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vol.20

 ・・・あのあと、レインボー先生からの重大な話があり。僕達はただただ驚いて。全員が床についたのは、夜中の2時を回ってからだった。


 僕は、その時間にはもう終電には到底間に合わないだろうということで、今日は寮に泊まらせてもらった。案の定、男子寮には、ピエールしか住んでおらず(どうやらラブマシーン教授とやらは、男性らしいが、彼は自宅から通勤しているため、寮に住んでいないのだそうだ)、ピエールからの必死の懇願を断り切れず、同じ部屋で寝るハメになった(正直言って、懇願しているピエールは、非常に怖かった)。


 隣で寝ているピエールのいびきを聞きながら、僕は布団の中で、今日一日のことを、思い返す。そういや、今日は5度目の東大受験の失敗の報告をしに、岐阜にある実家に帰る予定だったのだった。母さん。母さんは、期待して止まない一人息子が、こんな意味不明の場所にいるだなんて、考えられるだろうか。


 そして、マロンにいきなり線路に突き落とされたんだっけ。いや・・・あれは、わざとだったのかどうかは、まだマロンに確認がとれてないのだった。わざと・・・だったの、だろうか。いや。きっと、レインボー先生の指示、だったのだろう。僕の能力が、この学校を救うって話を、今さっきまで聞いてたわけだし。きっと、僕と話す口実を作るために、マロンは僕を線路に落としたんだろう。


 しかし。あのとき、マロンが僕に出会わなければ、きっと、僕は東大5浪の落ちこぼれで、新しい人生のスタートもろくに切れないまま、寂しい人生を送っていたんじゃないかって、思う。僕は、れいんぼー先生に指摘されたように、前から自分が自分の人生をコントロールできる能力があるって気づいていた。でも、結局、そんな能力を上手く使いこなせないままの人生だっただろう。今日、マロンに出会って、あの瞬間、僕の人生が変わったと言っても、過言ではないのだ。いや、違うな。マロンに出会ったことも、僕が自分自身でコントロールした人生の筋書き上に、あったことなのだろう。自分では自覚していないけれど。きっと、そうなのだろう。


 僕の、能力。レインボー先生が言うには、僕が東大5浪したのは、僕の意志だった、らしい。僕は本心から東大に受かりたいと願っていた。母さんのために。母さんの願いを、叶えるために。


 でも、違った。僕は、今まで母さんの思うとおりに歩んできた人生に嫌気がさしていたようだ。だから、東大に受からないように、自分の人生をコントロールしたのだった。そう指摘されると、納得がいく自分がいることに少し驚く。僕は、やっぱり、心の奥底では、母さんに反抗していたんだ。でも、僕は、母さんに反抗したいという気持ちを持った自分に、ホッとしていた。


 ビビディ・バビディ・ブー学園。夜間制の魔法学校だ。生徒は、マロンと、キャバ嬢のようなヒカリ姉さんと、隣でグウスカ寝ているピエールの3人。校長は、幼い見た目のレインボー先生。それに、美女でメイドのドレイちゃん。あと一人、ラブマシーン教授がいるようだが、まだ、会ったことはない。


 そして・・・さっき、レインボー先生から聞かされた、この学園に起こっている重大な問題の事を思い返してみる。レインボー先生は、こう話した。


『我が学園に、今、なぜ生徒が3人しかいないのか。それは、我が学園が、魔法学校だからです。今、私は世界中の魔法使いや魔女達と常に連絡を取り合いながら、授業の内容を考えたり、今後の魔法学校のあり方について議論したりしています。しかし、世界中にある魔法学校の生徒数は、大きく変化していません。日本の魔法学校だけが、生徒数の激減という問題を抱えてしまっているのです。なぜだか、分かりますか?』

『日本人は、魔法よりもえっちなことを考えるとことのほうが好きだからだぽーん』

『違います、それはマロンだけでしょう』


 マロンのあの発言は、明日多く追及する必要があるな。


『日本政府は、今、独自にある書類を、魔法学校に通っている生徒の親に送りつけています。その内容とは、魔法学校では、魔法という非現実的なことを教えると言っているが、全くの嘘だ、生徒は毎日、ある人物のもとで強制的に働かされていて、まるで奴隷のように扱われている、というものです。それを信じた親は、すぐに子供に学校をやめさせています。そのため、今、魔法学校に生徒がいないのです』

『そ、そんなの、嘘じゃないですか!少なくとも、このビビディ・バビディ・ブー学園は、きちんとした魔法の授業を教えているんでしょう?僕はまだ見たことないですけど、信じますよ!僕だって、少なからず非科学的な能力を持っていることがわかったんだ、それに、レインボー先生だって、瞬間移動やらの魔法が使える!!日本政府は、嘘をついて、魔法学校の生徒を減少させたいってことですか?』

『いいえ、英司くん。それは違います』


 レインボー先生が続ける。


『日本には、魔法学校が何校かありますが、そのうちの一つ、場所は確か・・・東京の立川辺りでしたわね。ジーニー魔法大学院という、大きな魔法学校があって、そこの校長であるジーニー長老は、本当は、なんの魔法も使えない、オヤジなのです。しかし、魔法学校という名で若い生徒を集めて、自分を素晴らしい魔法使いだと思いこませ、自分の奴隷として扱っているのです。日本政府は、そのことに気づき、他の魔法学校に通っている生徒の親にまで、そのような書類を送ったのでしょう。』


 ジーニー長老・・・なんとも、インチキ臭い野郎だな。でも、そいつのせいで、この学園も迷惑かけられてるって、そういうこと、なのか?

 

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