどう暇を潰そうか懸命に考え始めた。
「僕は二人がやりたいことに付き合うよ。スヴェルト様には許可をいただいているから、しばらくはずっと二人につきっきりだしね」
ディアレイはふわっと笑みを見せた。
「いやー、やりたいことって言われてもなあ……」
昨日初めてお城に来たのに、何かやりたいことないですか? って聞かれてもすぐに答えられるわけがない。ルーシャも困った顔をしている。
すると、しばらく考え込んでいたルーシャが何か思いついたように顔を上げた。
「ディアレイは、学校に行ってるの?」
「うん、もちろん。貴族は七歳になってからみんな行くことになってるよ。学校でやることに興味があるの?」
ルーシャは少し考えてから小さい声で答えた。
「魔法が使えたら、素敵だなって思って……」
なるほど、俺も魔法にはすごく興味がある、けど……ディアレイの顔を見ると、少し額に眉を寄せていた。
「ええと……そればっかりは、ケルトス様かスヴェルト様に聞いてみないとわからないな……ちょっと、ケルトス様のところに行って聞いてくるよ」
ディアレイはすぐに席を立ち、談話室を出ていってしまった。
「ルーシャ、魔法はお貴族様にしか使えないだろ? 何でそんなこと思いついたんだ?」
ルーシャはポツリと言葉を漏らした。
「だって、ユリウスは魔法の草を使って薬を作ったでしょう? だったら、もしかしたらお貴族様じゃなくても魔法を使えるかもしれないって思ったの」
確かに、一理ある。
魔法の草も孤児院の花壇にあったものだし、意外と近くにも魔法があることを知ったんだった。
しばらく談話室でぼーっとしていると、ディアレイが戻ってきた。
「ケルトス様に、魔法を教える許可をもらったよ。二人とも、中庭に行こうか」
ディアレイについていくと、芝生のある綺麗な庭についた。
ディアレイはこちらを振り返ると、いたずらな笑みを浮かべる。
「よーく見ててね。今から、二人にはコレをできるようになってもらいます」
そう言うと、ディアレイは人差し指の先からボッと音を立てて炎を出した。




