49.任命式3
パイプオルガンの音楽が鳴り響くなか、部屋の前方の聖壇に向かって歩いてくるアッキレ神父が見えた。
アッキレ神父が聖壇の前に立つと、アビントンが脇のドアから入ってきた。
アビントンは前方に置かれている十字架に向かって礼をし、アッキレ神父のもとに向かう。
カイルが前方から見て聖壇の右手の奥に立ち、式を進行している。
「祈りの言葉を。アッキレ神父、お願いいたします」
アッキレ神父が聖壇の前に立ち、祈りの言葉を唱えた。
アビントンはアッキレ神父の脇で首を垂れ、じっとしている。
「それでは、アッキレ神父から任命の言葉をお願いいたします」
「神の意志に従い、アビントン神父をこの地の神官長に任命します」
アッキレ神父はそう言って、アビントン神父の額に手をかざした。
アビントン神父は沈黙の後、静かに言った。
「尽力いたします」
アビントン神官長とアッキレ神父は前夫王に置かれた神の像に礼をした後、会場に向かってお辞儀をした。
アッキレ神父が礼拝堂を後にする。残ったアビントン神官長は「皆のために尽くすことを誓います」と宣言した。
最後に聖歌を歌い、アビントン神官長も礼拝堂を出て行った。
「これにて、任命式を終わります」
カイルの言葉で、式は終了した。
「アビントンさん、神官長になっちゃったね」
アルフレッドは「雨が降ってきたね」というのと変わらないような軽い口調でフローラに言った、
「そうですね。これで教会が変わると良いんですけれども」
フローラがアルフレッドに言うと、アルフレッドは肩をすくめた。
「まあ、アビントンさんは苦労するだろうね」
外に出ると、アビントンが教会に来た人々に礼を言っていた。
「今日は忙しい中来てくださってありがとうございました」
「アビントンさん!」
アルフレッドが声をかけると、アビントン神官長は疲れたような笑みを向けた。
「アルフレッド様、本日はありがとうございました」
「やだなあ、言葉使いまで変わっちゃったの?」
「今まで通りというわけにはいかないでしょう?」
アビントン神官長が微笑むとアルフレッドも笑った。
「これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ」
アビントン神官長の後ろには、渋い顔をしたレイスと、それをなだめるカイルが見えた。




