表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/76

第69話:結ばれる糸

「新しいプロジェクトの発表をさせていただきます」


Atelier Traditionの大広間で、春樹が静かに口を開いた。継承式から一週間。アトリエの新たな挑戦が、今まさに始まろうとしていた。


「水城さんから」千秋が蓮の隣で説明を加える。「素晴らしい提案を」


朝日が差し込む会場には、研修生たちが期待に満ちた表情で集まっていた。


「今回のプロジェクトは」春樹が続ける。「世界規模での技法継承を目指します」


会場から、小さな驚きの声が上がる。


「具体的には」春樹が資料を示す。「パリを拠点とした、国際的な研究センターの設立」


マリーが目を輝かせながら、熱心にメモを取っている。

「まさに、理想的な展開です」


「そして」蓮が一歩前に出る。「このプロジェクトのリーダーとして」


千秋は息を呑んだ。


「風間さんに」蓮がまっすぐに千秋を見つめる。「お願いしたいと思います」


会場が静まり返る。

それは単なる人事異動以上の、重要な意味を持つ決定だった。


「私に」千秋の声が僅かに震える。


「ええ」蓮が温かく微笑む。「あなたしかいない」


春樹は、そんな二人の様子を見守りながら、静かに頷いていた。


「これぞ」春樹が小さく呟く。「最高の形」


研修生たちも、喜びの表情を見せている。


「先生」若手デザイナーの一人が前に出る。「私たちも、必ず」


その決意に満ちた言葉に、千秋は胸が熱くなる。


「みんな」千秋が優しく応える。「一緒に、夢を追いかけましょう」


アトリエには、朝の光が満ちていく。

その光が、新しい時代の幕開けを告げるよう。


「風間さん」マリーが近づいてくる。「パリで、また素敵な物語を」


「ありがとうございます」千秋が微笑む。「今度は、世界への扉を」


蓮は、そんな千秋の横顔を温かく見つめていた。


「風間さん」蓮が静かに声をかける。「覚えていますか」


「はい?」


「パリで過ごした日々」蓮の声が柔らかくなる。「あの時の夢が、今」


千秋も、その記憶を優しく思い返す。

研究ノートとの出会い。そして、新しい技法の誕生。


「全てが」蓮が続ける。「一つの形になろうとしている」


アトリエの窓から、京都の街並みが見える。

伝統と現代が調和する景色。

まるで、二人の人生のように。


「これからも」蓮が千秋の手を取る。「共に、世界へ」


「はい」千秋も力強く。「私たちの夢を」


春樹は、そんな二人の姿を見守りながら、深いため息をついた。


「長かったけど」春樹が懐かしむように。「全てが、最高の形に」


さくらと玲奈も、温かな表情で見守っている。


「本当に」さくらが嬉しそうに。「素敵な物語になりましたね」


アトリエには、新しい風が吹き始めていた。

それは伝統と革新の風。

そして、永遠の愛を誓った二人の物語の風。


「さぁ」蓮が千秋を促す。「新しい一歩を」


「はい」千秋も力強く。「私たちの道を」


二本の針が、朝の光を受けて輝いている。

それは過去から未来への架け橋。

そして、二人の絆の証。


全てが、今、新しい形で結ばれていく。

それは伝統と革新の調和。

そして、世界へと羽ばたく愛の物語。


(つづく)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