パパと呼んで…。 vol.079 「結婚したい女性…、妊娠しちゃったんです。」
悠馬、その知寿子の声に浩一の顔をチラリと…。
黙って、前を向いている浩一。そして、
「ふふ…。…普通、そう…思いますよね~。」
知寿子、
「モッ…ちゃん…???」
「まっ、このまま黙っていても、誤解産むだけですから…。」
その浩一の言葉に悠馬、
「……。」
「実は…、その…、結婚したい女性…、妊娠しちゃったんです。」
悠馬も知寿子も、その浩一の言葉に、
「えっ。」
「妊娠…って…。…まさか…、 モッちゃん…、その…生まれてくる赤ちゃんのお父さんって…???」
驚いたような顔をして知寿子。
「そっ。僕じゃないんだ。」
チラリと浩一の顔を見て悠馬、
「ん~~。」
知寿子、
「そんな……。」
「彼女のクライアント、兵庫県に数カ所のレストランを経営している社長なんだ。」
淡々と話す浩一。
「いつの間にか、付き合ってたんだろうね~。全く気づかなかった。」
知寿子、呟くように、
「モッちゃん…。」
「僕も悪かったところは…、あったんだ。」
「えっ。なんで、なんで…???」
寿を抱き寄せながら、身を乗り出すように知寿子。
「実は、赤ちゃん出来たって言われた4ヶ月前辺りから、急に僕の広告の企画が採用され始めたんだ。」
その話を聞いた悠馬、
「…ん…???4ヶ月前…???」
「多分…、悠さんなら、分かると思いますけど…。…実は、私の部署の上司が新しい上司に切り替わった頃なんです。他社からの途中入社の管理職と言う…。」
悠馬、
「ふ~ん。…と、言う事は、その上司に代わった後、モッちゃんの仕事の評価が上がった…か…???」
「言い得て妙ですが…。僕自身、かなり忙しくなる時期に入ったんです。そのせいで…、彼女とも…。」
「でも、でも…。結婚まで考えて…いるんなら、そんな…、仕事だって…。」
知寿子。
浩一、
「そうは…思うんだけど…。でも…相手は、業績上がっているレストランの…。」
「社長…様…。ふ~ん…。」
口を尖らせて黙り込む知寿子。
「頭…かち割られた感じだった。…さすがに…、完全に、アウト。だ~めだ~。…ってね~。」
知寿子、
「モッちゃん…。」
「それから彼女、会社には出て来なかった。いくら電話、メールしても返答なし。…そして一週間後に、退職。その時、ようやくスマホにメール。浩…ありがと。ごめんね。愛してた。…けど…、ごめんね。…って…。」
震える声で浩一。




