パパと呼んで…。 vol.075 「絢のパパは~。今…天国にいるんだよね~。」
「かっわいいでしょ~。ねぇ、絢~~。ふふ…。」
知寿子。
一瞬、浩一、鼻を啜るような音。
「ん~~。旨い。さすがに侑佳の作る弁当は旨いね~~。」
口をもぐもぐさせながらの直道。
天気は快晴。
そんな中での神戸の公園でのシートの上で。侑佳、
「うん。天気も良いし、気持ち良いよね~。」
あちらこちらで家族連れか恋人同士か、ピクニックの光景。
そんな中に小さな子供が元気よく走り回っている姿もある。
そんな光景を目にしながらの侑佳、
「……。」
直道、
「…侑佳…???」
「ううん…。なんでもない。…かっわいい~~。」
あの日以来、夫、直道との夜の営みはなかった。
「そしてマコの隣が妹の麻美。」
知寿子。
浩一、
「こんにちは、初めまして、木本です。」
「初めまして、麻衣子の妹の麻美です。」
少し照れながらの麻美。
知寿子、
「そして、その隣が…。」
「その節はお買い上げ、ありがとうございました。」
にっこりと、そしてペコリとお辞儀をして捷子。
「綺麗なラッピングで、お袋、大喜びでした~。ありがとうございます。」
「いえいえ、どうしたしまして。また是非お店の方に。サービスしちゃいますよ~。」
「ありがとうございます。是非。」
そして、周りを見回して、浩一、
「……。」
知寿子、
「…ふふ…、モッちゃん。」
「…ん…???」
「気になるでしょ。私の傍には、この子、私と悠馬の、寿と申します。」
「寿ちゃんか~。うん。かっわいいね~。」
寿、
「こんにちは。」
知寿子にぴったりと着いて。
「そして、気になるこの子の父親。」
ベビークーファンの中の絢を見ながら知寿子。
笑顔で絢を見守りながら麻衣子、
「絢のパパは~。今…天国にいるんだよね~。」
その麻衣子の声を聞いた瞬間、浩一、
「えっ…。あ…、そっか…。」
そして、いきなり小鼻がキュ~ンと。
そして頭の中に過るあの時の屋上での侑佳の言葉。
侑佳、
「お腹の…赤ちゃんの…お父さん…。汀…直道社長。」
浩一、
「み…、汀…って、侑佳…。おい。」
「うん。私のクライアント…。仕事上で良くしてもらって、そのまま…。断れなくって…。」
涙ながらの侑佳。
「断れなくってって…、侑佳…おま…。」
「ごめん。ごめんなさい。浩…。」
「ご…めんって…、謝れ…ても…。」
いきなりその場で、何をどうしようが…。そのまま、両手で手摺を掴んで、
「わ―――――――――っ!!!!」




