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vol.12

 「それでは、私は英司くんと大事なお話があるので、マロンは、教室に帰っていなさいね」


 どこからどう見ても小学生だろ!っとツッコミを入れたくなってしまうような容姿を備えたレインボー校長先生が、マロンにそう言った後、僕のほうに向き直った。


「さぁ、行きましょうか。今夜は帰さないですよ、え・い・じ・く・ん☆」


 女性に言われて嬉しい言葉でも、魔女が言うと、本当に洒落にならない怖さだ。


「えっと・・・行くって、どこに?」

「もちろん、校長室ですわ。あなたとは極秘で話したいことがありますから」


 ・・・そう、ついに本題に、突入するわけか。今日、駅のホームでマロンに突き飛ばされて(結局、あれはわざとだったのかを、マロンに確認することができていない。まぁ、マロンのことだから、ぼーっとしてたらぶつかってしまったとか、そんなオチだろう)、その後、喫茶店に行き、結局この学園について来ることになって・・・。僕の今日一日を潰した原因が、ついにわかるってことか。一体、なぜ、この校長先生は僕を知っているのだろう。そして、僕に会いたがっていたのだろう。知るのが、少し怖い。どんな容姿をしていても、この人は、立派な魔女なんだから。・・・ん?魔女?魔女って、どうして僕が認めちゃっているんだ!?この人が魔女だっていう証拠、僕は見せてもらってないぞ!?それに、マロンが魔法学校の生徒だってことも・・・。別に、僕は目の前で魔法を見せてもらったわけではないのだ。僕は、なにを信じちゃってるんだ!?しっかりしろ!そんな非現実的なこと、あるわけないだろ!


「・・・レインボー先生。僕は、僕の聞きたいことを聞いたら、すぐに帰りますから。僕は、別にあなたの頼みを聞く義理もないし、あなたの力になる意志もない。あなたがどうして僕の名前を知っていたのか、何を企んでいるのか、それを教えてもらったら、すぐにこんな変な所から帰ります」


 すると、前を歩いていたレインボー先生が、ゆっくりと立ち止まり、僕のほうを振り返って、こう言った。


「・・・あなたがここから帰りたいって言うのでしたら、どうぞ、すぐに帰ってください。けれど、私にはわかるんですのよ。あなたは、きっと、ここに残りたくなる。そして、きっと、この学園に入学したくなるって」

「・・・っ」


 レインボー先生が、いつの間にか語尾に『ちょいちょいちょい』をつけなくなったのは、もう、つっこまなくても良いだろう。そんなこと、今はどうでも良い。そんな些細なことは、今のこのシリアスな場面にとったら、マロンが僕のすぐ後ろで、友達のヒカリちゃんに「英司くんてねーみんなに銀ちゃんって呼ばれてるんだって!銀歯がたくさんあるからだぽん!」と言いやがってることと同じくらい、どうでも良い。ヒカリちゃんが、「うへー英司って野郎は歯磨かないのかぁー汚い奴なんだなー」と言って、まだ話したことのない僕の株を大幅に下げていることと同じくらい、どうでも良い。どうでも・・・どう・・・で・・・も・・・


「良くねぇーーーーーーーー!!!!マローーン!いい加減にしやがれーーー!でたらめな情報ばっか流してんじゃねぇーーーーー!!!」


僕は、ついにキレた。マロンに向かって、全速力で走り、ビキニ姿のマロンを捕まえ、胸をもみしだき、激しくって声が出てしまうほどのディープキスをし、廊下に押し倒して、あんなことやこんなことをし、僕は「お仕置きだー」と叫びながら、心の中で「ヒャホーイ!」と小躍りし・・・ようとした、はずだった。



「あ・・・あれ?」



 いつの間にか、僕は全く違う部屋の中にいた。目の前には、ふかふかしていていかにも高級そうなソファーがあり、そこに、あのレインボー先生が座っていた。


「・・・瞬間、移動・・・?」

「いらっしゃい、英司くん。我がビビディ・バビディ・ブー学園へ。私が校長の、レインボーですわ。お目にかかれて、光栄ですわ」


 ・・・僕は、僕は・・・。唐突に起こった不思議な出来事に、僕は再び思考停止状態に陥った。

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