この狂おしい感情が、きっと。
「あ、お兄ちゃん、もう結構時間遅くなっちゃったよ。そろそろ晩御飯の準備する?」
「本当だ、お喋りしすぎちゃったね。まさか今日もお祝いするだなんて思ってなかったから簡単なものになっちゃうけど、すぐ作るね」
リビングの壁にかかる時計に目をやると、十九時十分前になっていた。
かなりの時間喋ってしまっていたらしい。人見知りを自負するあたしがこんなに初対面の人と、しかも推しとお喋りできるなんて、すばらしい進歩だ。
きっと二〜三年分にあたるくらい男の人とお喋りしたね。ふだんどれだけ男の人と喋ってないかが如実に表れている。
「それじゃ、あたしはこのあたりでお暇しますね」
そう言って腰を上げたが、礼愛に手を引かれて再び椅子に舞い戻ってしまった。
やめてよ。急に引っ張らないでよ。どすん、みたいな厳つい音が鳴ったんですけど。あたし太ってないんですけど。
「ちょっ……なにすんの礼愛」
「なにって、食べていきなよ、晩御飯」
「……えっ」
「そうだよ、吾妻さん。もう遅くなっちゃうし、どうかな?」
「お兄ちゃんのご飯めっちゃおいしいから! 食べなって!」
「この時間からだと手間のかかる料理は難しいけど、腕を振るわせてもらうよ」
最初からそのつもりだったかのように、礼愛もお兄さんも話を進めていく。
こうなってしまっては固辞してしまうのも失礼になりそうだ。ありがたく御相伴に預からせてもらおう。
「あ、ありがとうございます……いただきます」
「よかった。いくつか仕込みは済ませてあるから早めに出せると思うけど、ちょっと待っててね」
「夢結、家に連絡しといてね。帰るの遅くなるって」
「お、おけ。メッセ送っとく」
うちの両親も共働きで帰りは遅いから、まだ晩御飯は作り始めてないだろう。親に『礼愛と食べて帰るから晩ご飯いらない』と送る。よし、嘘はついてない。
スマホから顔を上げてキッチンを見ると、腕まくりをしたお兄さんがエプロンを着て立っていた。
うわーうわーなにこれ。紅茶の時も思ったけどVRの乙女ゲーかな。受け答えもしてくれるし(なんならこちらが満足に受け答えできない)、触ってくれるし(自分からは恐れ多くて無理)、匂いまで嗅げる(本人からの許諾なし)なんて、いい時代になったものだ。
心がときめきすぎて、逆にいつもこんな光景を見られてご飯まで作ってもらえる礼愛に腹が立ってくる。羨ましい。妬ましい。
三十分足らずで、お兄さんの手料理がテーブルの上に並んだ。トマトのマリネ、鮭や野菜がたくさん入ったチャウダー、鶏胸肉のレモンソテー、小エビとブロッコリーのサラダなど、とてもじゃないが三十分やそこらで作れる量と料理ではない。なのにそれらを用意する片手間に、お喋りして待っていたあたしと礼愛に紅茶のおかわりまで淹れてくれる手際の良さ。
お兄さんに聞けばほとんど作り置きであとは盛り付けたり仕上げるだけだった、なんて言ってたけれど、あたしなら作り置きがあったとしても一時間からかかりそうだ。なんならまず作り置きをする段階まで辿り着けない。脱帽というか、頭が下がるというか、素直に尊敬する。
どうしよう、お兄さんに女子力で勝てる気がしない。そもそもお兄さんが相手では、同年代女子の何パーセントが勝てるのかという話だ。
礼愛が自慢する通りのとんでもなくおいしい晩御飯に舌鼓を打って食休みを挟んで、長々とお邪魔してしまったあたしはようやくお暇することになった。
素晴らしい経験をさせてもらった。夢心地である。またボイスドラマの台本書いたら呼んでもらえるのかな。だとしたら毎秒作っちゃうのに。
礼愛は、もっとお喋りしたかった、なんならお泊まりしちゃえばいいのに、なんて言ってくれていたが、選考動画完成祝賀会(二回目)はこれにてお開きだ。聞けば、礼愛はこれから配信の予定があるそうだ。
あたしとしても助かった。今から礼愛の配信が終わるまでの間、何時間も推しと一対一だなんて心臓がもつはずない。もう少し修行しないと、この戦いにはついていけない。
礼愛は玄関までお見送りしてくれたが、別れ際に『ゲーム実況にしようかと思ってたんだけど、今日のおかげで雑談配信になっちゃいそうだよ』という意味深な言葉をかけられた。
配信で今日の話をするんじゃないだろうな。べつに実名を出さないならあたしは構わないっちゃ構わないけれど。
不穏なセリフを吐くだけ吐いて、ぱたぱたと礼愛は階段を駆け上がっていった。きっと自室に向かったのだろう。ほら急げ急げ、配信時間に間に合わなくなるぞ。
