パパと呼んで…。 vol.020 「ママ…。じゃ…絢、お願い。」
その麻衣子の話を聞いた瞬間、知寿子、そして捷子、
ほんのりと目を潤ませて…。
悠馬、
「うん。いいじゃん。寿~。」
寿を抱き上げて、
「ほ~ら。絢ちゃんだぞ~。」
順子、目尻を指で拭いながら、
「うん…。素敵な名前…、絢。」
敏光、
「絢かぁ~。」
「でかした、麻衣子ちゃん。うん。」
ガッツポーズの藍子。
「良い名前だね、姉ちゃん。」
麻美。
「はは…、何だか、涙…、出てきた…。」
鼻水を啜って捷子。
そして2週間後。
「ママ…。じゃ…絢、お願い。」
麻衣子。
「は~い、行ってらっしゃ~い。絢、ほら、ママお仕事よ~。気を付けてねぇ~って。」
順子。
「絢~、じゃね~。」
手を振って玄関を出る麻衣子。
「さ~て、ママが帰って来るまではバ~バと一緒だね~~。絢~~。」
勤務先の店内で知寿子、
「おはよ、マコ。絢ちゃん、おばちゃんち…???」
「あ、おはよ。うん、ママがね。絢をみんなで育てるって言っても、ちゃんと家族が傍にいるんだから…頼んなさい。って。」
「おばちゃんらしいや。しっかりと…お見通しって…訳か。」
「うん。結局は…、甘えているみたい。でも…ありがたいよ。」
「な~に言ってる~。普通なら無条件で実家に帰っちゃうよ。でも…、それをしないあんたは偉い。」
「そんな…、偉い…なんてこと…。」
そんな話しをしながら店のフロアの方に脚を運ぶとひとりの男性。
あれこれと色んな花を見ながら首を傾げ、
終いにはレジの捷子に何やら声を掛けている。
結局、フロアに入って来ていた麻衣子と知寿子に手で合図して男性を誘導する。
知寿子に男性、
「すいませ~ん。」
知寿子、
「あ、はい。いらっしゃいませ~。」
そんな知寿子と男性を見ながら笑顔で、花の手入れをする麻衣子。
「何か…、贈り物に…ですか~???」
知寿子が男性に…。
「えぇ~。母親の誕生日に…。どれがいいか…なって…。」
男性を見ながら、
「お母さんに…ですか~。……。」
「えぇ…。久し振りに…母の誕生…。」
男性。
何故かしら、自分の顔を見ている女性店員に…、
「あの…???」
知寿子…、
「あの…。もしか…して…。」
男性…、
「はぁ…。」
「もしかして…。…間違って…いたら…ごめんなさい。」
男性、
「はぁ…???」




