パパと呼んで…。 vol.035 「んじゃ、頼むよ~。郷、お願い。」
「んじゃ、頼むよ~。郷、お願い。」
奏。
後ろから走ってくる郷を、ファイルを確認しながら。
「は~い、了解~。行ってきます。んじゃ。」
ワゴン車の運転席に乗って、窓を開けてニッコリと。
「ふふ。相変わらず綺麗なお母さんだ。ねぇ~郷ちゃん。それに、かっこいいお父さんね~。郷ちゃ~ん。」
知寿子。
「ははは。ありがとうございま~す。」
角郷。角奏のひとり息子である。
そしてフラワーショップ、「アティレ」の店長、石嶺和也のひとり息子でもある。
「ほんと、ほんと。あのふたりがいるから、仕~事、た~のしい~。」
麻衣子。
「マコさん。ありがとうございます。」
「どう…???その後…彼女とは上手く行ってるの~???」
知寿子。
「えっ…???え~~???参ったな…。かかか…。チズさ~ん。」
郷。
「な~によ~。照~れちゃって~。ふふ…。」
知寿子。
麻衣子、
「かかかか。」
歩きながら浩一、出掛け前にいきなり咲から内緒話しをされていた。
その事が何とも微笑ましく、楽しかった。
ニコニコしている浩一の顔を見て典、
「主任、な~にニコニコしてるんですか~。おっかしい。」
その典の声に、頭の中ではまた咲の声。
「…主任、つかさん口説いたらダメですよ~。お奉行と喧嘩になっちゃいますから。」
そんな典の声に、
「あっ、いや。神戸とは全然違うなぁ~って思ってねぇ~。それにさ。ひとつ聞いて良い…???」
右手人差し指を出して浩一、
「咲ちゃん…、出掛けにも言ってたけど、何で竹橋君、お奉行なの…???」
その浩一の話しに、
「あぁ、それ…???後々分かると思うけど…。」
改札を出て、階段を上りながら。
「ハッシ~。つまりは竹橋君、実は、出身、大阪なの。」
ホームに着いた途端に丁度列車のドアが開く。浩一、
「へぇ~。そんな風には全然見えないけど…。完璧なる東京人って感じ。」
「まぁ…、一緒に飲んだら分かるわ。」
「…で、それが何でお奉行と…???」
一つ目の駅に着き、乗客が入れ替わる。
「彼の好きなもの。」
「うん。」
「時代劇。」
「時代劇…???」
「そう。…しかも、白州が大好き。」
「白州って…、あの、お奉行所の…。あっ、それで…。」