靴を履き、あたしはスクールバッグを肩にかけてお兄さんに振り返る。
「今日はありがとうございました。晩御飯までご馳走になってしまって。礼愛の言う通りとてもおいしかったです」
お兄さんは笑顔で、しかしなぜか首を傾げた。
「うん? うん、口にあったのならよかったよ。送るから、ちょっと待っててね」
「ぅあ、あ……ありがとうございます」
わざわざ家の前まで見送ってくれるようだ。いや、もしかしたら駅まで送ってくれたりするのかな。
この人ほんと優しさが天元突破してるな。前世は聖人かなにかかな。いや現世でも聖人だわ。
玄関から歩いて、外と敷地を区切る門扉を開く。
「…………」
さすがにずっと無言を貫くのは、空気もあたしの印象も悪くする。何か喋らなければと勇気を奮って話を振る。
「お、お昼は暖かかったですけど、よ、夜はけっこう冷えますね……」
一念発起の結果が気温がどうこうとかいう、いわゆるお天気話に行き着いた自分の引き出しの少なさに絶望する。
「────」
あまりのコミュ力の乏しさに呆れられたのか、あの菩薩のように優しいお兄さんが何も言葉を返してくれない。
「あ、あ、いや、あの、あたし谷間が蒸れやすくて薄着しが、ち、で……」
テンパりながら振り向いて言い訳する。その途中でお兄さんが、というよりも男性全員が返しに困るだろう逆セクハラ発言したことに気付いて、さらに絶望を深めた。深めたのは傷かもしれない。
だが驚くべきことに、それよりも衝撃的なことがあった。
「……おらんやないかーい」
お兄さんいなかった。
後ろからついてきてくれてるものだとばかり思っていたけど、お兄さんいなかった。
「……え、なにこれ……いじめ?」
やめてよお兄さん、礼愛は若干その気がありそうだけど、あたしにはMっ気ないよ。あたしにまでそういうプレイ強要しないでよ、新しい扉開いちゃうよ。
「っ……ぅぐっ、えぐっ……」
つまりあたしは玄関を跨いでから門扉を開くまでの間、大きな独り言をずっと言っていたことになるわけだ。そこには多大なる羞恥を感じるけれども、同時に話題に窮してお天気話を振ったことと、逆セクハラ発言をお兄さんに聞かれることはなかったという事実に安堵した。
わりときっつい悪戯をされた傷心よりも、先に安堵が立つ自分に泣きたくなるほど悲しくなる。
あれ、あたし今日礼愛の家に何しにきたんだっけ。黒歴史量産しにきたのかな。
「駅……あっち、だったっけ」
一人で歩かないといけない道を思い浮かべる。明るくて楽しかったお家の中の反動で、点在する街灯だけの薄暗い帰り道が急に物悲しく見えた。
どうしよう、へこむ。礼愛が聞いてるかもしれないから送るみたいなこと言ってくれてたけど、やっぱり嫌だったのかな。
まあ、好かれるようなことしてないし、その逆のことはした覚えがあるから、仕方がないといえば仕方がないんだけどね。お兄さんと礼愛を使って妄想しちゃったし。まあわかってたよ。当然でしょ。うん、最初から気づいてた。覚悟してたよ、うん。わかってた、あたしにはわかってた。
「うぅ……ぇぐっ……」
わりぃ、やっぱつれぇわ。
しゃがみ込んでしまいそうなほどつらい。視線が下がる。涙がこぼれそうになる。つらい。まぶたを固く閉じた。つらい。
優しく接してくれてるように感じてたけど、もしかしたら心の中では『オタク乙』くらいに思ってたのかなぁ。どもりすぎだろ、とか思われてたのかなぁ。挙動不審すぎわろたとか、本能と欲望だけで生きてて草とか、思われてたのかなぁ。思われてたんだろうなぁ。いまさら悔やんでも遅いんだよなぁ。
あぁ、根暗の悪い癖が出てる。なんでもかんでもネガティブに捉える面倒くさい習性が出てる。一人反省会はせめて家に帰ってからにしろ。
いや、もしかしたらお兄さんは急に用事を思い出したのかもしれない。そうだ、そういうことにしておこう。
切り替えて、早く帰らないと。明日も学校があるし、宿題も課されている。なによりずっと家の前に佇んでいたら通報されかねない。日も落ち切った閑静な住宅街の片隅で首を垂れる女とかホラーでしかない。
重たくなってしまった足を一歩踏み出す。
その寸前のことだった。
気落ちした肩を、ばっと掴まれた。
思いがけない感触に下がった肩がびくりと跳ねた。
「吾妻さん! いなくなってたから驚いたよ。先に外に出てたんだね」
「ぐすっ……あぇ? お兄、さん?」
「ちょっ、どうしたの吾妻さん!? 外が暗くて怖かった? ごめんね、遅くなって……」
