パパと呼んで…。 vol.071 「やら…れた…。」
店から出て、藍子を背中に…。道路までのアプローチ。
途中で数人の通行人。女性を背負っている男性を見ながら、クスクスと。
そんな笑いを一切気にせずに、通りでタクシーを。
「藍ちゃん。乗るよ。」
後部座席のシートにようやく収まった藍子、恒夫の両膝に体を預けたまま。
藍子の背中を優しく擦りながら恒夫、
「な~にやってんだか、こいつめ。」
左手で藍子の髪を撫で、右手で、藍子の右腕を撫で、
そして腹部に手を当て、抱えるように。
「あっ、運転手さん、……まで、お願いします。」
その30分後には何とか藍子の部屋。ようやくベッドまで。
そして藍子をベッドに横にして、藍子の鼻に指先で、そしてにっこりと、
「この酔っ払い。」
そしてベッドから身を起こそうと…。その瞬間、いきなり右手を引っ張られて。
恒夫、
「お~っほっ。」
そのまま体勢を崩しての恒夫。
ベッドの中でいきなり藍子に羽交い絞めにされる恒夫。
「帰っちゃ、や。」
その、藍子の声に、藍子の顔の真ん前で、
「お~~い。藍ちゃ…。」
その恒夫の唇に右手人差し指を付けて、
そして恒夫の首に両腕を回して抱き締め、
「こんにゃろ、こんにゃろ、こんにゃろ。」
恒夫、全くの無防備、
「やら…れた…。」
車の後部座席、ベビーシートの中で麻衣子の指先を掴んで笑っている絢。
助手席で順子、ナビを見ながら、
「パパ、あの信号、右みたいね。」
「おぅ。マコ~、絢、大丈夫か~???多分、初めての車の中だろ。」
麻衣子、
「あ~、大丈夫。…でも…、初めて…じゃ…ないな~。前に、悠馬の車にも乗ってるから…。あっ、でも、あの時は夜だったから…、うん、起きているときの車は…初めてだよね~。」
「けど、びっくりしたよね、パパ。」
順子。
「うん…???」
右にハンドルを切りながら敏光。
「珍しく、場所を決めて食事会するなんて…。暁さんの方から。」
「あぁ。何でも紹介したい人がいるって…。しかも、あいつ、暁自身、まだ見た事のない人って…。お前たちは…知ってんのか~???マコ、麻美~。」
麻美、
「お姉ちゃんはね~。でも…私も…初めて。」
「ふ~ん。…と、ここ…か…???へぇ~。こういうの…あったんだ~。」
「新しいよね、ここ。」
順子。




