vol.2
す、すいませぇん・・・だぽん??なんだその語尾の「ぽん」というのは・・・。なにかのキャラクターの真似なのか?というか、一体誰だ・・・?線路に強く打ち付けた腰をさすりながらホームのほうに目を向けると、そこには、
ビキニ姿の変態美少女が立っていた。
僕は、もちろん無視することにした。駅のホームでビキニ姿だなんてどう考えてもまともな人間ではないだろうし、僕はビキニ姿の美少女に目が釘付けになってしまうほど純真無垢ではない。謝っていると言うことは、僕をホームに落としたのは彼女ということで間違いなさそうだが・・・しかし、彼女は、関わると余計面倒なことになりそうな雰囲気をぷんぷんに醸し出していた。それに、謝っているということは、わざと僕をホームに落としたのではないのだろう。きっと間違ってぶつかってしまったとか、そんなところだ。だとしたらこれ以上謝ってもらう必要もないし、さっさと立ち去ってなかったことにしてしまうのが最良の選択だ。
線路から、人気のほとんどないホームによっこらしょっと登り終わると、僕はその場を立ち去ろうとした。変態美少女が何か言葉を発する前に、どこか遠くに行ってしまおうとした。しかし、彼女から聞こえてきたのは、
「・・・ん、ご、ごめんなさぁいだぽん・・・わ、わざとじゃないのこと・・・だ・・ぽん・・」
すすり泣きだった。僕は思わず振り向いて、美少女を見た。白地に真っ赤な水玉模様の、ビキニ姿。変態としか言い表せないような格好をした美少女を見て、僕は、思わず、本当に思わず、見とれてしまった。うわ・・・まつげなが・・・。
「あ、あの、気にしてませんから。ちょっと腰痛めただけですし。大丈夫ですから。」
僕は理性を取り戻そうと、必死に言葉をかけた。すると彼女は、いきなりぱあっとひまわりのような笑みを浮かべて、こんなことを言い出した。
「本当!!?良かったあだぽん!英司くん、腰大丈夫?心配だぽん・・・・でも大丈夫!わたし、この間授業で痛い部分を一瞬で治しちゃう方法習ったのこと!英司くん、今治してあげるね!って・・・・あああ!!英司くんのこと、名前で呼んじゃった・・・」
・・・えっと・・・。つっこみどころがありすぎて絶句してしまいましたけど・・・。痛い部分を一瞬で治す方法を習った・・・?現代の教育ではそんな便利なことを教えてくれるっていうのか・・・?僕が浪人していた時間に時代はそんな急成長をとげていたのか!?知らなかった・・・。まさか、「いたいいたいのとんでけ~」とか言い出すんじゃないだろな!?よし、もしそう言ったら僕は何度も線路にダイブして、この美少女に何度も「いたいいたいのとんでけ~」をしてもらおう。こんな可愛い子にビキニ姿でそんなことしてもらえる東大5浪生なんて、なかなかいないだろう。それに・・・こいつ・・・今なんて言った??こいつ・・・僕の・・・僕の・・・
「僕の名前!何で知ってるんだよ!!?」