ごめんね、とお兄さんは何度も何度も懺悔するように繰り返して、涙ぐんでいるあたしの頭を撫でてくれた。力加減が完璧に調整されている完璧な撫でだった。確実に礼愛にやらされ慣れている。経験値が違う。
まるで幼児のような扱いに、赤面するよりも前に安心してしまっていた。礼愛の言っていた頼り甲斐だとか安心感というのはこのことだったのかと実感した。
いや、待て。それよりも先に問わなければいけないことがあるぞ、あたし。
「お、お兄さんが、なぜここに?」
そう、なぜお兄さんがここにいるのか。
てっきり今頃、リビングに戻って哀れなあたしを想像してほくそ笑みながらワインでも傾けていると思っていたのに。あ、Sっ気強いお兄さんもいい。真理の扉が開きそう。
「なぜって……送るって言ったでしょ?」
「で、でも……振り返ったらお兄さんいなかったから、てっきり……」
「……てっきり?」
「……礼愛が近くにいたから送るって言ったけど、やっぱりめんどくさくなってお家に帰っちゃったのかなって」
「ええっ?! いやそんなわけ……ああ、ごめんね。そうか、なるほど……僕のせいだ、ごめんね」
信号待ちしてたら車が突っ込んできた、くらいに過失なんてまるでないのに、お兄さんはまた謝った。
ああ、面倒な女ムーブをかましてしまっている。どうにか釈明しようと口を開いたが、先にお兄さんが続けた。
「また言葉足らずだった。礼ちゃんがいたら、また怒られちゃうね」
「ち、ちがうっ! あ、あたしがまたわけのわからない勘違いしてっ……」
「それじゃこうしよう。僕は言葉足らずだったし、吾妻さんは早とちりしちゃった、ってことで」
お兄さんはこの話はこれでおしまいと言わんばかりに、あたしの頭をこれまでよりほんの少しだけ強めにわしわしっと撫でた。
「わぷっ……」
「ちゃんと『車回してくるから待っててね』って言えばよかったんだね」
「……え? くるま?」
お兄さんはあたしの頭に置いていた手をそのまま横にスライドさせ、指差す。
撫でられていた感触を反芻するように頭に手を置いて、あたしはお兄さんが指差した方向へ目を向ける。
家の敷地内。スライド式の門扉の手前で、来る時にも乗せてもらった車が停まっていた。
えっと、それは、つまり。
「こんなに遅い時間なのに、一人で帰すわけないでしょ?」
家を出てから初めて目を合わせた。
街頭の仄かな灯りの下で、お兄さんは困ったような笑顔を浮かべていた。
「……ひぐっ、ぅぇっ」
「な、なんで泣くの?! あ、あれ……やっぱり今日初めて顔を合わせた男と車内で二人になるのは嫌なのかな……。そ、そうだよね……家知られるのとか、怖いよね……。あ、あの、タクシー呼ぶ? ちょっと時間かかるかもしれないけど……」
もしかしたら、お兄さんもあたしに負けず劣らずネガティブ思考なのかもしれない。
今涙腺が緩んでしまったのは、疑ってしまった罪悪感と、駅までどころか家まで送ってくれるという嬉しさからだ。
「ごめんなさいぃ……あれだけ優しくしてもらっといて、実はお兄さんはいじわるな性格なんじゃないかとか被害妄想して……。一人で落ち込んで……」
その上で、いじめられるのも案外アリだな、とか考えててごめんなさい。
「……吾妻さんは、あれだね。小学生の時の礼ちゃんと同じくらい思い込みの激しい子なんだね」
それはつまり、あたしの精神年齢は小学生並みということだろうか。なまじ妄想していたぶん否定できない。えっちなことへの関心と知識は小学生を軽く凌駕してると自負してるんだけどな。
「ごめんなさい……」
お兄さんの言動を悪し様に捉えるわ、わんこ蕎麦くらいのペースで黒歴史をぽこぽこ生み出すわ、ひどい勘違いは繰り返すわ、挙げ句の果てに小さい子みたいにぼろぼろ泣くわ、あまりの情緒不安定さに羞恥心すら死滅しそう。
「ほら、まだ結構夜は冷えるから車乗って」
お兄さんは項垂れるあたしの手を引いて、開け放たれている車用の門扉のほうから再び敷地内へ入って車へと誘導する。
「あ、う、ぁ……」
ゾンビのような呻き声しか出せないあたしを尻目に、お兄さんは車の助手席のドアを開いた。
開けてくれたドアからすごすごとあたしが乗り込んだことを確認すると、ゆっくりとドアを閉め、お兄さんは運転席へと乗り込む。
「じゃ、遅くなっちゃったけど帰ろうか。方向はだいたいわかるけど詳しい位置まではわからないから道案内よろしくね」
シートベルトをかちゃかちゃと鳴らしながら、さらに縮こまるようにあたしは小さく頷いた。心臓がばくばくと脈打っていて答えられなかったのだ。
