パパと呼んで…。 vol.041 「結婚…して…ますよね…???」
「…侑…佳…???」
全く侑佳の言っている事が分からない浩一。
「あか…ちゃんって…。まだ…俺達…???」
手摺から離れて浩一の前に跪く侑佳。
そんな侑佳の両肩に体を下げながら両手を添える浩一。
「…何…が…、あった…???侑佳…???」
「浩…。」
自分の斜め上の浩一の顔を見ながら、ぐしょぐしょになった顔で侑佳。
浩一に申し訳なさそうに…。
「お腹の赤ちゃん…。お父さん…。…浩じゃ…ない。」
「それは…。だって…、俺達…まだ…。」
今度は下を向いて侑佳。
「お腹の…赤ちゃんの…お父さん…。……。」
「主任。東京…懐かしいでしょ。」
窓の外を見ている浩一に典。
その声に思わず声のした方向に顔を向ける浩一。
「あっ。あ~。ほんと。随分変わったよな~。」
「さっきからず~~っと外ばかり見てたから、懐かしいんだろうなぁって…。」
「う、うん。」
「運転手さん、ありがと。」
もう、過ぎた事。彼女はもはや、自分とは関係のない人。
そんな風に自分に言い聞かせて、駅に着き、
改札を抜けてまた典と電車に乗り込む。
「あっ。主任。ひとつ、変な事聞きますけど…、良いですか???」
吊り輪に捕まりながら典。
浩一、
「ふん、何???」
「主任って…、結婚…して…ますよね…???」
「いきなりどうしたの…???ダイレクトだね~。」
「いえ。いえいえいえ。あっ、はははは…。いえ。別に…そんな深い意味は…ないんですけど…。」
「深い意味はないって…???」
「…あは。ただ…、な~んとなく…。あっ、ほらほら。室長も、前の主任も結婚してたでしょ…。」
「だから。僕もって???」
ぎこちなく浩一を見る典。
「うん。いい線は行ってる。」
「えっ。」
「正確に言えば、結婚したい女性はいた。その人も僕と同じ考えだった。」
「…いた…。だった…。…って…???」
「ん~。神戸時代ね~。」
「神戸…時代…???…ぷっ。なんだか…、時代劇みたい。」
くすくすと笑いながら典。
「えっ。じゃ…、何々…、主任…結婚は…まだ…???」
「うん。まだ…独り身~。」
「ふ~ん。」
「何よ、その…ふ~んって…???」
「…いや…。別に…。」
口を真一文字に、目をくるりとして見せる典。
「あ、あの~。宮部…さん…???…いや…つかさん…???」




