第67話:紡がれる絆
「最後の調整です」
Atelier Traditionの展示室で、千秋はさくらのウェディングドレスを見つめていた。結婚式から半年。最高の形に仕上がったドレスは、今や伝統と革新の象徴として、多くの人々の注目を集めていた。
「本当に」さくらが感動的な表情で。「素敵な作品になりましたね」
特別展示として公開されることになったドレス。朝日を受けて、シルクの布地が神々しい輝きを放っている。
「これこそ」マリーが熱心にメモを取りながら。「伝統と革新の完璧な調和」
その時、アトリエのドアが開く。
「失礼します」
蓮が入ってきた。完璧なスーツ姿の中に、穏やかな幸せが滲んでいる。
「風間さん」蓮が近づく。「特別展の準備は」
「はい」千秋が頷く。「全て、整いました」
明日からの特別展。さくらのドレスを中心に、伝統技法の歴史と未来を紹介する企画だ。
「それにしても」春樹が入ってきながら。「随分と変わったね」
確かに。この半年の変化は、誰の目にも明らかだった。研修生たちの成長。世界からの注目。そして、二人の絆の深まり。
「全ては」さくらが優しく微笑む。「このドレスから始まった」
千秋は静かに頷いた。
一着のドレスが紡いだ、奇跡のような物語。
「そして」蓮が千秋の方を向く。「新しい家族としても」
その言葉に、千秋の胸が温かくなる。
「本当に」さくらが嬉しそうに。「素敵な姉になってくれて」
その時、研修生たちが入ってきた。
「先生」若手デザイナーの一人が報告する。「特別展の準備が」
彼らの成長ぶりは、目を見張るものがあった。伝統技法を真摯に学びながら、新しい可能性を追求する姿勢。
「みんな」千秋が優しく言う。「本当によく頑張ってくれました」
「いいえ」研修生たちが深々と頭を下げる。「先生方のおかげです」
アトリエには、朝の光が満ちていく。
その光が、新しい時代の到来を告げるよう。
「さて」春樹が立ち上がる。「特別展の最終確認を」
展示レイアウトの確認が始まる。
ドレスを中心に、技法の進化が物語のように配置されていた。
「ここに」千秋が説明する。「伝統的な技法の基礎を」
「そして」蓮が続ける。「現代への進化の過程を」
二人の言葉は自然と重なり合い、互いの想いを補完していく。
マリーは、そんな様子を熱心に取材していた。
「まさに、理想的なパートナーシップ」
さくらと春樹も、温かく見守っている。
「本当に、幸せそう」
アトリエの窓から、京都の街並みが見える。
伝統と現代が調和する景色。
まるで、二人の人生のように。
「風間さん」蓮が静かに声をかける。「この半年を振り返って」
「はい」千秋も柔らかく微笑む。「全てが、夢のよう」
二人で築いてきた日々。
研修生たちの成長を見守り、新しい技法を確立し、そして家族として歩み始めた時間。
「これからも」蓮が千秋の手を取る。「共に、歩んでいきましょう」
「はい」千秋も力強く。「私たちの道を」
アトリエには、新しい風が吹き始めていた。
それは伝統と革新の風。
そして、永遠の愛を誓った二人の物語の風。
二本の針が、朝の光を受けて輝いている。
それは過去から未来への架け橋。
そして、二人の絆の証。
全てが、今、新しい形で紡がれていく。
それは伝統と革新の調和。
そして、家族として歩み始めた幸せな日々。
(つづく)