大きくて角ばってて、でも暖かくて柔らかいお兄さんの手の温度がまだ残っているのに、手がぷるぷると震える。
まだ暖房の効いていない寒い車内。なのに、手が悴むほど冷たかった夜風が、少し恋しくなった。
*
「……あ、あのマンション……です」
近づいてきた八階建てのマンションを指し示す。
おかしいな、使い慣れてきたはずの敬語がぎこちなくなっている。というか、車に乗った直後からの記憶が抜け落ちている。
どうしたんだ、あたし。あまりの過負荷に耐え切れず処理落ちしたのか。
「あはは、もうそんなに畏まった喋り方じゃなくていいよ。ここまでフランクに話せてたしね」
路肩に緩やかな制動で停車させたお兄さんが微笑とともに言った。あたしの推しは本当に顔がいいな。
「そ、そうだっ……でしたっけ?」
思わず『そうだったっけ?』と口走りそうになったところから強引に敬語へと舵を切る。それすらも敬語として危ういが。
「うん、まるで礼ちゃんと話している時の吾妻さんだったよ」
「…………」
絶句する。
礼愛と話している時と同じ話し方をお兄さんにするとか、失礼にもほどがある。礼愛とのアレはほぼ会話ではないんだ、プロレスなんだ。
「そっちのほうが自然だったし、吾妻さんも楽そうだったよ。もちろん吾妻さんがやりやすいほうでいいけど、気を使わないで話してくれたほうが僕としてはいいかな。まるで友だちみたいで」
僕、友だちいないから。
そう笑いながらお兄さんは言ってくれるが、これは社交辞令的なニュアンスなのか、それとも本心からの言葉なのか。
礼愛のお兄ちゃん情報を参照すると、お兄さんは絶対に嘘をつかないらしい。そんな人間いんのかよ、とその時は思ったものだけれど、実物を目の当たりにしたら本当なんじゃないかと思えてきた。そのデータを信用するなら、これも社交辞令とかではないのだろうけれど、確信が持てないというか、踏ん切りがつかない。
もう一歩、今はまだ遠いお兄さんとの仲をもう一歩近づけても大丈夫だという確証があれば。
「っ!」
この好機で、人生に一度あるかないかのこの大チャンスで、あたしの脳裏にぴこんっ、と一つの革新的アイデアがよぎった。
ふだんは灰色の単細胞と自称している(あるいは自傷している)あたしの脳みそが、歴史的高回転をマークした。
「じゃ、じゃあ……メッセージアプリの友達登録……とか、し、しっ、しましまっ」
そう。友だちが少ないと豪語するお兄さんが登録してくれたら、それはつまり、登録してもいい程度にはあたしとの距離が縮まったことを担保してくれるのではないか。
なんて閃き。これが神の啓示か。言葉に詰まるし最後まで噛み噛みなのはご愛嬌だ。このくらいなら恥ずかしいとも思わなくなってきているくらい羞恥心が麻痺している。
「そういえば登録されてる人数が少ないって言う話もしてたしね」
「は、はひ! あたし、ぜんぜんやり取りする人、いなくてっ」
「吾妻さん、お友だち多そうなのにね」
「いえ、全然……。学校の子、お嬢様っぽいのばっかりだし……。いや、ほんとぜんぜん……いなくて」
外見からやんちゃそうな友だちが多いと思われているのだろうか。だとしたらそれは間違いだ。
うちの学校は一応いいとこの学校で、基本的に外面はお淑やかな子が多い。もちろん中身と外見はリンクしていない。あたしがお嬢様っぽいのばっかり、と言ったのはそれが理由だ。外面だけなのだ。
お嬢様学校といっても不良みたいなのは少ないながらも存在するが、あたしの外見はハリボテだ。その他大勢と同様、やっぱりあたしも性格と外見がリンクしていない。やんちゃそうな子とも仲良くはできないのだ。
つまり、友だちができるわけないのだ。礼愛が特例すぎるだけなのだ。
改めて考えるとひどい仕組みだ。自分で望んだ立場とはいえ笑えてくる。
くすっ、と隣から小さな音が聞こえた。静かな車内、それが口元を押さえた笑い声であることはすぐにわかる。
いやまあ思うことがないでもないけど、笑い話にしてくれるだけマシかな。シリアスに受け取られたりドン引きされるよりも百倍いい。
こりゃダメだったかぁ、と半ば諦めてスマホを引っ込めようとしていると、お兄さんは明るい声で言った。
「でも僕のほうがいないけどね」
スマホの画面をこちらに見せつけるように差し出した。例の、名前が四つしか載っていない画面だ。
「吾妻さんで記念すべき五人目だ。数ヶ月ぶりに名前が増えるよ」
これはつまり、そういうことだよね。お許しが出たってことだよね。
「あ、あり、がとっ……」
オーバーフローした喜悦の感情で喉が狭まる。言葉に詰まる。
