表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載】人形令嬢は悪魔紳士に溺愛される  作者: 茜カナコ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/64

38.諍い

「アルフレッド様……」

 トレヴァーがアルフレッドに困惑した様子で声をかけた。

「ああ、人が集まっているね」

 教会の近くに来た時、馬車の外では怒号が飛び交っていた。


「教会は出ていけ!」

「俺たちを脅すのはもうやめろ!」

「インチキ御子なんて、信じないぞ!」

 教会の閉ざされた扉に向かい、叫ぶ人々。

 なかには扉に向かって石を投げている者もいる。


 アルフレッドはため息をついた。

「どういたしますか? アルフレッド様」

 トレヴァーの問いかけに、アルフレッドは少し考えた後、返事をした。

「そうだね……とりあえず馬車から降りようか。アビントンさんも、一緒にきてくれるかな?」

「ああ」


「フローラは……ちょっと危なそうだから、馬車で待っているかい?」

「……いいえ、私も……まいります」

「それじゃ、馬車をおねがいするね、トレヴァー」

「かしこまりました」


 アルフレッドが一番先に馬車から降りた。つぎに、アルフレッドはフローラの手を取って馬車から降ろすと、アビントンに声をかけた。

「一人で降りられますか?」

「大丈夫だよ」

 アビントンが下りると、トレヴァーは教会のはずれの林のそばに馬車を移動した。


「さてと、皆が僕の話を聞いてくれるといいんだけど……」

 アルフレッドは町の人々が集まっている、教会の扉のほうに向かって歩き出した。


「アビントン! 領主様を連れてきたのか!?」

「領主様、教会は横暴です! どうか、懲らしめてください!」

「領主様、私たちを教会からお助けください!」

 アルフレッドは集まっていた町人たちに囲まれた。フローラとアビントンも、ぎゅうぎゅうと押されている。


「皆さん、落ち着いてください!」

 アルフレッドは叫ぶような大声で言ったが、話を聞くものはいなかった。

「仕方ないなあ……」

 アルフレッドは胸元から銃を取り出し、空に向かって打った。


 パン、と乾いた音がした。

「領主様……?」

「静かにしてくださいますか?」

 アルフレッドは銃を見つめ、黙った町人たちに微笑んだ。


「みんな、アルフレッド様が俺たちの代わりに教会に話をしてくれるそうだ」

「うーん。そんな約束はしてないけれど……」

 アルフレッドが苦笑すると、アビントンはアルフレッドに頭を下げた。

「みんな、教会には困ってるんだ。どうか、俺たちを助けてくれ」

「……話をしてみます」

 アルフレッドの返事を聞いて、町人たちは喜びの声を上げた。


「アルフレッド様、魔女の刻印を刻ませるのをやめるよう言ってくれ」

「寄付金が高すぎる、もっと下げるように言ってくれ」

「教会はけが人や病人を助けてくれない。以前のように、皆を助けるように言ってくれ」

 アルフレッドは口々に要望を上げる町人たちに向かって言った。

「最善を尽くします」


 人々の群れの中から、首謀者のダリル・エイミスが現れた。

「領主様、どうか、よろしくお願いします」

 ダリルはアルフレッドに手を差し出した。

「できることをいたします」

 アルフレッドは差し出された手を取った。痛いくらい、強い力で握り返され、アルフレッドはすこしだけ顔をゆがめた。


「魔法が使えるだけで、命を狙われるのは、耐えられません!」

 アビントンが、アルフレッドに説明した。

「ダリルの家の娘は、魔法が使えるんだ。だから、つぎに狙われるのは娘じゃないかって、おびえているんだ……」

「……わかりました」


 アルフレッドはダリルから手を離すと、彼を見つめて言った。

「教会には、むやみに魔女の刻印を刻まないよう、強く求めることにします」

「よろしくお願いします」


 騒ぎが少し落ち着いたところで、教会の扉が開いた。

「お前たち! 神聖な教会の前で何を騒いでいるんだ! 静かにしろ!」

 神官のカイル・ジェキンスが現れた。

「さあ、ここは騒ぐ場所ではない! 皆、家にかえりなさい!」

 カイルの言葉に町人たちは反論しようと声を上げ始めた。

「ここからは、私が話をします。皆さんは、お待ちください」

 アルフレッドは右手を挙げて、町人たちをなだめてから、カイルのほうを向いた。


「少々お時間をいただけますか? 町人たちが教会に対して抱いている不安についてお話できれば、と思うのですが……」

「……それは……」

「入っていただきなさい」

 神官長のクリフ・サンチェスが出てきて、カイルに声をかけた。

「クリフ、元気そうだな……」

 アビントンがクリフに話かけた。


「アビントン……この騒ぎは何ですか?」

 クリフの言葉を聞いたアビントンは、吐き捨てるように言った。

「教会のやり方は納得できねえ」

「そうですか」

「町人たちの声を聴いてほしいのですが……」

「わかりました。ここではなんですから、中にお入りください」


 クリフに言われて、アルフレッドとアビントン、フローラは教会の中に入った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