パパと呼んで…。 vol.108 「あなたたち、大したもんだよ。」
麻衣子、
「はい。そろそろ…5か月に入りますけど…。」
その麻衣子の声に小枝子、
「はい…???5か月…???」
小枝子、いきなり目をパチパチと…。そして空を見る感じで…。
麻衣子、
「あ…、あの…、何か…???」
小枝子、
「かかか。5か月…か…。おやおやまぁまぁ…。何と、何と。ん~、これこれ。」
絢をあやして笑顔の小枝子。
そんな小枝子にニコニコと笑いながらの絢。
両手を小枝子の顔にぶらぶら。
そして、その時、小枝子、みなを見回して、
「ねね、チズちゃん、マコちゃん。…変な事…。いや…、失礼な事、訊くようだけど…。この赤ちゃんの…父親って…???」
その小枝子の声に浩一、
「ちょっ…、母さん。」
少しの沈黙の後、知寿子、にっこりと笑顔で、
「絢には…パパ…いないのよ。」
その知寿子の言葉に捷子、
「うん。だから~。私たちで育ててるんだよね~絢~。」
「絢のパパ…、父親になるはずの…、お姉ちゃんの旦那様…。絢が…産まれる前に、死んじゃったから…。交通事故で…。」
唇を一文字にして麻美。
麻衣子、その麻美の声に同調するように、
「はい。」
一瞬、小枝子、自分が口にした言葉に詫びるように、みなを見ながら、
驚きの顔を一瞬しただけで、すぐに笑顔に…。
そして顔をまた絢に向けて、そして少しだけ鼻を啜りながら、
それでも優しい声で、
「そうだったのかい~。絢ちゃ~ん。じゃ、みんなから愛されて育てられてんだね~。良かったね~。こ~んな元気に、しかも丈夫に育って~。」
知寿子、
「あ…、あの…、おばちゃん…???」
「ん~~???」
みなの顔を笑顔で見ながら、
「あなたたち、大したもんだよ。この赤ちゃん、しっかりと健康優良児に育ってるよ。」
その声に麻衣子、
「わぁ~~。」
にこにこと笑顔で。
麻美、麻衣子の右腕を突きながら、
「へへ…、お姉ちゃ~ん。」
「そっか~~。父親がいなくっても、こんなに育つか~~。いいね~~。え~~浩~。」
そんな母親の声に浩一、
「うん。めちゃくちゃ可愛いだろ、絢ちゃん。」
小枝子、
「うん。良い顔してる。肌の色も良いし、足もしっかりとしている。こんな風に、愛嬌振る舞える赤ちゃんって、久し振りに見るね~。ニッコニコしてるわ~。」