待て、言い切れ。『ございます』まで言い切ってくれ。ほんの少し親しくなった途端急にタメ口使う失礼な奴みたいになるだろうが。なかなか上げられない評価を積極的に下げにかかるんじゃない。
涙目になりながら口をぱくぱくと開閉するあたしに、お兄さんは気を悪くした様子もなくフォローしてくれる。
「うんうん、その調子で接してくれると嬉しいな」
「うぅ、お兄さん……」
なんなんだこの人、器大きすぎないか。懐深いよ、寛大すぎるよ。
いくら自分からもっと気さくに話してくれていいよ、なんて言ったとしても、あたしなら中学生に急にタメ口で話されたらイラっとするよ。頬引き攣るよ。なんでそんなにナチュラルに微笑むことができるの。
「それじゃあ、はい」
「ぁ、あい」
震える手で、震える指で、手間取りながら友達登録する。
新しく追加された名前が埋もれないように神速でマークをつけておく。続けて名前を変更。にやつきそうになる唇を血が出るんじゃないかってくらい噛み締めながら我慢して『仁義さん』と登録しておく。こんな呼び方できないけどね。一応ね。『お兄さん』じゃあれだし、わかりやすいようにね。埋もれちゃうかもしれないし。埋もれるほど登録されている人数多くないけど。
「ん? 『まゆゆ』さん?」
「え? ……あ゛っ」
だいぶ前に、厳密にいつ頃か思い出せないくらいだいぶ前に、礼愛と二人でお互い登録してる名前を変えるという、暇潰し以外の何物でもない遊びをしていたのだ。礼愛と違って滅多に登録される人数が増えることのない、なんなら頻繁にメッセージアプリを起動させることもない、さらに言えばゲームする時に邪魔になるから通知すら切っていることもしばしばなあたしは、そんな遊びをしたことも忘れて放置していた。
迂闊なことをした。あえて可愛らしいあだ名で登録してる痛い子みたいだ。友だちが礼愛しかいないし、もちろん礼愛からそんな呼ばれ方をされたことはない。誰からも呼ばれたことのないあだ名って、それはもうあだ名ではない。
「ち、ちがっ……それは、それは礼愛がっ!」
「あははっ。『まゆゆ』って音の響きが可愛いね。あづまゆゆの後半三文字を取って『まゆゆ』なんだね」
「や、やめっ……ちがうの、礼愛が、礼愛がっ……」
「これから『まゆゆちゃん』って呼んだほうがいい?」
「あ゛あ゛ぁ! やめてぇ、許してぇ……お願いだからぁっ! せめて夢結って呼んで!」
いたずらっぽく口角を上げながらいじめてくるお兄さんに、背筋がぞくぞくする。新たな癖に目覚めそう。真理の扉がわずかに開いてきているのを感じる。黒い手が手招きしている。
そのせいだろう、気が動転していたのだろう。なんか余計なことを無意識に口にした気がする。
「……え? えっと……じゃあ、夢結さん?」
「っ! っ!?」
まさしく僥倖だ。
せめてもう一度会えるくらいには友好度を稼ぎたい、できれば連絡先を交換したい、くらいに考えていた。
名前で呼んでもらうなんて夢にも思っていなかった。妄想すらしていなかった。生まれて初めて自分の滑りやすい迂闊な口に感謝した。
「あ、あれ? 反応が……やっぱり吾妻さんのほうが」
「いえ大丈夫です夢結で大丈夫です」
「そ、そう……。なら、よかったけど」
思いがけない幸運に脳みそがシャットダウンしたことで、お兄さんに訂正させてしまうところだった。せっかく『吾妻さん』から『夢結さん』へと三段飛ばしくらいに進化したのに、秒で退化させるところだった。
戻させてなるものかという気持ちが強すぎて語勢が荒くなってしまい、若干お兄さんが引いてしまっている気もするが、今はそんなことも気にならない。
「ふ、ふふ……」
名前呼びの余韻に浸る。なんだか急激に距離が縮まった気がする。
いや、気がする、ではなく縮まったのだ。家族以外と交流がないお兄さんが名前呼びしたんだから、対外的にこの事実には大きな意味が生まれる。弁護士の先生を呼ぶ時も苗字だったもんね。お兄さんが名前で呼んでるのなんて礼愛を除けばあたしだけじゃん。もうこれは半分くらい彼女みたいなもんだよね。四捨五入したら彼女だよ。あれ、あたしもしかして告白されたのかな。
ちゃんと返事したほうがいいのかな。まったくもう、お兄さんは恥ずかしがり屋さんなんだから。
「あ、あの、あたしもっ、す……」
「もうだいぶ時間が遅くなっちゃってるけど大丈夫? 明日も学校だよね? 早く帰らないと、親御さん心配するんじゃない?」
「すーーっ……あ、はい」
「ん? ごめんね。何か言おうとしてた?」
