59.屋敷の案内2
「それでは、屋敷の中をご案内いたします。と言っても、あまり大きな屋敷ではありませんので」
アルフレッドはにっこりと笑ってイーディスに話しかけた。
イーディスはアルフレッドに微笑み返した。
「この広間の前にあるのが書斎です。私はここで仕事をしていることが多いですね」
「そうですか」
「あちらの食堂の脇にはサロンがあります。今は物置になっていますが」
「まあ」
イーディスは口元を押さえ、目を丸くしている。
「私の趣味のものが置いてあります」
「見せていただいても」
「ええ、どうぞ」
アルフレッドはサロンに向かって歩を進めると、ドアを開き中を見せた。
「いかがですか? 人に見せるための部屋ではないので片付いておりませんが」
「まあ、いろいろなものがおいてありますのね」
「ええ。この魔道具はすべて私が作ったものなんですよ」
アルフレッドが得意げに言うと、イーディスは口角を上げたまま「魔道具?」とアルフレッドに問い掛けた。
「はい。魔法があまり使えない人でも、魔道具を使えば魔法と同じような効果が得られるのです」
「そうですか」
口元だけ笑っているイーディスの目は冷めた光をたたえていた。
「この魔道具は炎を出せて……こちらは電を発生させることができる魔道具で……」
部屋の中に進み、楽しそうに説明するアルフレッドを私はほほえましく眺めていた。
その時、ため息交じりのイーディス様のつぶやきが聞こえ、私は身を固くした。
「おもちゃに夢中で仕方のない子という話は本当でしたのね」
「え?」
私がイーディスのほうに振り替えると、イーディスは笑みをたたえたまま私に「何か?」と聞いてきた。
「いいえ、何も」
私は聞き間違えであってほしいと思いながら、はしゃぐアルフレッドに視線を戻した。
「アルフレッド様、そろそろ次の部屋に……」
私の声を聞き、アルフレッドはハッとした表情で手に取っていた魔道具を置いた。
「申し訳ありませんでした。つい、夢中になってしまって」
「気になさらないでください。楽しかったですわ」
イーディスは口元に手を当てて、目を細めた。




