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ラズリーとの始まり



「…しょうたくん?」


私はなぜかラズリーさんを見て、前世の人を呼んでしまい、私は慌てて口を手で押さえる。



先ほど私が呼んだ名前の相手『しょうた』

野崎翔太…彼は私の初恋の人だった。彼とは小学校で出会い

そして、私が中学3年生で振られてしまった相手だ。



彼は身長が高く、目つきが鋭いことで周りから誤解を生むことがあった。

だけど、勉強でも部活でも人一倍努力家で、成果を周りに自慢もせず、ただ淡々と物事をこなす寡黙な人だった。


私はそんな彼の姿に惹かれていた。


私は卒業式の日に翔太くんに告白をしたが、あっけなく彼に振られてしまった。それからは、彼と一度も話していない。

私は地元の私立高校で、翔太くんは県立の高校に行き、会うことも無くなってしまった。さらに、振られてからはこれ以上付き纏うこともきっと迷惑になるだろうと連絡をしなくなり、完全に疎遠になってしまった。


私がこちらの世界に来るきっかけになった、トラックに下敷きになる瞬間、もう一度だけでも、彼の声を聞きたかったと少し後悔した。もう少し素直になればよかったと


きっと、ラズリーさんと翔太くんは少し似た所があったから彼を思い出してしまっただけろう。

「急におかしなことを言ってしまい申しわけありません」


私は苦笑いをして顔を上げると、口をぽかんと開けて唖然としたラズリーさんが目の前にいた。

「…ラズリーさん?どうされました」


すると、ラズリーさんは突然手で顔を覆い、綺麗な瞳から大粒の涙がボロボロと流し始めた。


「えっえ?ラズリーさ…」

目の前で女の子を泣かせてしまった。しかも、他の令嬢達に責められてた時には涼しい顔をしてたラズリーさんが私の目の前でしゃがみ込んで号泣をしている。


「ラズリーさんどうしたの?…ご、ごめん、その」


私は困惑しながらラズリーさんの肩に手を伸ばすが、泣かせた原因である私が触れても良いのか躊躇する。ラズリーさんの肩の上を触れるか触れないかの距離を行ったり来たりとしていると、グイッと腕を引っ張られラズリーさんに抱きしめられる。

「え…」


ラズリーさんに抱きしめられると、彼女のお菓子のような甘い匂いがふわっと鼻をくすぐる。こんな状況で不謹慎なのだが、心臓が経験したことがないことぐらいドキドキしてしまう。私の肩に顔を埋め、涙を流すラズリーさん華奢な背中を恐る恐る撫でる。


「ら、ラズリーさん...」

私の胸で肩を振るわせる彼女を抱きしめようと腕を回すと


「馬鹿野郎…」



「ばか…や...ろう?」

ラズリーさんの口から聞こえるわけがない言葉が、あの小さな口から聞こえてきて先ほどとは違う意味でドキドキし始める。


「許さねえからな…勝手に逃げやがって、俺がどんな思いで…くっそ馬鹿野郎、鈍感野郎、こんなに苦しめやがって...許さねえぞ」


鈴のような声で聞こえてくる声と言葉のギャップに混乱して唖然としてしまう。


「苦しめやがった責任持てよ…」


ラズリーさんは赤くなった瞳で私を睨みつけ、その小さな口が私の顔に近づいてきてくる。

そのまま、ラズリーさんは私の後頭部をがっしりと掴み強引に唇を重ねる。


「んっ………?!」


ラズリーさんは強く私を抱きしめ、涙を流しながらも7歳とは思えないような、熱を求めるキスをしてくる。

暫くして、唇が離れると互いに見つめ合い、ラズリーさんは赤くなった瞳で私を睨みつけてくる。その様子に酷く愛おしさを覚えてしまい、私はラズリーさんの溢れてくる涙をそっと拭い、無意識にラズリーさんの顎に手を添えて再び唇を重ねていた。


唇が離れると、息が上がり唾液が糸を引いて唇と唇をつなげてる。

ラズリーさんは耳まで赤くなっており、先ほどの不思議な強引さからは考えられない可愛らしさに胸が再び高鳴る。


「ラズリーさん…」

ラズリーさんの髪に触れようと手を伸ばすと、ラズリーさんに胸ぐらを掴まれ鼻同士が触れ合う距離で唸られる。


「あーあ...こんな気娘の初モノを奪いやがって、これは次期宰相殿として責任取らねえとなあ??


俺を傷物にした責任をとれよ?美咲」





読んでくださりありがとうございました

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