「あ、なんでもないです」
ばっさりいかれた。
いっそ淡白に感じるくらい帰宅を促された。
そりゃそうだよね。お兄さんだってあたしをさっさと降ろしてお家に帰りたいよね。
どれだけ恥ずかしい妄想を繰り広げたら告白されただなんて都合のいい思考に辿り着くのか。自分に優しくしてくれた人がいたら、この人はあたしのことが好きなんじゃないかって勘違いする陰キャオタクの典型例みたいな症状が出てしまった。
望外の成果を得たからって浮かれすぎだ。落ち着け、落ち着け。今日の愚行を省みるんだ。テンパった時はろくなことをしていないぞ。冷静にどう動くか考えるんだ。
一つ深呼吸して、口を開く。
「今日はありがとうございました。おいしいご飯までご馳走になってしまった上に家まで送ってもらって。とても楽しかったです。まだお話したいところですけど、遅くならないうちに帰りますね」
頭の中で組み立てた文章を一息で言い切った。
つまるところ、戦略的撤退だ。
この機に乗じてお兄さんとの仲を深めたいが、車内での会話に味をしめて話を長引かせれば、今度は自分の首を絞めることになるかもしれない。いや、なる。今日のあたしの失敗を思い出せ。自縄自縛ならぬ自傷自爆の数々を。
今回は最後の最後に手のひらに転がり込んできた望外の大戦果だけで満足しよう。充分なほどにどんでん返しだった。大逆転だ。これで今日は涙で枕を濡らさずに眠れそう。でも枕に顔を埋めて『うわああぁぁっ!?』はする。トラウマはまだ消えてくれない。
「うん、こんなに遅くまでごめんね。本当なら親御さんにもご挨拶に行くべきなんだろうけど」
「ああああ挨拶って?! ななんあなんのです?!」
「いや、大事な娘さんを夜遅くまで引き止めちゃったんだから、ご挨拶くらいはと思ったんだけど……。いくら礼ちゃん……友だちの家にいたって言っても、心配はするだろうから」
「……あ、なるほど。そういう……」
挨拶にきてもらっちゃったりなんかしたら、外堀を埋めていくことに繋がるかもしれない。一瞬それはそれでありかなと下心が鎌首を擡げたが、お母さんには礼愛とご飯食べて帰ると連絡をしてしまったのだ。厳密には齟齬が発生するわけでもないし、後ろめたいこともないけれど、お父さんがうるさそうだ。機嫌を損ねたお父さんの相手はこの上なく面倒だ。そんなくだらないことでせっかくの良い気分を台無しにされたくない。お兄さんのご配慮は嬉しいけども、今回は気持ちだけいただいておこう。
「大丈夫ですよ。連絡さえしておけば、わりと門限でうるさくは言われないので。よく妹も夜遅くまで友だちと遊んでたりしますし」
「そう? まあ今日は菓子折りも何も用意できてないしね。日を改めることにするよ。親御さんによろしく伝えておいてね」
「い、いえ、そこまでしなくても親気にしませんから……気を使ったりしないでください」
「これは気を使うとかじゃなくて、マナーだと思うけどなあ……。でも夢結さんがそう言うなら控えておくよ」
「ふひっ」
唐突にお兄さんの口から飛び出した『夢結さん』呼びに、呼吸器系が誤作動を起こした。これは女子の笑い方じゃない。底知れない女子力の低さのなせる技だ。
「え?」
「あっ、いえ、ちょっと持病が……」
「だ、大丈夫? 心臓病?」
どちらかというと精神病かな。
「じょ、冗談ですよー、あは、ははは……。で、では、これで……」
予想通り、時間が延びれば延びるほどにみっともないところが湧き出してくる。これ以上醜態を晒す前に退散しよう。
わたわたしながらスクールバッグを肩にかけ直して、シートベルトを外していなかったことに今更気づいてもたもた外す。
そうやってわたわたもたもたぐだぐだと手間取っていると不意にドアが開いた。
「どうぞ」
果たしていつの間に降りて、いつの間に助手席側に回ったのか。お兄さんがドアを開いて、降りやすいよう手を差し出してくれていた。でもあれ、お兄さんついさっきまであたしの隣で喋ってたよね。
せっかく気を利かせて手を差し出してもらっているのに無碍にすることもないだろう。その出された大きな手に、あたしは気づかれないように一度スカートで手を拭いてから乗せた。手汗とかかいてたらいやだし。
お兄さんは本当に気配りのできる人だ。学校からの帰り道に車で拾ってもらってから、ここまでずっともてなされている。
しかし、だ。
いちいち心拍数が上がるとはいえ、今日は放課後からずっとお兄さんと一緒にいて、お喋りして、ホストを務めてもらったのだ。こんな扱いくらいもう慣れたものである。人間とは環境に適応できる生き物なのだ。
