パパと呼んで…。 vol.006 「運命共同体。」
その知寿子に麻衣子、
「へ…???あっはははは…。電源切ってたの…忘れてた~。」
「…これだよ。おばちゃんに電話したら、こっち来てるって…。もう~。親友を何だと思ってる~。」
知寿子。
「ごめんちゃい。」
「運命共同体なんだからね~。覚えとけ。」
「あ~い。」
「それにしても…。さすがに…高志の匂い…、そのまんまだね~。」
「ま~ねぇ。」
部屋の中をグルリと見回して、お茶の準備をしている麻衣子を見ながら知寿子。
「マコ~~。」
「ん~~。」
「何かあったら、必ず連絡して。じゃないと、私もやだから…。悠馬も心配するから。」
奥寺悠馬、知寿子の夫である。そして知寿子は女の子1児の母である。
名前が寿。
「うん。ありがと…。チズ。」
そう言いながら、また薄らと目を潤ませて。
「ほら~。だから言わんこっちゃない~。まだ…傷…癒えてないっていうのに~この子は~。寿、悠馬に預けてきて良かったよ~。正~解~。」
そう言いながら麻衣子の肩を抱く知寿子。
「うん…。チズ。」
「ほらほら、もう~。泣いちゃえ、泣いちゃえ。」
そして…お昼前には、
「じゃ、悠馬と寿のお昼作らなきゃ、後で電話するね~。」
ドアに向かいながら知寿子。
「う~ん、ありがとう~、悠馬と寿によろしくね~。」
麻衣子。
ドアの向こう閉め間際に、
「じゃね。」
階段を降りて行く知寿子。
部屋の中で座ったままで背伸びして、
「さ~てと~、とうとうひとりだ~。頑張ろうぜ~、麻衣子~。」
「たっだいまっと~。パパ~、寿~、帰ったよ~。」
と、リビングに顔を出して…も、いない。
その瞬間、
「バァ。」
2歳になったばかりの寿の声が後ろから。
悠馬が肩車をして。
「マ~マ。」
「びっくりした~~~。もう~~寿~~。こんにゃろめ。ふふ…。台所に隠れてたな~。パパ、ありがと。」
知寿子。
「おぅ。…で、どうだった。マコ…???」
悠馬。
「ふん。まっ、あんなもんでしょ。傷も言えてないのに、意地っ張りなんだから。何かあったら連絡しないと、私も悠馬も困るよ。って言ったら、いきなり泣かれちゃった。」
「そっか~。そうだよな~。俺たち、いっつも、一緒だったから。……。」