パパと呼んで…。 vol.040 「女の子…産まれたんだ。」
「へぇ~~。前の主任の奥さん…、だったんだぁ。」
浩一。
「うん。…でも、私も気付かなかったわ。会った事。2…回くらいだったかも…。でも…凄いや、奥さん、私の声も覚えてたみたいだったから…。」
典。
「そうみたいですね~。そして…、女の子…産まれたんだ。」
「そう…みたいね~。1年…数か月の結婚生活…か~。」
「へっ!!!そうだったんですか…。わお。」
「うん。去年の夏ね。女の子を助けようと車道に…。」
「わぁ…。じゃ…。交通事故で…。」
「うん。…あっ、運転手さん…、待たせてごめんなさい。このまま駅…戻ってくれます…???」
タクシーの中で、浩一の頭の中に甦る丁度半年前。つまりは去年の夏。
「浩、先に行ってやってるからな。」
同僚の男子社員。
「おぅ、悪ぃ~。これ…片付けねぇと…。後で合流するわ。もう少しなんだ。」
浩一。
「なんなら…、侑佳ちゃん、連れて来てもいいぜぇ。」
「はは…、な~に言ってんだか~。野郎だけのビアガーデンに~。」
「じゃな~。先。」
「おぅ。」
その5分後、浩一のスマホにメール。侑佳から…。
「浩…話がある。今…、屋上に…来れる…???」
浩一、
「はあ…???何やってんだ、あいつ。しょうがねぇなぁ。」
屋上でひとり、夕方間近の神戸の景色を観ている侑佳。
「どうした。今日、女子会じゃなかったっけ…。」
浩一。
「うん。…でも、何だか…、そんな気分じゃない。」
「どうしたの…???…侑…。…もし…か…し…。」
浩一の顔に振り向こうとしない侑佳。
「おま…。泣いて…る…???」
侑佳、
「…ん…。ぐす。」
手摺に置いてある左手で頬に零れた涙を拭いながら。
「浩…。」
掠れた声で…。
「ごめんね…。浩…。」
「はっ…???何…が…???」
「浩…。私…、会社…辞める。」
「はっ???…何…???どういう事…???」
「浩…、ごめんね…。」
「何が…何だか…。侑佳。」
泣きながら侑佳、
「私…。あか…ちゃん…。できちゃった。」
声を押し殺したように…。
「はっ???…どういう事よ、それ…???侑…佳…。」
いきなり、
「あ~っあっあっあっあ~。」
泣きながら侑佳。
「あか…ちゃんって…。…まだ…、俺たち…。」