あたしには礼愛というお手本がある。車を降りる際、お兄さんにドアを開けてもらった時の、まるで当然だと言わんばかりの礼愛の小憎らしくも小慣れた堂々たる振る舞いを思い出せば、どうということはない。
さぁ、不遜に口を開き、流麗に感謝の言葉を述べるのだ。
「……ぁ、ありゃりゃとごじゃふ……」
もちろん振りだ。
数時間やそこらでこんな少女マンガのヒロインみたいな扱いに慣れるわけがない。人見知りとコミュ障を兼ね備えた二刀流のあたしに、礼愛の真似などできようはずがない。こちとら年季と筋金が入った陰キャ夢女子だ。舐めてもらっては困る。
噛み過ぎて原型を留めていない謝意を、お兄さんはいじるでもなく受け止めてくれる。
「いえいえ。こちらこそ、今日はありがとうね。とても楽しい時間を過ごせたよ。夢結さんは忙しいだろうから僕からは連絡しにくいけど、僕は基本的に時間を持て余してるから何か用事があったり、困ったことがあったら気兼ねなく言ってね」
「は、はひっ」
「これからも礼ちゃんと仲良くしてくれると嬉しいよ。じゃあ、また。体が冷えないうちに帰ってね」
おやすみなさい、と締め括ると、お兄さんは運転席へ戻った。
お互い窓越しに小さく手を振って、緩やかな駆動で車が動き出す。
赤い尾を引くようなテールランプが見えなくなるまで、あたしはその場に立ち続けていた。
「……はぁ」
体にこもった熱を出すように、一つ息を吐いた。
今朝と見た目は何ら変わりない、でも中身の価値が大きく跳ね上がったスマホを胸元に引き寄せて両手で握り締める。
深い感慨にしばらく耽って、スマホを操作する。メッセージアプリに新しく加えられた名前を認めると、頬が緩んだ。画面を見ながらほくそ笑む女の画というのは大層不気味に映るだろうが、この時間に歩いている人などそういない。気にする必要はない。
「ひへっ、にへへ……」
思う存分にやにやする。ここまで我慢したぶん、思いの限りにやにやする。
推しの連絡先を手に入れてしまった。
推し。直通である。本人から気軽に連絡していいよとまで言われた。
もしこれが夢だとしても、あたしは悪態の一つもつくことはないだろう。次の瞬間ベッドで目を覚ますとしても、あたしは『ああ、いい夢だった……』と僅かな心の痛みとともに静かに泡沫と消えた幸せを噛み締めることができる。
でも、夢じゃない。
夢じゃないから大変だ。
ふわふわと落ち着きのない心が、あたしを奇行に走らせようとする。この燃え上がるような情動のまま喜びを叫びとして発露しそうになる。
でもにやけるだけならまだしも、さすがに大声を出したら不審者の謗りは免れない。なけなしの理性をかき集め、スマホを握りしめることで堪える。
思い返せば、我ながら大胆なことをしてしまった。あたしにしてみれば、清水の舞台から飛び降りるような気分だったが、そんな決死の思いで挑戦してみた甲斐はあった。精神的な死を覚悟するだけの価値があった。
「はっ……家に帰ったらメッセ送っておかなきゃ」
連絡先を交換した後の最大の難関は、一番最初にメッセージを送る時だ。ノミの心臓を左胸に装備しているあたしは機会を逃したらずるずると先送りにして、結局連絡できなくなって、最終的には悔しさに血の涙を流すことになるだろう。こういうのは連絡先を交換した初日に何かしら動いておかなければ、次のきっかけが生まれないのだ。
話を切り出す何かが手元になければ、こちらからメッセージを送ることなんて基本できない。話題は作れず、手札は貧弱。コミュ障の常識だ。
でも今日のうちなら、コミュ力も女子力もたったの五のゴミ女でもお兄さんにメッセージを送れる公明正大な理由がある。『送っていただいてありがとうございます。こっちは家につきました。お兄さんはもう帰れましたか?』などという、これといって中身のない、箸にも棒にもかからなければ毒にも薬にもならないような無味乾燥で無知蒙昧なメッセージでも、今であれば大きな顔をして送っていい大義があるのだ。
ついでに言えば、お家まで送ってくれたお兄さんを気遣うようないい女ムーブもできる。いやまずこんな小狡いことを考えている時点で狭量が知れるし、それ以前にケーキと紅茶とおまけに晩御飯までいただいているのだ。お礼のメッセージを送るのは当然というか常識というか、最低限の礼節とも言える。しかしせめてそういうところでどうにか『常識は弁えている』くらいに印象を良くしておかないと、これまでに下がった友好度をいつまで経っても取り戻せない。
さて、ならばまず可及的速やかに家に帰らなくては。
車で帰っているといっても、さすがにお兄さんがお家に着くまでまだ時間があるだろう。それまでにメッセージの内容を練るのだ。
なるべく端的で、それでいて気配りができているような印象を与えられ、ちょっと変わったところがあるけど根は礼儀正しい真面目な子という評価に持っていけるような、奇跡みたいな一文を。
いや、そんなウィットに富んだ文章を作れるようならあたしはコミュ障なんか患ってないな。あまり高望みはしないでおこう。推敲しすぎて送れなくなる、なんていう間抜けを晒すあたしの図が容易に想像できる。
「くふふっ」
ああしたほうがいいかな、こうしたほうがいいかな、などと煩悶する片想いのローティーンのような自分がいることに気づいて、思わず笑みが溢れた。
当たり前のように代わり映えのしない安穏とした毎日を、ルーティーンのように淡々と繰り返していたあたしがこんなふうに頭を悩ますなんて、今朝には思いもしなかった。
ざわざわとしてむず痒いのに、胸の奥はぽかぽかと温かい。幾度となく浮いては沈み、複雑に形を変えて色を移ろわせる流動的で多元的な感情を、あたしは今どうしようもなく持て余している。
喉が裂けるほど叫びたいような。肩を抱いて体を丸めて小さくなりたいような。身も心も焦がすような。脳裏に思い浮かべるだけで浮き足立つような。まるで言葉にできない感情だ。これまでに経験のない衝動だ。気持ちを攻め立てるような焦燥感も、心を駆り立てるような高揚感も、なぜか今は心地いい。
これまでも心を奪われた作品や、三次元の男に興味が向けられないほどに夢中になったキャラクターはいた。
だけど。
こんな気持ちは初めてだった。
「はぁ……。これが……」
これが。
この狂おしい感情が、きっと。
「神推しを見つけた時の気持ちなんだ……」
無意味にわくわくする。明日は平日で、一番嫌いな体育があるのにそれでもテンションが上がりっぱなしになる。人生が光り輝いて見える。理由もなくこれからがんばろうと思えてくる。何をがんばるかはとくに決まっていない。とりあえず本日課された宿題を礼愛の手を借りずに自分でがんばるところからがんばっていこう。お兄さんにメッセージを送ってからね。
マンションに向けて帰路の一歩を踏み出す。自分でも笑ってしまいそうになるくらいその足取りは軽かった。
しかし、浮かんだ笑顔は、送り出した足は、即座に凍りつくことになる。
マンションのエントランス、その物陰によく見知った顔があった。
「ゆ、ゆー姉……」
「あ゛……」
三歳下の妹、寧音が、こんな時間にもかかわらず、なぜかいた。
こちらを見て、外っ面だけは憎たらしいほど愛らしいその顔を、今は驚き一色に染め上げている。
何で周りに誰もいないようなこんな時間にこいつが出歩いているんだ、と思ったが、自分でお兄さんにも言っていたことだった。どうせまた友だちと遅くまで遊んでいたのだろう。なんとタイミングの悪いことだ。
こんな時間にお兄さんに車で送られた現場を目撃されたとあっては、もしかしたら彼氏なのではと疑われてしまいかねない。
いやそれはそれでまあうん、積極的に否定する意義を感じないというかなんというか。でもあたしとお兄さんはそんな高尚で昵懇な関係ではないので、ここはやはり良くしてくれている親しい男性でぇーみたいな、やんわりとぼかすくらいが丁度いい塩梅なのかもし──
「ゆー姉が、援交してる……っ」
「援交じゃねぇわ!」
即座に否定した。全力で否定した。
そんな外聞が悪いにもほどがある疑いをかけられることをよしとできるほど、あたしは自分への評価に無頓着なわけではない。人見知りのコミュ障だからといって、他人からの目を気にしていないというわけではないのだ。なんなら人見知りのコミュ障だからこそ、他人からの目には人一倍気を使っている。
「妄想力しか取り柄がないクソオタクでコミュ力も女子力もゼロの夢女子こじらせてるイタいゆー姉に彼氏なんてできるわけない……」
「言いたい放題かおい」
コミュ力と女子力はいくらなんでも五くらいはあると思っていたが、どうやら誇張されていたらしい。自分では謙遜していたつもりだったのに。
「つ、つまり……ゆー姉は遊ぶ金欲しさにエンコーを……。こ、これは家族会議案件っ!」
「やめろぉ?!」
すぐにでもお兄さんにメッセージを送りたかったが、これはあたし(と巻き込まれたお兄さん)の沽券にかかわる。まずは妹を説き伏せるところから始めなければならなくなった。




